長野駅前殺傷事件で示された「リレー捜査」の威力 警視庁で確立したノウハウが地方警察に波及
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 19時0分
被害者は当初「犯人に心当たりはありません」と話していたが、捜査員から静岡と聞いて思い当たったのだろう。「琉球大学時代の先輩に静岡出身の人がいました」。捜査員が自宅に駆けつけると、タッチの差で、一度自宅に帰った男は再び新幹線で西に向かっていた。
「土地勘のある沖縄に逃げたのではないか」
まさに、男は中部国際空港から那覇空港行きの飛行機に乗っていたのだ。
異例の200人捜査
事件発生から約86時間後、琉球大学からわずかkmしか離れていない公園で、男は警視庁の捜査員に身柄を確保された。
警視庁捜査一課の幹部は「着衣を変えていた容疑者がタクシーに乗ったことを見逃さなかったことが大きかった」と回想している。カメラの映像をただ追うだけでなく、状況から判断し、足取りを推理する洞察力も必要だということである(2021年10月8日『読売新聞オンライン』より)。
今回の長野の事件や、北九州の中学生殺傷事件を見ていると、主に警視庁捜査一課で確立されたリレー捜査のノウハウが地方警察に伝わっていると思う。
ところで、今回の事件では、捜査員220人態勢で捜査を進めたという。通常の捜査態勢は70人程度だから、いかに警察が通り魔事件に力を入れているかがわかろうというものだ。また、犯人の逮捕時にも、北九州市の事件と同様、捜査一課特殊犯捜査係(SIT)を投入し、容疑者を制圧している。凶悪犯罪が減っているなか、人員を投入できるようになり、よりきめ細かい捜査ができるようになったともいえそうだ。
三枝 玄太郎:フリーライター、元産経新聞記者
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