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中国の越境EC業者に強まる「抜け穴塞ぎ」の逆風 アメリカ筆頭に小口貨物の特例見直しが相次ぐ

東洋経済オンライン / 2025年1月27日 18時0分

中国発の越境ECビジネスの急成長は、各国の税関当局が小口貨物の特例を見直すきっかけになった(写真はアメリカ税関・国境警備局のウェブサイト)

急成長を遂げた中国の越境EC(国際電子商取引)ビジネスに対する逆風が強まっている。諸外国の税関当局が、小口貨物を対象にした関税免除などの特例措置を見直す動きが相次いでいるのだ。

【写真】中国の激安越境EC「Temu」のアメリカ向けウェブサイト

アメリカ税関・国境警備局(CBP)は1月11日、小口貨物の特例に関する新規定の適用を開始した。アメリカ国内の同一人物が複数の異なる(越境EC)業者から商品を購入し、同じ日に到着または通関申告した貨物の総額が800ドル(約12万6160円)を超えた場合、通関情報処理システムが検知して(貨物の受取人に)警告を発する。

CBPの判断次第では、これらの商品は正規の通関手続きを求められる可能性がある。仮に(特例を抜け穴にして)申告漏れを故意に行ったと見なされれば、貨物の通関差し止めや追加費用の発生もあり得る。

TemuやSHEINも特例利用

アメリカ政府は個人宛ての小口貨物を対象に、1人の受取人につき1日当たり1件かつ最大800ドルまでの輸入関税を免除し、簡単な通関手続きで輸入できる特例を設けている。

この特例の上限額は2016年3月、当時のバラク・オバマ政権によって200ドル(約3万1540円)から800ドルに引き上げられた。その狙いは、税関当局の事務手続きの負担を軽減することにあったとされる。

ところが近年、アマゾンやイーベイなどアメリカのオンラインショッピングモールに中国の越境EC業者が大挙して出店。激安越境ECの「Temu(テム)」や低価格アパレルの「SHEIN(シーイン)」など、中国のECプラットフォームのアメリカ進出も相次いだ。これらの越境ECビジネスは、いずれも上述の特例措置を利用している。

(訳注:アメリカ政府は多くの中国製品に対して通商法301条に基づく制裁関税を課しているが、個人宛ての小口貨物は特例適用により免税かつ簡単な通関手続きで輸入されている)

今後の焦点は、アメリカ政府が特例措置の見直しをさらに進め、小口貨物に対して関税を課すかどうかだ。

「免税措置が撤廃されたり、上限額が引き下げられたりした場合、中国製品に対するアメリカの消費者の需要に影響が及ぶだろう」。イギリス金融大手HSBCのアナリストのシャーリーン・リウ氏は、そう予想する。

同様の動きはアメリカだけにとどまらない。メキシコ政府は個人宛ての小口貨物に対する免税措置を事実上廃止し、17~19%の関税を課す新規定を1月1日から導入した。その目的について、メキシコ国税庁は「免税制度の濫用をなくすため」と説明している。

税収減への危機感も

ブラジル政府は、50ドル(約7890円)以下の小口貨物に適用していた特例措置をすでに廃止し、2024年8月から20%の関税と17%の商品流通サービス税(付加価値税)を徴収している。

東南アジアでは、ベトナム政府が1月4日、小口貨物への付加価値税の免税措置を2月18日から撤廃すると発表した。これまでは、100万ベトナムドン(約6210円)以下の小口貨物は関税および付加価値税の適用が免除されていた。

現地メディアの報道によれば、ベトナム政府の特例見直しの狙いは、(ベトナムの消費者による越境ECの利用急増で)付加価値税の税収が減少するのを防ぐことにある。

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は1月13日

財新 Biz&Tech

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