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「機密情報を生成AIで扱える」最新PCの重要な工夫 オンデバイスAIがパソコンのビジネスユースを変えるか

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 11時30分

シャープ傘下のDynabookは、ローカル環境で動作する生成AIアプリを搭載したPC「dynabook XP9」を発表した。4月中旬に発売する(筆者撮影)

ChatGPTやGeminiなどのクラウドベース生成AIが普及してから、すでに1年が経った。その間にクローズアップされてきたのが、企業の機密情報や個人のプライバシーを含むデータをどう安全に扱うかという課題だ。

【写真で見る】端末上で動作し、機内モードでも使えるAIチャットツールを搭載する「dynabook XP9」

クラウドにデータを送らずに生成AIを利用できないだろうか――。そんな要望に応える解決策の1つとして、Dynabookが1月23日に発表した新たなノートPCは注目に値する。

プロンプトなしで翻訳・要約、すべてローカルで完結

今回発表された14型モバイルノート「dynabook XP9」(法人向けは「dynabook X94」)の最大の特徴は、ローカル環境で動作する生成AI機能(オンデバイスAI)だ。

チャットアプリとしては同社独自の「Dynabook AIアシスタント」を搭載。文章の翻訳や要約をクラウドに情報を送ることなくローカルですべて完結できるようにしている。

機密データを社外に送らずに生成AIを活用できる新たな選択肢として位置づけられている。社内の極秘資料を扱う場面でも安心して使え、従業員の生産性向上に寄与する。さらにクラウドサービスの利用料金が不要なため、TCO(総所有コスト)の削減にもつながる。

もっとも、ローカルで動かすという特性上、AIモデルはクラウド型のChatGPTやGeminiに比べてコンパクトに最適化されている。そのため、高度な推論や複雑な質問への対応には一定の制限がある。

また現時点では、クラウド型に比べて応答速度が若干遅くなる場合もあるようだ。しかし、そうした制約を踏まえたうえで、オフィスでの日常的な文書作成や翻訳といった実務タスクに特化した設計になっている。

ソフトウェア設計上の工夫として、翻訳や要約に特化したモードを搭載した点が挙げられる。従来のAIチャットボットに必要だった「日本語に翻訳してください」といったプロンプト(指示)が、専用モードでは不要となる。あらかじめ第1言語と第2言語を設定しておけば、入力した文章が自動的に翻訳されるのだ。要約機能も専用ボタンを押すだけで一瞬で実行できる。オンデバイスで動作するため、例えば飛行機内などのオフラインの環境でも利用できる。

社内文書の作成でも、その恩恵は大きい。例えば長い議事録や報告書を要約するとき、専用ボタン1つでポイントを抽出できる。さらにアンサンブルチャット機能を使えば、異なる視点からの意見を得られる。「あなたは経営者の視点で」「あなたはマーケティング担当者の視点で」といった設定を組み合わせることで、文書の内容をより充実させることができる。

オンデバイスAIを活用した機能

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