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「エスカレーターを歩くな」何が危険か、本当に知ってますか? メーカーが直接啓発へ “情緒的な議論”にならないために

乗りものニュース / 2024年5月21日 9時42分

エスカレーターのイメージ(乗りものニュース編集部撮影)。

一部自治体で条例化もされている「エスカレーターの歩行禁止」について、エスカレーターメーカーがその危険性を啓発するwebサイトを開設。なぜいま、直接的な啓発に乗り出したのでしょうか。

片側空けは「マナー」じゃないし、もともと危険

 エスカレーターメーカーの日立ビルシステムは2024年5月20日、「エスカレーターを歩行することの危険性について」と題した特設サイトを開設したと発表しました。エスカレーターを利用する側や、施設の管理者などではなく、メーカー自身がこの問題を積極的に発信するのは、異例のアプローチといえるかもしれません。

 急ぐ人のために片側を空けるのが“マナー”とされていたエスカレーターの利用をめぐり、近年、鉄道事業者などがその認識を改めるべく「立ち止まって、2列で手すりにつかまって」利用するよう呼びかけています。

 自治体も対策を強化しており、さいたま市では2021年、名古屋市では2023年に、エスカレーターを立ち止まって利用することを条例で義務化するなどしています。その理由について、さいたま市は次のように解説しています。

「けがや障がいなどの御事情により、右側の手すりにしかつかまれない方もいらっしゃいます。右側を空けた利用方法は、このような方が右側の手すりにつかまることが困難となり、転倒などの事故につながるおそれがあります」
「このような方も右側の手すりにつかまって安心・安全にエスカレーターを利用できるよう、エスカレーターは片側空けではなく、左右両側に立ち止まって利用しましょう」

 日立ビルシステムが今回開設したwebサイトでは、歩行について「踏段の高さが階段の基準を超えており、つまずく危険がある」「ほかの利用者や荷物に接触する可能性がある」といったことを、具体的な“数値”を明記しながら紹介しています。

 たとえば蹴上げ(階段の高さ)の基準や、ステップの幅に対して日本人男性の平均的な背肩幅を考慮すると、片側歩行に必要な通路幅に足りないこと、などです。

「誰かが危ない思いをしている」議論に欠けた視点

 メーカー側はエスカレーターについて、もともと歩行を想定したものではない、というスタンスです。ただそのことを、「単に取扱い説明として紹介してきた」(日立ビルシステム)側面があるといいます。エスカレーターの歩行が社会問題化するなかで、その問題にフォーカスした発信をあえて行ったのが、今回の取り組みだといいます。

「メディアからも月に何回か、エスカレーターの歩行の危険性についてお問い合わせをいただきます。そこで聞かれる内容を発信しました」(日立ビルシステム)

 エスカレーターの歩行によって、高齢者や体の不自由な人が危険な思いをしている、ということはこれまで、理学療法士の団体などが積極的に啓発を行い、鉄道事業者や自治体の動きへとつなげた側面がありあます。

 しかし、その観点でメディアに取り上げられると、「情緒的な言い回しが多く、一般からのコメントもさらに情緒的なものになりがちで、こちらが発信していない内容が独り歩きすることもある」(日立ビルシステム)とのこと。そこで、メーカーとして技術・構造面から歩行の危険性を紹介することにしたといいます。

 ちなみに日立ビルシステムは、「エスカレーターの片側空けを抑止する新機能」を搭載した商品も2023年12月に発表しています。ステップの2か所をLEDで照らし、2列で立つよう誘導する機能などをもった新機種で、安全利用の実現と輸送効率の向上を図るとしています。

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