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生成AIが引き起こす深刻な「電力不足」解決のカギ 検索エンジンと比べても生成AIは電力爆食

東洋経済オンライン / 2025年2月13日 8時0分

生成AIは普及しつつあるが、際限なく大規模モデルを利用すれば電力供給の面で制約が出る(写真:Getty Images)

データセンター市場が世界で急拡大している。日本でも巨大なデータセンターが次々と新設され、電力、不動産、電子部品、素材といった幅広い業界に恩恵が広がる。この熱狂は本物か。『週刊東洋経済』2月15日号の特集は「データセンター急拡大!」だ。

国内でAI用データセンター(DC)の建設ラッシュが始まっている。

米アマゾンやマイクロソフトなど、ビッグテック各社が相次いで日本のAI用DCへの投資を表明し、その総額は4兆円を超えた。国内の通信事業者やDC事業者も国の補助金の後押しなどを受けて、DC建設を拡大しつつある。

そうした中で懸念されるのが電力の確保だ。国際エネルギー機関(IEA)は世界のDCなどの電力需要が2022年から26年のわずか4年間で最大2倍以上に増える可能性があると指摘している。日本もその例外ではない。

これまでも検索や電子商取引、動画配信などデジタルサービスの利用は進んできたが、その電力消費が大きな社会問題となることはなかった。なぜ生成AIの電力消費がこれほど問題視されるのか。

大規模化と社会浸透

要因は2つある。1つは生成AIの大規模化だ。生成AIの推論時の計算量は、AIモデルのパラメーター数におおむね比例すると考えられる。性能向上のためにモデルパラメーターを10倍、100倍へと増加させれば、計算量もそれに応じて増える。

同じテキスト情報処理でも、従来型のウェブ検索に比べて生成AIの回答処理ははるかに多くの電力を消費する。画像や動画の入出力などに対応するマルチモーダル化が進めば、電力消費はさらに増大していく。

2つ目の要因はAIの社会浸透だ。22年に登場し、生成AIブームの火付け役となったChatGPTに続き、今後は自律性を持つAIエージェントが普及し、さらに多くの知的タスクがAIに代替されると予想されている。自動車やドローン、ロボットなどの機械もAIで制御され、AI同士が自律的に会話する世界になれば、AIの利用機会は莫大なものとなるだろう。

生成AIの大規模化と急速な社会浸透が両輪となって、従来とは比較にならないほどの大量の計算処理が発生する。これが生成AIの電力消費問題の根本にある事象である。

電力供給は間に合うか

では具体的にどの程度の電力が必要となるのだろうか。長期の予測は極めて難しい。生成AIの大規模化が進む一方、電力の供給問題があることが広く認知された結果、電力を節約するための技術開発も進んでいるからだ。すべての用途で最先端のAIを使う必要はない。例えばスマートフォンに実装され簡便な機能を提供するAIは、省電力性を優先して小型化されていくと予想される。

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