高性能で格安、中国AI「ディープシーク」の潜在力 業界の勢力図に大きな変化をもたらす存在になるか
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 7時0分
どこもAIで(巨額の)投資をやっていくと。つまり中国企業をまったく無視しているわけです。安く開発できると言っているのに。
その理由はもちろん当事者にしかわからないが、おそらくアメリカ企業は、中国企業はわれわれのサービスの真似はできるだろうと考えている。しかし、ものすごい精度を持ったAIを作れるのは、あくまで自分たちだけだというスタンスでしょう。だから、今後も何十兆円という巨額投資を続けるとアピールしているんじゃないでしょうか。
ーーディープシークが出てきたことでNVIDIAの株が売られました。低コストで開発できるならば、“計算資源”としてのGPUがそれほどいらなくなるんじゃないか、という連想が働いたのだと思います。ただ、アメリカ企業の投資姿勢が変わらないのであれば、それほどインパクトはなかったともいえますか?
インパクトがないというよりも、市場が過剰に反応したということではないでしょうか。NVIDIAだけでなく半導体関連の株価は一定の影響を受けたでしょうし、今でもやや神経質な値動きを続けているのだと思います。
ただ、(GPUが不要になるという見方と)逆の見方もあって、生成AIの開発コストが下がれば最終製品であるAI関連サービスの値段も下がり、利用もどんどん増えるだろうというものです。より多くの需要が見込めるのだから、GPUの需要も期待できると。そうすると半導体関連の株価は一時的に低迷しているけれど、いずれ上昇基調に戻るだろうという見方です。
禁輸措置の必要性がさらに高まる可能性も
ーーこれまでアメリカ政府は、半導体分野で中国に対する輸出を規制してきました。しかし、今回のような強力な生成AIが出てきたことで、規制に意味があったのだろうかという疑問も出てきます。
そこは評価が定まっていないようです。バイデン政権は中国に対する輸出規制を行ってきましたが、中国企業は密かに高性能のGPUを備蓄していたという説もあります。また、NVIDIAがスペックを落として輸出していたGPUはそこまで性能が悪くなかったのではという開発者の見方もある。
ハードウェア面での制約が中国企業に課せられていたことは間違いない。1つ言えることは、スペックの低いGPUを使ってでもなんとか高性能のものを開発しようとソフトウェアの技術力を磨き(ディープシークのような)成果を出したわけです。
ただ、いいものが開発できたからといって世界中で使ってもらえるというわけではない。世界中に広げていくためには膨大な数のGPUを輸入して巨大なデータセンターを用意し、サービスを展開せざるを得ない。そうなってくると、やはりアメリカ政府による禁輸措置が効いてくる。アメリカ側から見ればこれからもっとそうした規制が必要になってくるということになるのではないでしょうか。
石阪 友貴:東洋経済 記者
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