SBI新生銀行、早すぎる「再上場」に渦巻く思惑 金利あるうちに再上場?問われる成長戦略
東洋経済オンライン / 2025年2月5日 9時30分
1月28日、SBI新生銀行は株式市場への再上場に向けて準備を始めると表明した。同行に残る公的資金3300億円については、SBIホールディングス(HD)の支援を受けつつ、うち1000億円を3月末までに返済する。残る2300億円も2025年度中に完済する道筋を示し、その後に上場を模索する。
【図表】SBI傘下で業績が回復したように見えるが・・・。SBI新生銀行の業績推移
同行がTOBによってSBIHDの子会社となったのは2021年。その後、追加のTOBによって2023年9月に上場廃止となった。わずか2年程度での株式市場への復帰には、さまざまな思惑が絡む。
急ピッチの再上場
「本来なら、銀行の収益力がもっと高まってからでもよかった。かなり急いでいる印象だ」。ある市場関係者はこう指摘する。
3300億円もの公的資金をSBI新生銀行が独力で返済するには相当な期間を要する。そこで3月末までの返済分1000億円のうち、半分をSBIHDが肩代わりすると決めた。残る2300億円についても、銀行が全額負担すると自己資本比率が健全とされる8%を下回りかねず、返済に向けて何らかの手段を講じる可能性が高そうだ。
SBIHDが自ら身銭を切ってでも再上場を急ぐ理由は何なのか――。一因として挙がるのは、「金利が上昇し、銀行株の評価が高いうちに上場したいのだろう」(市場関係者)。
銀行株のPER(株価収益率)は、マイナス金利時代には10倍を割ることも多かった。現在は金利上昇による成長期待から、大手行では12~13倍程度まで回復している。利上げの打ち止めが意識され、追い風が止む前に上場しておきたい、という狙いが透ける。
では、再上場時のSBI新生銀行にはどれほどの価格がつくのだろうか。下図は同行の純利益の推移だ。SBIグループ入りした2021年以降、業績が急回復しているように見えるが、実はカラクリがある。
業績の底である2021年度は、海外の金利上昇で含み損を抱えた外国債券を売却し、100億円以上の売却損を計上した。いわば一過性の損失だ。2024年度は純利益700億円を見込むが、子会社清算などの特別利益約200億円が乗っている。
特殊要因を除いたSBI新生銀行の純利益の実力値は500億~600億円とみられ、非上場前と比べても大きくは変わっていない。600億円と仮定すると、PERが12倍なら時価総額は7200億円。市場からの評価は大手地方銀行並みとなる。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
利上げ効果3千億円超 大手銀4グループ最高益へ
共同通信 / 2025年2月4日 23時7分
-
SBI新生銀行、1千億円返済へ 公的資金完済にめど、再上場検討
共同通信 / 2025年1月28日 13時18分
-
SBI新生銀、期限こだわらず公的資金返済 道筋明確にし再上場へ
ロイター / 2025年1月28日 9時54分
-
住宅ローン世帯の返済負担増 日銀の追加利上げ、預金金利上昇
共同通信 / 2025年1月24日 17時18分
-
タイの家計・中小企業の債務危機が深刻化…政府が打ち出す「3年間の利息免除」と元金減額措置の効果は?
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月23日 7時0分
ランキング
-
124年「デジタル赤字」6兆円超 米巨大企業が市場支配、資金流出
共同通信 / 2025年2月11日 17時36分
-
2アップル、アリババと提携 中国向けiPhoneのAI開発で=報道
ロイター / 2025年2月12日 8時42分
-
3トランプ大統領は仮想通貨にとって天使か悪魔か 「トランプ関税」の余波で史上最大の売りを招く
東洋経済オンライン / 2025年2月11日 11時30分
-
4マスク氏がオープンAIに買収提案、974億ドル アルトマン氏は拒否
ロイター / 2025年2月11日 19時41分
-
5財政投融資の資金繰りに柔軟性を…AI産業への多額支援を念頭、特別会計法改正へ
読売新聞 / 2025年2月12日 8時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)