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中国自動車市場でレクサス「大幅値引き」の苦況 外資系の"威光"薄れ、高級ブランド車が総崩れ

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 11時0分

中国のレクサス販売店では、主力セダン「ES」に1台130万円前後の値引きを提示しているという(写真はレクサス中国のウェブサイトより)

中国の自動車市場で、外資系の高級ブランド車が総崩れの苦況を呈している。

【写真】メルセデス・ベンツが中国市場に投入したSUVタイプのEV「EQA」

トヨタ自動車の高級ブランドのレクサスは1月15日、中国市場での2024年の販売台数が18万台を上回り、前年より「増加した」と発表した。具体的な販売台数は公表していないが、2023年の販売実績は18万1400台だったことから、増加幅はわずかだったもようだ。

しかも、これはかつてない大幅値引きに頼って実現したものだ。レクサスの主力セダン「ES」は、2年前にはメーカー希望価格にプレミアムを上乗せしないと買えないほどの人気だった。ところが、2024年には販売店が提示する値引きが6万元(約128万円)前後に達し、年末には8万元(約171万円)を超えた事例もあったという。

ドイツ「御三家」はさらに苦戦

とはいえ、レクサスは相対的に善戦したほうだ。中国市場における高級車ブランドの代名詞として長年君臨してきたメルセデス・ベンツ、BMW、アウディのドイツ「御三家」は、さらに状況が厳しい。

2024年の販売実績を見ると、メルセデス・ベンツは前年比7%減の68万3600台、BMWは同13.4%減の71万4500台、アウディは同10.9%減の64万9000台にとどまり、いずれもマイナス成長だった。

中国の自動車市場では2021年頃から急速なEV(電気自動車)シフトが始まり、2024年7月以降は新車の月間販売台数に占めるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の比率が5割を超えるまでになった。

この変化を主導したのはクルマの電動化とスマート化で先行した中国メーカーであり、エンジン車が主力の外資系メーカーは軒並み市場シェアを落としている。

かつては外資系ブランドの独壇場だった高級車セグメントも例外ではない。中国自動車工業協会のデータによれば、2024年のエンジン車の販売台数は、エントリークラスからラグジュアリークラスまでの全セグメントで前年割れを記録した。

ベンツは「完全EV化」を撤回

前述の御三家も手をこまぬいているわけではない。例えばBMWは、2024年に全世界で59万3000台のEVを販売し、同社の総売上高の24.2%を稼ぎ出した。

BMWには及ばないものの、メルセデス・ベンツは2024年に全世界で36万7600台、アウディは同16万4000台のEVを販売した。なお、御三家は中国市場におけるEVの販売台数を公表していない。

中国市場とは対照的に、ヨーロッパやアメリカの市場ではEVの販売が勢いを失っている。その結果、多くの欧米メーカーはEVシフトの目算が狂い、経営戦略の見直しを迫られている。

例えばメルセデス・ベンツは、(ヨーロッパやアメリカなどの)主力市場における販売車種を「完全EV化」する計画を撤回するとともに、売上高に占めるEVとPHVの比率を50%に高める目標の期限を「2020年代後半」に先延ばしした。

(財新記者: 余聡)
※原文の配信は1月16日

財新 Biz&Tech

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