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中国BYD、シンガポール市場で「トヨタ超え」の躍進 参入3年でシェア首位、政府のEV支援が追い風に

東洋経済オンライン / 2025年2月7日 18時0分

BYDはシンガポールの乗用車市場に2022年に参入し、またたく間に人気ブランドに成長した。写真は主力車種の「ATTO 3」(同社シンガポール法人のウェブサイトより)

アジアで最も裕福な国の1つであるシンガポールの自動車市場で、中国のEV(電気自動車)大手のBYD(比亜迪)がシェア首位に躍り出た。

【写真】シンガポール政府は2040年のエンジン車全廃を目指し、EVの普及を後押ししている。

シンガポール陸上交通庁のデータによれば、同国の2024年の新車登録台数は4万3022台。BYDはそのうち6191台を占め、14.4%の市場シェアを獲得した。日本のトヨタは5736台で第2位に後退、第3位はドイツのBMWの5042台だった。

EVが新車登録の3割超

BYDは約10年前にシンガポールに進出し、当初はEVの路線バスや観光バスを販売していた。その後、2022年7月から乗用車の投入を開始し、またたく間に人気のEVブランドに成長した。

近年、シンガポールではEVの普及が加速している。2024年のEVの新車登録台数は1万4448台と(エンジン車を含む)総登録台数の33.6%を占め、2023年の18%から大幅に上昇した。

BYDはこの流れをつかみ、2024年の登録台数を前年(1416台)の4.4倍に急拡大させた。アメリカのテスラもシンガポールでの販売を伸ばしており、2024年の登録台数は2384台と前年(940台)の2.5倍だった。

シンガポールでのEV人気の急上昇は、普及を後押しする政府の政策に支えられている。シンガポール政府は2021年に発表した環境政策計画「グリーンプラン2030」の中で、2030年からエンジン車の新規登録を停止し、2040年にかけて(登録済みの)エンジン車を段階的に廃止する目標を打ち出した。

それを実現するため、政府はEVの普及に3000万シンガポールドル(約34億円)の補助金を投じるほか、2030年までに国内のEV充電装置を6万基に増やす計画だ。

BYDに大きな伸びしろ

国土が狭いシンガポールは市場規模が小さく、自動車の購入・保有にかかるコストが極めて高い。そのため、BYDのような新規参入メーカーにとっては攻略が難しい市場とされていた。

例えば、BYDの主力車種「ATTO(アット)3」を購入する場合、初期コストだけで総額16万~17万シンガポールドル(約1825万~1939万円)もかかる。その半分以上の約10万シンガポールドル(約1141万円)は車両購入権(訳注:シンガポールで自動車を保有・運転するための権利証)の取得費用だ。

そんな中、BYDは(乗用車への)参入からわずか3年足らずでトップブランドになることに成功した。シンガポールの自動車登録台数(2024年末時点で約65万5000台)に占めるEV(約2万6200台)の比率はまだ4%に過ぎず、BYDにはさらに大きな伸びしろがある。

(財新 駐シンガポール記者:楊敏)
※原文の配信は1月20日

財新 Biz&Tech

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