フジテレビ「CM枯渇の懸念」に系列局で募る危機感 「10時間超え記者会見」の先も続く異常事態
東洋経済オンライン / 2025年1月29日 7時20分
通常、震災などスポンサー事情で広告を差し替えた場合、広告料は支払われる。しかし今回はフジテレビに原因があるため、広告料の返還を求めるスポンサーが相次いでいる。フジテレビも1月に差し替えた広告の料金については請求しないことを決めており、大きな収益源が絶たれる事態に追い込まれている。
しかも今は、4月の番組改編期に向けた広告営業のピークを迎えている。だが「セールスは事実上止まっている」(清水氏)という。
系列局からのある「申し入れ」
事はフジテレビだけの問題にとどまらない。実は会見に先立ち、系列局の報道局がフジテレビ報道局に対し、ある申し入れを行ったようだ。
関係者によれば、フジテレビ自身が一連の問題について検証する番組を制作し、信頼を取り戻してほしいという要請だという。系列局は申し入れを行った事実について口を閉ざすが、そうした行動を起こさざるをえないほど差し迫った事情がある。
系列局にとっては、キー局が全国で放送するネットタイム広告の分配金が大きな収入源。フジテレビの広告が減れば、そうした分配金も減り、売り上げは大幅に減少する。その割合は局によって異なるが、「1〜3割程度」(業界関係者)といわれている。影響は甚大だ。
東洋経済では、フジテレビ系列27社を対象として、2024年3月期決算を基に売り上げ減の影響を概算してみた。その結果は、売上高が3%減少しただけでも系列18社が営業赤字になる。5%減少だと24社、10%減少ではなんと27社すべてが営業赤字に転落する。
「まさかこんな事態に陥るとは思っていなかった。放送外収入をいかに増やすか真剣に議論しなければならない」。系列局の関係者は危機感を募らせる。
フジテレビは今回の記者会見をCMなしで長時間にわたり中継した。透明性や情報開示が不十分との批判を受けての対応とみられるが、「今後もCMが入らない事態を暗示するかのようで恐ろしかった」(関係者)。
契約済みだった2月分のCMをキャンセルする企業も続出している。まだまだ先は見通せない。
※次ページは「売上高3%減」の影響度を概算した表(外部配信先では表の画像を全部閲覧できない場合があります。その際は「東洋経済オンライン」内でお読みください)
田島 靖久:東洋経済 記者
髙岡 健太:東洋経済 記者
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