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「F-35よりスゴイ」と言い放つ根拠は? トルコ初の国産戦闘機 とにかくデカい!他には?

乗りものニュース / 2024年7月1日 6時12分

トルコ初の国産ステルス戦闘機「KAAN」試作初号機(画像:トルコ商工会議所)。

トルコが国産ステルス戦闘機「KAAN」試作機の初飛行に成功しました。アメリカのF-35戦闘機をも凌駕する性能だと豪語しますが、機体こそ大きいもののエンジンは低出力であり、初の有人戦闘機開発に挑む今後が注目されます。

対ロシア政策を巡りアメリカとのあいだに亀裂が…

 ヨーロッパとアジアの接点に位置し、黒海と地中海を結ぶボスポラス海峡を有するトルコは、国際情勢において重要な役割を担ってきました。北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながらロシアとの関係強化も進めるなど、独自の外交政策を展開してきましたが、近年はアメリカやNATO諸国とのあいだでも問題を抱えています。

 2019年、トルコがロシア製防空システムS-400地対空ミサイルを導入したことをきっかけに、アメリカはトルコをF-35「ライトニングII」戦闘機共同開発プログラムから排除しました。これはトルコ空軍にとって大きな打撃となり、国産戦闘機の開発が喫緊の課題となりました。

 2024年2月21日、トルコは国産ステルス戦闘機「KAAN」の試作初号機が初飛行に成功したと発表しました。F-35に代わる国産戦闘機開発は、トルコにとって防衛だけでなく、国家的な威信に関わる問題でもあります。トルコ航空宇宙産業(TAI)CEOのテメル・コティル氏は自信満々に「KAANはF-35を凌駕する性能を持つ」と豪語しています。

 2024年6月現在、初号機がわずか2回の試験飛行しか行っていないKAANと、990機が出荷されすでに日本を含む世界中で実戦配備状態にあるF-35では、本来ならば比較対象にさえなりえませんが、果たしてKAANのその実力と課題はどこにあるのでしょうか。

 KAANはアメリカのジェネラル・エレクトリック製F110-GE-129アフターバーナー付きターボファンエンジンを双発搭載します。総推力は約26.7トンもあり、これはF-35の19.5トンを大幅に上回っています。その分KAANの機体規模はF-35に比べて非常に大きく、全長だけで比較してもF-35の15.6mに対し21mにも達し、一回りも二回りも大きいことがわかります。

ソフトウェア開発までできるのか

 機体の大きさはKAANの最大の特徴といってもよく、兵装や航続距離において優位性をもたらす可能性があります。KAANがF-35を上回るという根拠はここにあるとみられ、最大搭載量は10tに達するといいます。

 一方で、F-22やSu-57、J-20といった同等の機体はF110よりも強力なエンジンを搭載しており、これらと比較すると明らかにKAANは低推力です。超音速巡航(スーパークルーズ)能力を有するとされますが、あまり大きく速度性能を引き上げることは難しいかもしれません。

 また、航空戦において生死に直結する火器管制レーダーや電子戦システム、それらを制御する作戦ソフトウェアといったより重要な要素がトルコに開発できるのかは未知数です。

 トルコは軍用の大型ドローンにおいて世界をリードし、特に戦闘能力をもった「TB2」はすでに実戦において高い評価を受けています。さらに高性能な「アクンジュ」も開発するなど、目覚ましい発展を遂げており、その技術力の高さを証明しています。

 他方、有人戦闘機の開発はKAANが初めてであり、戦闘における核心的なシステムの開発と、戦闘機としての統合においてどこまでやれるのか、大きな課題となるでしょう。

 トルコの航空宇宙産業にとって、KAANは大きな挑戦であると同時に大きな進歩をもたらすことが期待されています。しかし、機種を問わず戦闘機の開発はスケジュール通り進まないことの方が多いことを考えるならば、KAANもその例に漏れず開発は難航することになる可能性があります。

 2030年代初頭には実用化し、その後は空軍への配備が計画されていますが、KAANがF-35を凌駕する搭載性能を実現し、トルコ空軍の主力戦闘機となるのか、それとも開発の難航により頓挫してしまうのか、注目されます。

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