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ロシア最新戦闘機の「保険」がもはや本命に!? 増備続くスホーイvsウクライナのF-16

乗りものニュース / 2024年6月14日 6時12分

Su-35S「フランカーE」戦闘機。Su-27系列の決定版とも言える機種であり、高性能レーダーなど高い空戦能力を持っている(関 賢太郎撮影)。

ロシアの最新ステルス戦闘機Su-57がいまだ本格運用にならないなか、同国の空軍戦力の中核を担うようになっているのがSu-35です。稼働率も高いため、今後ロシア空軍の屋台骨を担うのは間違いないようです。

当初は150機以上造られるはずだったSu-57

 新しい戦闘機の開発は順調であることのほうが珍しいと言えます。プロジェクト失敗というほどではなかったとしても、スケジュール遅延などは日常茶飯事。特にロシアは、1991年に旧ソ連邦が崩壊して以降、経済的な問題から多数の戦闘機開発計画を頓挫させてきた経緯があり、2024年現在に至るまでただの一機種さえ実用化に至ったものがありません。

 そのなかで唯一、実用化できそうな機種として挙げられるのが、新鋭ステルス戦闘機スホーイSu-57です。

 ただ、同機は試作初号機が初飛行した2010年時点の構想では、実戦配備を2016年に開始し、150機以上を量産するという計画であったのに対し、現実はいまだ十数機ほど量産したにすぎず、ロシア空軍への実戦配備には至っていない状況です。

 ウクライナとの戦争においては、Su-57は射程距離の長い巡航ミサイルの発射など比較的安全な作戦を限定的に行っているとの情報もありますが、少なくとも本格的な実働体制にないといえるでしょう。

 このように、Su-57は開発が予定通り進んでいない模様です。こういう場合、ロシアに限らず各国とも「保険」を用意して不測の事態に対応できるようにしていますが、Su-57の場合もその「保険」の出番となりました。

 ロシアにおいて、その「保険」のような立場にあったのが、スホーイSu-35S戦闘機です。同機の原型はSu-27「フランカー」ですが、機体はほぼ完全に再設計されており、部分的なステルス性の付与や高性能な推力偏向エンジンへの換装、新型レーダー「イルビスE」の搭載など、見た目とは裏腹に著しい性能向上が図られています。なお、その高い能力ゆえに、スホーイは「第4世代戦闘機++」であると言われています。

ウクライナF-16とガチンコ勝負になるか?

 言うなれば、Su-35は今となっては旧式な「フランカー」の派生型でしかないものの、逆に実績ある旧型機を原型にしているからこそ、これまで積み重ねてきた高い信頼性を兼ね備えた改良発展型になっているとも言えます。だからこそ、急きょSu-57の配備遅れをカバーする代役として最適だったのです。

 Su-35の生産数は、Su-57とは反対に当初の予定だった48機から98機へと倍増され、これらは2022年までに全機が引き渡しを終えています。

 また2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、さらにSu-35Sを倍にすることを決めたとも推測され、実際に人工衛星による観測画像によって多くの新造Su-35がロシア空軍へ引き渡されていることが明らかになっています。2024年6月現在、ロシア空軍が保有するSu-35S戦闘機の数は約120機と推測されます。

 公開情報を基に、ロシアとウクライナ、両国の損害を測る民間の情報機関「oryx」によると、ロシア侵攻開始からこれまでの2年間で、少なくとも7機のSu-35Sが戦闘において撃墜されたと公表しており、この数を信じる限りでは、少ないとは言えない損害を出していることが伺えます。損害の大きさはSu-35Sがそれだけ多用されている証だと見なすこともできるでしょう。

 まもなく、ウクライナ空軍にはF-16「ファイティングファルコン」戦闘機が配備される見込みです。F-16との戦いはSu-35が本当に「第4世代戦闘機++」であることを証明する機会となるかもしれません。

 本命誕生までのつなぎであった筈が、思いのほか長期にわたり主力戦闘機を務めた一例となったSu-35。同機は、ロシア空軍が今使える最も性能が高く十分に数のある主力戦闘機として、今後も航空優勢確保のための貴重な戦力となり、重要な作戦を担っていくのではないでしょうか。

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