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「旅客機は雷落ちても大丈夫」のはずでは!? JALが「被雷率半減」装置を導入した切実なワケ アナログっぽいのも理由あり

乗りものニュース / 2024年6月2日 17時12分

JAL国内線の主力機「エアバスA350-900」(乗りものニュース編集部撮影)。

JALグループが、国内の空港で被雷回避判断支援サービスの運用を開始しました。旅客機の落雷はどのような影響があり、そしてどういった傾向があるのでしょうか。このサービスの導入で、何が変わるのでしょうか。

新鋭機は「落雷からの修復」が大変に

 JAL(日本航空)が国内の空港で2024年4月から、被雷回避判断支援サービス「Lilac」の運用を開始しました。三菱重工と契約したこの装置の運用により、旅客機が被雷する可能性は「これまでの半分」(JALのパイロット)まで減らせるとのこと。どういったものなのでしょうか。

 旅客機は構造上、電気を通すようになっており、避雷してもほとんどのケースで着陸でき、乗客を無事に目的地まで運べます。しかし、到着後の整備検査で避雷による損傷が確認できた場合は、修復を要します。もちろんそのあいだ、その機体は飛べません。

 JALの整備士によると、損傷の程度にはよるものの、ボーイング767や777といったアルミニウム製の機体の場合、修復時間は数時間から数日間を要するそう。さらに、同社の新鋭機ボーイング787やエアバスA350といった、複合材料(CFRP:強化炭素繊維プラスチック)を胴体の素材に使う機体は、修理過程がより複雑化。同氏によると、1~2週間程度時間を要するケースもあるそうです。

 これら複合素材の新鋭機は、同社グループの保有機のおよそ3分の1を占め、今後も増機が見込まれています。こうなるとJAL側にとっても損失になるほか、機材繰りの都合上、後続便で欠航・遅延などが発生する可能性もあります。

 また、同社によると航空機運航上落雷の可能性が高いのは、一般的に地上で雷が出現しやすい夏季ではなく、むしろ冬季なのそうです。これが、業界を悩ませる問題のひとつといえるでしょう。

なぜ冬に落雷が多いのか

 夏の雲は、明らかに活発な動きをしている大きな積乱雲系のものが多く見られるのに対し、冬は比較的活発でない雲が発生するケースが多いといいます。JALのパイロットの説明をまとめると、活発な雲はコクピットのレーダーで強い反応がでるほか、目で明らかに確認できるため、余裕をもって避けることが可能なケースが多いそう。一方、冬はレーダー上の反応が弱い雲が張っている状況で、近くを飛んだ結果、避雷することが多いということです。また落雷の被害は羽田・成田のほか、日本海側に多いなどの地域的な特徴も。

「Lilac」は文字情報で構成される「アスキーアート」で、地上から飛行中のパイロットへ雷雲情報を提供するというもの。これを用いてパイロットは被雷を避けた到着経路の選定や着陸時間の調整を行うことができるようになります。なお、「Lilac」のパイロットへの情報伝達は、コクピットにあるFAXのような装置「ACAS」によって行われます。

 アナログにも見える「アスキーアート」の利用。2社によると、これを用いるのはパイロットの使いやすさを重視したほか、この伝達方法で「ACAS」を用いることで、従来式のコクピット設備を持つ型式でも使用できる即応性を重視したためとのことです。

 なおJALでは夏季は運航便数の多い羽田、伊丹、沖縄空港、および九州エリアなどで、冬季は小松空港や青森空港などの日本海側の空港で「Lilac」を使用するとしています。

【動画】衝撃的シーンだ… 「旅客機に雷があたる」瞬間

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