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「100年前から親日」のトルコ軍艦9年ぶり来日 実はウクライナ軍艦もコレ!? アジア歴訪は“別の意味”あり?

乗りものニュース / 2024年6月17日 8時42分

2024年6月12日、東京国際クルーズターミナルに接岸するトルコ海軍コルベット「クナルアダ」(深水千翔撮影)。

トルコ軍艦が9年ぶりに東京へ姿を見せました。来日の目的は日本との外交関係樹立100周年を祝ってのもの。ただ、日本以外の国々へは友好親善とは別に「売り込み」という目的も含まれていたようです。

来日する前にソマリア沖で海自機と訓練

 トルコ海軍のアダ級コルベット「クナルアダ」(排水量2465トン)が2024年6月12日朝、東京港へ初めて入り東京国際クルーズターミナル(江東区)に接岸しました。トルコ海軍艦艇の東京寄港は、2015年に来たフリゲート「ゲディズ」以来9年ぶり。同港では駐日トルコ大使館のコルクット・ギュンゲン大使や横須賀地方総監の伊藤 弘海将らが出席して歓迎式典が開かれたほか、14日と15日には一般公開も行われました。

 艦長のセルカン・ドアン中佐は入港時の会見で「日本とトルコの関係は私たちにとって非常に大切なもの。トルコを代表してクナルアダが日本を訪問できたことを光栄に思っている」と強調していました。

「クナルアダ」の日本訪問は「日本とトルコの外交関係樹立100周年」を記念する事業の一環です。4月9日にトルコのイズミルを出港した同艦は、トルコ海軍の知名度向上や国産艦艇の紹介、訪問国との関係強化を目的として、一連の航海で20か国24港に寄港する予定とのこと。往路ではサウジアラビアをはじめ、ジブチ、ソマリア、マレーシア、インドネシア、韓国などを訪問しました。また、ソマリア沖のアデン湾では海上自衛隊から派遣され、ジブチを拠点に海賊対処で行動中のP-3C哨戒機と、日トルコ親善訓練を実施しています。

 前出のセルカン・ドアン艦長は「トルコ軍は日本の自衛隊と非常に強い結びつきがある。今日も海上自衛隊から様々な方が来艦されているが、日本へ向けた航海の途中では、アデン湾で自衛隊と共に訓練を行った。また、ジブチを訪問した際には同国に派遣されている自衛官の皆さんを招いて意見交換も行っている」と話していました。

広島・呉でも一般公開を予定

 日本では東京のほか、串本(和歌山県)と呉(広島県)に寄港。串本(和歌山県)では、1890年9月に発生したエルトゥールル号遭難事故の犠牲者を追悼する式典に同艦乗組員が参加しています。東京を就航した後は海上自衛隊呉基地へ立ち寄る予定で、6月19日に一般公開が行われる予定です。

「私たちの航海は4か月半行われる。東京は時期的にまさにど真ん中。地中海から日本近海までの航海で、季節的なさまざまな気象状況があり、通過する国々との関係でも特別なことがあった。私たちはこの航海で学ぶことが多いと思っている」(セルカン・ドアン艦長)

「クナルアダ」はどんなフネ? いろいろメイド・イン・トルコ

「クナルアダ」はイスタンブール海軍工廠で2019年9月に竣工しました。トルコが進める国産哨戒・対潜戦闘艦計画「MILGEMプロジェクト」で開発・建造されたアダ級コルベットの4番艦で、艦名はイスタンブール市の沖合に点在するプリンスィズ諸島のなかで同市に最も近い「クナルアダ島」に由来しています。

 特長としては、国産対艦ミサイル「ATMACA」や、独自開発の戦闘管理システム「ADVENT」を搭載した最初の艦艇だというのが挙げられるでしょう。

「ADVENT」は海軍とHAVELSANが共同で開発したトルコ独自の軍用システムです。艦上に搭載されている複数のセンサーから得られたデータを収集し分析、シミュレーションを行うことで、作戦時における意思決定を支援します。

 加えて自動的に脅威を評価し、センサーを対象に割り当てることで、脅威度に応じて対抗するための武器を割り当てることができるのだとか。さらに、ネットワーク・インフラストラクチャーによって、他の艦船の武器やセンサーと組み合わせて使用することができ、戦術状況図や必要なデータを交換することも可能です。

日本以外の国々への来航は親善以外の意味も

 対艦ミサイル「ATMACA」は、ロケット・ミサイル製造会社ROKETSANが開発しました。射程は220kmあることから、トルコ海軍はハープーン(射程140km)より長射程だと説明しています。

「ポイント・ツー・ポイント・データリンク接続機能によって、ミサイルとの通信が可能だ。データリンク機能を通じて、艦内部からミッションの中止、変更、ターゲットの更新、必要な情報の取得ができる」(トルコ海軍の担当者)

 フリゲート艦、コルベットなどに搭載可能で、水上目標だけでなく陸上目標への攻撃にも使用できるそう。なお、将来的には潜水艦からの発射にも対応することを計画しています。

海外輸出が着実に!

 トルコは国産兵器の開発を推進しており、「過去20年間の成果により、外国依存度を80%から20%に減らすことができた」(トルコ軍の担当者)と話していました。

 アダ級コルベットはトルコ海軍だけでなく、パキスタンやウクライナにも輸出されています。2024年6月10日にはマレーシアがアダ級をベースとした沿岸任務艦(LMS)3隻を導入することが発表されました。同艦はトルコ防衛大手のSTMが主契約者として選ばれており、今後はマレーシア海軍の要求に合わせて同社が設計から建造、納入まで担当することになります。

 今回の「クナルアダ」来日は、冒頭に記したように「日本とトルコの外交関係樹立100周年」に関連したものですが、日本以外の国々への立ち寄りは輸出を睨んでの海外PRの一環だと言えるのかもしれません。

 なかなか日本では見ることのないトルコ軍艦、見学することができたなら造船分野や防衛分野で存在感を増しつつあるトルコの技術力の一端を見ることができるのではないでしょうか。

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