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「まどか26歳」9時5時勤務の研修医が見た"葛藤" 「労働時間が短い=良い」は思い込みなのか

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時50分

「我々より遅く来て、我々より先に帰る。通常業務を終えて、さぁやっと教えられるぞってときに彼らはいない」

「いまだに令和の育て方がわかりません」

医師として求められるレベルは変わらないのに、時間の制約だけが厳しくなっていく現代。もちろん、過酷な環境で働くことで心身を病んでしまっては元も子もない。

しかし、学びたい人、学びを伝えたい人それぞれの憂いは深刻だ。

働き方改革の痛みを描いてこそのドラマ化

実は原作は、10年前に発表されたコミックエッセイ。水谷緑氏による『まどか26歳、研修医やってます!』『あたふた研修医やってます。』『離島で研修医やってきました。』の3作である。これらが発表されたのは2014年~2015年。

このおよそ3年後、働き方改革法が公布される。

今回紹介したエピソードは、実はドラマのオリジナルストーリーである。そう、働き方改革をベースにした大胆なストーリーの追加にこそ、本作がドラマ化された意義がある。

2020年から中小企業で施工がはじまり、そして2024年4月、医療業界でも本格的に働き方改革がスタート。医師の時間外労働の削減、業務の改善を目的とした働き方が求められるようになった。労働時間に関する取り組みへの違反は、罰則の対象になってしまうこともある。

ドラマの中でも、先輩医師たちは「研修医は定時で帰るように」と帰宅を積極的に促している(ただしこれにはハラスメント対策など他の意味も多く含まれている)。

多忙を極める医療現場で、実際にこのような対応をどこまで実施できるのかは不明だ。しかし過去の慣習を変えていくことが困難なことは、容易に想像がつく。

そんな時代に際して医療現場の変化を取り上げ、原作の味つけをそこなわないよう現代の医師たちの葛藤を映し出したこと。そこに、2025年に本作がドラマ化された意味を感じるのだ。

令和にフィットした努力とは?

働き方の変化。それに伴う葛藤を感じているのは、なにも医療現場に限ったことではない。

『SPY×FAMILY』『ダンダダン』など数々の大ヒットマンガの編集者として知られる林士平氏は、糸井重里氏との対談の中で現代の働き方に触れながら苦悩を吐露した。

後輩編集者から「どうすればいい仕事ができるか」と尋ねられた林氏。「没入しないと本物のプロにはなれない」と思いながらも、「自分は寝る時間以外全部仕事してた、と伝えたいが社会的にできない。強要させられない」と語ったのだ(YouTubeチャンネル「ほぼ日の學校」より)。

働き方や求められる空気が変わり、過去のものさしが通用しなくなっている現代。過去のやり方を強制できない時代で、後輩たちにどんな道をしめすことができるのか。この葛藤は「まどか26歳、研修医やってます!」で映し出された問題とリンクする。

「昔はこうだった」「俺たちの時代では考えられない」

そう言われても、過去と同じ土俵にいない若手にとってはつらい。日々の限られた時間の中でどれだけ自己研鑽を行えるのか。便利になった世の中を利用して、自分の肥やしとできるのか。

ドラマの続きでは、そんな疑問へのアンサーともいえるエピソードが登場する。

モーレツに働けない時代に必要な努力の方向。今後も、まどかたちの2年間を通してその片鱗がのぞけることを期待したい。

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あまみん:マンガ原作専門のドラマレビュアー

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