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「タワマン大暴落」を待ち望む人が知らない"現実" 修繕積立金の高騰を心配している人もいるが…

東洋経済オンライン / 2025年2月11日 7時45分

(撮影:今井康一)

建築単価が高騰しており、大手ゼネコンの一部は営業赤字に陥った。これは木造(主に戸建て)の問題ではなく、鉄筋コンクリート造の場合である。特に、赤字の主因となったのは建設期間の長い大型物件である。資材費や労務費は急騰したものの、請負契約をしているためにそれを丸かぶりすることになったためだ。ゼネコンにとっては、期間の長さがリスクなのだ。

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こうした長期案件の見積もりは高騰しており、マンションではタワーがまさに該当する。1階層1カ月の期間とも言われていたように、高さが増すほど工期が長引くからである。こうした状況を踏まえ、今後のタワー物件価格へのインパクトを予見しておこう。

新築タワマンはどこまで高騰するのか

まず、新築のタワーマンションの価格は高騰する。すでに売り出された物件もかなり価格が上がっている。今後販売される物件はこれまで以上になることは必至の状況にある。問題は価格が高いがゆえに下落するリスクがあるかないかに尽きる。

新築の売れ行きはエリアによって差が生まれると想定される。売れ行きは供給される場所にどの程度需要があるかで決まる。その物件を検討する需要の集客範囲の中での価格帯別需要分布でほぼ説明できる。

私たちは、住まいサーフィンの31万人の会員がどこに住み、どの物件を検討しているかを数字で把握できる。このため、都心物件は広域に集客できるが、郊外は周辺住民しか検討する顧客がいない傾向にあることがわかっている。予算の幅も都心のほうが幅広いのでさばける数が多い。このため、売れないリスクは郊外のほうが大きくなる。

自宅を購入する際、大半の人は住宅ローンを利用する。このとき、銀行の評価が低いと借り入れ上限が下がり、購入可能な価格帯が下がってしまう。通常、マンションの銀行評価は中古取引事例から算定される。

これに加えて、不動産には再調達価格という考え方がある。再調達価格とは、同じ建物を新たに建設するのに必要な費用を指す。これと同じタワーを今建てるならいくらということだ。主に戸建で使われる手法なのは、土地と建物を分けて評価しやすいからだ。しかし、タワーだけ建築単価がかなり違うという話になり、新築タワー価格が高騰すると結果的に再調達価格を考慮した状態になる。

実際には、再調達価格に経過年数を加味して耐用年数分の減価償却をすることになる。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年なので、単純計算で年率2%ほど下がる。土地と建物が半々の価格配分なら、物件価格ベースで毎年1%ほど下がる計算だ。しかし再調達価格自体がそれ以上のペースで上がっていけば、タワー全体の価値は上昇が見込まれる。

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