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「不正トラベル」がインバウンド宿泊の裏に潜む 旅行システム会社「tripla」幹部が明かす被害実態

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 7時30分

大部分は不正利用の証明が成立するものの、そうではない場合もある。証明できないとき、トリプラは宿泊代金を立て替えてくれているカード会社に代金を払う。つまり、不正トラベルエージェンシーや不正トラベルの宿泊者に代わって、トリプラが宿泊代金を負担するわけだ。

不正利用の証明作業自体も痛手となる。不正トラベルをした宿泊者の特定やパスポートといった資料の準備などに手間がかかるため、人員を割く必要がある。「最も不正利用が多かった2024年の夏は、1〜2人の社員が証明作業だけで1カ月の業務が終わってしまうくらいだった」と奥林氏は振り返る。

しかし、こうした不正トラベルの被害は2024年8月ごろから減少。足元では被害負担額がほぼゼロという状況が続いている。契機となったのは、不正検知対策を導入したことだ。

自社開発の不正検知システムとオランダの決済事業者Adyen(アディエン)の不正検知サービスの2つを導入した。

自社の不正検知システムは、メールアドレスやカード名義、決済の失敗回数などから怪しい顧客をあぶり出してブラックリスト化し、決済されることを防ぐ。

不正トラベルとみられる予約を試みるアクセス自体は増加傾向が続く。それを不正検知対策によって防いでいる状態だ。

現物の確認など水際の防止策も有効

不正検知対策以外にも効果のある手だてはある。

「チェックイン時に予約したカードを見せてもらい、本人確認やカードが有効かどうかを確認する。怪しい予約は現地払いへ切り替えることも必要」

日本サイバー犯罪対策センターの渡邊泰司氏はそう指摘する。カード不正利用の多くはカード番号をオンライン上で取得して行われる。カード現物を所持していることはまれだ。

ホテル予約などにかかわらずクレジットカードの不正利用は右肩上がりの状況が続く。日本クレジット協会のデータによれば、2014年は114億円だった不正利用額が2023年には540億円と4.7倍に急増。2024年も9月までの集計で392億円と前年とほぼ同額で推移している。

不正トラベルを働く詐欺集団は、一度引っかかった宿泊施設を集中的に狙う傾向がある。カモにならないためには不正対策を講じるしかない。

星出 遼平:東洋経済 記者

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