止まらない鳥インフル、「卵ショック」再来の恐れ 1月の発生件数、殺処分は過去最高のスピード
東洋経済オンライン / 2025年1月27日 7時50分
2年前の悪夢の再来か――。鳥インフルエンザが猛威をふるっている。
鳥インフルは例年11月頃に鶏やアヒルなど家畜の鳥で感染が報告され、翌年の3〜5月頃に終息する。今シーズンは2024年10月17日に過去最速で国内1例目を確認。年明けに急増し、1月24日時点で43事例が発生。約811万羽が殺処分の対象となっている(農林水産省調べ)。
1月としては過去に例のない大量発生で、農水省の江藤拓大臣は、1月20日の「鳥インフルエンザ防疫対策緊急全国会議」において「緊急事態だ。これ以上の広がりを許すわけにはいかない。現場の皆様のより一層の努力が問われている」と危機感を高めた。
記憶に新しいのは2022~2023年のシーズンだ。前代未聞の水準で感染が拡大し、シーズン計で84事例が発生、過去最高の1771万羽が殺処分された。
今シーズンはこれに匹敵するペースだ。1月単月では発生件数は27事例、殺処分は535万羽と2023年を上回るスピードで増加中だ(1月24日時点)。
今年も卵不足に警戒か
今後懸念されるのは鶏卵の供給不足と価格高騰だ。
かつて「物価の優等生」といわれた鶏卵だが、2023年は需給が逼迫し相場が高騰した。東京市場におけるMサイズ1キロ当たりの卸売価格は、同年4月に350円を記録。2022年の4月の211円と比べて異例の高値だった(JA全農たまご調べ)。
今年も1月24日の卸売価格は285円と、1月6日の225円から大幅に上昇。鳥インフルの影響が価格にも表れ始めている。1月21日、農水省は鶏卵供給量に一部不足感が生じ始めているとして、原料に卵を使用するメーカーなどへ協力依頼を発出。凍結した液卵の在庫の活用などを要請した。
現在のペースで感染拡大が続けば、一昨年のようにスーパーの棚から卵が消えたり、大きく値段が上がったりするなど、消費者の生活へダイレクトに影響を及ぼす可能性が高い。
メーカー側の影響も大きい。食品大手のキユーピーは、主力の家庭用・業務用マヨネーズや業務用の卵加工品など、多くの製品の原料に鶏卵を用いている。そのため相場が業績を大きく左右する。
実際、2023年11月期の営業利益は、家庭用マヨネーズやドレッシングなどを販売する「市販用セグメント」で前期比26%減の99億円、「業務用セグメント」で同40%減の41億円となり、全社でも同22%減の196億円と大打撃を受けた。
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