日米両首脳が突如言及した「エタノール」って何? CO2の排出抑制に効果的、日本政府も普及に本腰
東洋経済オンライン / 2025年2月12日 18時0分
アメリカ中西部イリノイ州のシカゴ近郊にあるガソリンスタンド。左側・黄色地の「E85」は、バイオエタノールを85%混合させたガソリン。アメリカでは現在10%混合させた「E10」がスタンダードだ。日本でも普及なるか(写真・編集部)
2025年2月6~8日に行われた日米首脳会談で、石破茂首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領との間に良好な関係を築いた。会談後の記者会見でもなごやかな雰囲気で進められた。
会見での冒頭発言で石破首相は、とくにエネルギー分野で「LNG(液化天然ガス)輸出増加も含め、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことも確認した」と述べた。
日米共同声明でも「アメリカの低廉で信頼できるエネルギー及び天然資源を解き放ち、双方に利のある形で、アメリカから日本への液化天然ガス輸出を増加することにより、エネルギー安全保障を強化する意図を発表した」とある。
実は今回の首脳会談で言及されたエネルギーはLNGだけではない。石破首相は「LNGのみならず、バイオエタノール、アンモニアといった資源を(アメリカから)安定的にリーズナブルな価格で提供されることは日本の利益だ」と記者からの質問に答えている。
石破首相がバイオエタノールに言及
トランプ大統領も「エタノールに関しては(中西部の)アイオワ州がとても喜ぶと思う。(同)ネブラスカ州など、すべての農業州がエタノールの供給先を求めており、私が気に入っている農家たちは喜んでそれを提供できるだろう」と返している。エタノールの原料となるトウモコロシ生産農家やエタノール工場は、アメリカ中西部に多いためだ。
実は2024年、日本ではバイオエタノールの利用について、これまでにない画期的な動きが見え始めた。それは、主に自家用車に使用されるガソリンにバイオエタノールを混ぜたバイオ燃料の使用拡大を目指す政策方針が固まったためだ。
バイオエタノールとは、トウモロコシやサトウキビを微生物によって発酵させて得られたものだ。また大豆油などの脂分を原料にして合成してつくられるバイオディーゼル燃料がある。これらはバイオ燃料と呼ばれ、また大気中の二酸化炭素(CO2)を増加させないため「カーボンニュートラル燃料」と呼ばれている。
2024年11月11日、経済産業省は「自動車用燃料(ガソリン)へのバイオエタノールの導入拡大について」を発表し、新たにバイオエタノールの導入という政策目標を発表した。
具体的には、①2030年度までに最大濃度10%の低炭素ガソリンの供給を開始する、②2030年代早期に、最大濃度20%の低炭素ガソリン対応車の新車販売比率を100%にする、③2040年度から、最大濃度20%の低炭素ガソリンの供給開始を追求する、というのものだ。
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