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「オール2階建て列車」はなぜ生まれ、消えていくのか 誕生30年を前に相次いで引退

乗りものニュース / 2021年9月26日 6時20分

215系電車とE4系新幹線「Max」。どちらもオール2階建て列車(画像:photolibrary/写真AC)。

寝台列車や団体列車用の客車を除き、間もなく国内から「オール2階建て列車」が引退します。定員増をウリにした車両はなぜ消滅するのでしょうか。その独特な構造ゆえのデメリットもありました。

当然だが2階建てにすればそれだけ定員は増える

 2021年はオール2階建ての列車が相次いで引退する年となります。3月にはJR東日本の215系電車、10月には同社のE4系新幹線「Max」です。平屋建てが一般的で、2階建てはグリーン車など一部にとどまる日本の列車において、「オール2階建て」とは何だったのでしょうか。

 JRで初のオール2階建て列車が登場したのは1992(平成4)年4月、東海道線の215系でした。当時は郊外にも住宅開発が進んでいた頃で、長距離通勤者の「追加料金を支払ってでも必ず座って通勤できる」という需要が増加。2階建てにして座席数を増やすと、定員は従来車両の約140%にもなり、首都圏の通勤ラッシュ輸送に寄与しました。

 1994(平成6)年7月に登場したのはE4系の前身、E1系新幹線「Max」です。一部の2階席に6列席が設けられるなど、新幹線ながら215系と同じく通勤輸送に力点が置かれた車両でした。間もなく引退するE4系もE1系のコンセプトを受け継ぎ、1997(平成9)年末から量産されました。

 初登場から30年弱が経つオール2階建て列車ですが、広く普及したとはいいがたいでしょう。事実、E4系を除くと少数しか製造されていません。理由には、通勤時の大量輸送では効力を発揮するものの、それ以上にデメリットが大きかったことが挙げられます。在来線と新幹線とで、それぞれ特有の課題が出てきました。

なぜオール2階建ては普及しなかったのか

 215系は構造上、在来線用ながらドアを片側2か所しか設けられず、首都圏の駅では乗降に時間がかかり過ぎたのです。当初は通勤時間帯のライナー列車のほか、料金不要の快速や湘南新宿ラインにも使われましたが、徐々に運行の場をライナー列車や臨時快速のみに狭めていきました。

 また、新幹線車両であるE1系とE4系は、スピードアップという点において自重がネックとなりました。さらに2階建てのぶん旅客を多く乗せれば負荷がかかり、速度を上げられなければダイヤに影響します。

 ほかにも社会的な要因として、バリアフリーの気運が高まったこともあるでしょう。2階建てゆえに車内には階段があり、通路も狭いものです。

 ところで、今まで通勤輸送を主にしたオール2階建て列車について触れてきましたが、非日常空間や眺望をウリにする特急列車にはオール2階建てが残っています。

 1999(平成11)年7月に登場し、寝台列車や団体列車として使われた「カシオペア」のE26系客車です。全ての寝台が上級のA個室のほか、豪華な展望室やラウンジカーなどもあります。

 同じく寝台列車では、「サンライズ」に使われる285系電車が「オール」ではないものの、編成のほとんどが2階建てです。E26系のちょうど1年前に登場しています。

※一部修正しました(9月26日9時57分)。

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