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「収入が増えても幸せにはならない」は誤りだった 格差是正に取り組まなければならない納得理由

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 9時40分

ある一定の水準に達すると、そこからはもういくら収入が増えても、より幸せになることはないという「イースターリンのパラドクス」は、誤りだったようです(写真:Lipik/PIXTA)

私たちが生きている、かつてないほど豊かなこの現代社会を可能にしたのは、経済の力だ。そして、文明の歴史は経済発展の歴史でもある。では、その経済を、経済学者たちはどのように考えてきたのか。現代の経済学者は何に取り組んでいるのだろうか。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

世界はかつてよりずっと良くなっている

報道の内容は報道の頻度で決まると、経済学者のマックス・ローザーが指摘している。

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週刊誌の視点は日刊紙の視点とは違い、日刊紙の視点はソーシャルメディアの視点とは違う。

では、もし50年に1回という頻度で発行される新聞があったとしたら、どうなるだろうか。そのような新聞では、きっともっと世の中の好ましい長期的な傾向が取り上げられやすくなるだろうと、ローザーは述べている。

50年新聞の1面を飾るのは、著名人のゴシップではなく、世界の乳児死亡率が14%から4%にまで低下したという記事や、全世界の雇用の過半数が今やサービス業で占められているという記事になるだろう。

わたしたちの祖先にとっては贅沢(ぜいたく)だったものが、科学技術のおかげで、現在ではほとんどコストを気にせず使えるぐらい安価になっている。長いスパンで見れば、経済的な発展に伴ってそういうことがほかにも数多く起こっている。

子どもの医療もそうだ。そのことはアン女王の不運を思い出してみればよくわかる。

当時、最高の権力者だったアン女王は、1684年から1700年までのあいだに17回妊娠した。そのうちの16回が死産か、流産か、あるいは子どもの早世に終わった。

300年後の現在、最も貧しい親でも子どもに死なれることは稀だ。衛生と医療の進歩は無数の命を救っている。また今では、実質賃金で見ると、ほとんどの国の労働者が1日で、1900年の労働者の1週間ぶんの賃金を得てもいる。

社会に多大な恩恵をもたらした「分業化」

農耕からインターネットまで、技術は経済活動における諸革命の原動力となってきた。また比較優位も社会に恩恵をもたらしている。あらゆる労働市場で、分業化が果たした役割は計り知れないほど大きい。

もしみなさんがなんらかの技能を磨いた経験をお持ちなら、スペシャリストの集まりのほうがゼネラリストの集まりよりも高い生活水準を実現できるであろうことは、感覚的に理解できるだろう。

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