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中国の太陽光パネル「利益なき繁忙」の手詰まり 大手の隆基緑能科技が12年ぶり通期赤字に転落

東洋経済オンライン / 2025年2月5日 18時0分

太陽光発電設備の需要は世界各地で拡大しているが、中国の太陽光パネル業界は過当競争の泥沼にはまっている。写真は中国青海省のメガソーラー(隆基緑能科技のウェブサイトより)

中国の太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジ)は1月16日、2024年の通期純損益が82億~88億元(約1741億~1868億円)の赤字になるとの業績見通しを発表した。

【写真】生産停止に追い込まれたとされる隆基緑能科技のマレーシア工場

同社が通期赤字に転落するのは12年ぶりだ。その要因について隆基緑能科技は、太陽光発電設備の需要は2024年も世界各地で拡大したものの、市場の需給バランスが(中国メーカーの過剰生産と値下げ競争により)大きく崩れたことが響いたと説明した。

過当競争の解消に時間

2000年に創業した隆基緑能科技は、2012年に上海証券取引所に株式を上場。太陽光パネルのメーカー別の出荷量ランキングで、2020年から2022年まで3年連続で世界首位になった。

翌年には晶科能源(ジンコソーラー)に抜かれて第2位に後退したものの、2023年の通期決算では107億5100万元(約2283億円)の純利益を計上していた。

しかし2024年に入り、太陽光パネル業界全体が(赤字販売が当たり前の)過当競争に突入。隆基緑能科技によれば、需給バランスの不均衡(による製品価格の下落と業績悪化)の解消にはまだ時間がかかるという。

「目下の苦況の原因は、太陽光パネル業界のプレーヤーが多すぎ、極端な過当競争を招いたことにある」

隆基緑能科技が2024年12月末に開示した投資家向け説明会の資料によれば、同社董事長(会長に相当)の鐘宝申氏は説明会でそう嘆いた。

中国の太陽光パネル業界が直面する苦況は過当競争だけではない。海外市場では、中国メーカーの赤字輸出に対する反発が強まっている。

例えばアメリカ政府は、12年前の2012年に中国製の太陽光パネルに対する反ダンピング・反補助金措置を発動した。

それを回避するため、中国の太陽光パネルメーカーは東南アジアにこぞって工場を建設。中国製の原材料や太陽電池セルを東南アジアで製品に組み立て、アメリカに輸出する対応をとった。

この迂回戦術は近年まで機能していた。しかし2024年5月、アメリカ政府は東南アジアのカンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムで生産された太陽光パネルに対する反ダンピング・反補助金調査を開始し、同年12月に措置発動に踏み切った。

その結果、中国メーカーの多数の工場が操業停止や閉鎖に追い込まれた。そこには隆基緑能科技のマレーシアとベトナムの工場も含まれている。

海外市場でもリスク拡大

中国メーカーにとって、アメリカ市場の高い利益率には代えがたい魅力がある。業界大手はアメリカに工場を建設し、現地生産への移行を進めている。隆基緑能科技の開示資料によれば、同社のアメリカ工場はすでに2024年1~3月期に生産を開始し、損益が早くも黒字化したという。

しかし(アメリカを含む)海外生産のさらなる拡大について、隆基緑能科技は慎重な姿勢を見せている。

「海外事業の推進に際しては、現地の政策や法律、市場規模などさまざまな要素を考慮すると同時に、中長期的な視点から潜在的なチャンスとリスクをしっかり分析・評価しなければならない」

同社の経営陣は前述の投資家向け説明会でそう述べ、(第2次トランプ政権発足の影響など)不透明な先行きへの懸念を示した。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は1月17日

財新 Biz&Tech

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