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日銀の追加利上げで加速、勝者なき「預金争奪戦」 1年定期で金利1%の大台を突破する銀行が続出

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 7時20分

ある地銀幹部は「地元だけでは限界がある。県外からもできるだけ預金を集めたい」と話す。背景にはネット銀行への対抗意識に加えて、転居や相続などで預金が都市圏に移ってしまうことへの危機感がある。

預金金利の引き上げは、そのままコストとして銀行に跳ね返る。膨らんだ預金調達費用を賄うには貸出金利の引き上げや有価証券運用の利回り確保が必要になるが、金利交渉や運用資産の入れ替えが遅れれば、逆に利ザヤが縮小してしまう。

前述したUI銀行は、住宅ローンやグループのきらぼし銀行向け融資といった低利な貸し出しが中心だ。コスト上昇リスクについて、親会社である東京きらぼしFGの担当者は「UI銀行は(貸出金利が高い)無担保や投資用不動産ローンも行っている。預金金利を高く設定しても、必ずしも不採算にはならない」と話す。

貸出金利については、引き上げ時期のズレも無視できない。そもそも利上げの恩恵を迅速に取り込めるのは、貸出金利の大半がTIBOR(東京銀行間取引金利)などの市場金利に連動している大手行や一部の地銀に限られる。一方、中下位銀行は短期プライムレート(短プラ)連動や固定金利型貸し出しが多く、短プラの引き上げに遅れて追随する融資もある。固定金利に至っては契約の更改時期まで変えられない。それまでは預金金利の上昇分だけ利ザヤが圧迫される。

不毛な競争に発展も

銀行業界には「金利で集まる預金は金利で逃げる」という共通認識がある。高い金利にひかれて預けられたお金は、ライバル行がさらなる高金利をつけるやいなや移されてしまう、という経験則だ。大手行や地銀の幹部は「金利をむやみに上げて預金を集めるよりも、普段の取引で関係を築き、引き出されにくい預金を獲得するほうが重要」と口をそろえる。

ただし、ネット銀行を中心とするなりふり構わぬ金利攻勢によって多額の預金が流出する事態になってもそうした建前を貫けるかは不透明だ。金利競争によって銀行が経営体力をいたずらに消耗するようなことになれば、「勝者なき預金争奪戦」になりかねない。

一井 純:東洋経済 記者

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