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関東「気動車王国」の離れ小島路線が面白い! 不思議な“右ハンドル”車両 3駅の路線に“スゴイ密度”であるものとは?

乗りものニュース / 2024年6月29日 15時12分

関東鉄道竜ヶ崎線のキハ532形気動車(安藤昌季撮影)。

JR常磐線の龍ケ崎市駅と接続する佐貫駅を起点に、わずか3駅を7分で結ぶ路線があります。関東鉄道竜ヶ崎線です。訪れると、短距離ながら見どころ豊富な鉄道でした。

気動車の先祖もいち早く導入!?

 北関東に路線を持つ私鉄の関東鉄道。51.1kmもある常総線(取手~下館)は、非電化ながら一部複線で、最短6分間隔で列車が運行される都市近郊路線です。その近くに、わずか4.5km、全ての駅を数えても3駅という短距離鉄道があります。同じ関東鉄道の竜ヶ崎線です。

 竜ヶ崎線の歴史は古く、1900(明治33)年の龍崎鉄道 佐貫~龍ヶ崎間開業を始まりとします。開業時の駅は、佐貫、南中島、門倉、龍ヶ崎でしたが、翌年に南中島と門倉のあいだに入地駅が設置されました。当時は線路幅762mmの蒸気軽便鉄道でしたが、1915(大正4)年に1067mmに改軌しています。

 注目すべきは、1927(昭和2)年にガソリンカーを導入したことです。日本におけるガソリンカーは1919(大正8)年が最初ですが、1067mm軌間でのガソリンカー導入は全国でも最初期となります。

 龍崎鉄道のガソリンカーは1両だけで、客車や貨車の牽引には蒸気機関車が使われました。ちなみに1925(大正14)年に導入された4号蒸気機関車が、龍ヶ崎駅から近い龍ケ崎市歴史民俗資料館(茨城県龍ケ崎市)に保存され、資料館には竜ヶ崎線関係の展示物もあります。

 龍崎鉄道は1944(昭和19)年に鹿島参宮鉄道へ吸収されます。そして1957(昭和32)年に南中島、門倉の両駅が廃止され、現在の3駅となったあと、1965(昭和40)年に鹿島参宮鉄道が常磐筑波鉄道と合併して、関東鉄道竜ヶ崎線となりました。

 なお、貨物営業が廃止された1971(昭和46)年より、戦後の私鉄としては日本で初めてワンマン運転を行っています。

運転席が右側に!

 起点となる佐貫駅は、JR常磐線の龍ケ崎市駅に隣接しています。2020年までJRも佐貫を名乗っていましたが、改名して現駅名となりました。ちなみに、JR駅は旧字体の「龍」ですが、関東鉄道は「竜」を使っています。

 開業時は「龍ヶ崎線」で終点も「龍ヶ崎駅」でしたが、1954(昭和29)年に常用漢字が「竜」になることに伴い、「竜ヶ崎」に改めています。ちなみに、市の名前は「龍ケ崎市」。「ケ」の大きさといい、ちょっとややこしいです。

 佐貫駅は建物の上がマンションで、1階に駅を示す表記はありますが、マンションのテナントのような雰囲気。無人駅で、交通系ICカードが使用できます。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2024年5月(日曜日)の朝と昼に2回訪れましたが、どちらも20名程度の乗客が下車し、同じくらいの人数が乗車していました。なかなかの盛況です。

 竜ヶ崎線の気動車は1997(平成9)年製造のキハ2000形と、1981(昭和56)年製造のキハ532形で、基本的には1両で運行されます。キハ532形は動態保存車の扱いで、毎週土曜日に終日運行されています。足回りは国鉄キハ20形の流用で、台車は1959(昭和34)年製造と年代物です。

 どちらの車両も、運転席が進行方向右側に設置されている点が特徴です。通常の鉄道車両は進行方向左側に運転席がありますが、竜ヶ崎線は駅のホームが進行方向右側にしかないため、ワンマン運転の都合上、運転席も右側に設置されているわけです。

 キハ2000形は、運転席の左側スペースが開放され、列車の先端から前面展望を楽しめます。佐貫駅を出発するとすぐに踏切。加速しつつ、次々に踏切を渡ります。

 発車から1分50秒後。5つ目の踏切付近が、かつて南中島駅があった場所です。当然ながらホームはないので、見た目には分かりません。旧南中島駅周辺には住宅が多く、駅が残っていれば重宝されたと思う立地です。後ほど沿線を歩き、廃駅跡にも行きましたが、駅の後を示した小さな看板がありました。

もうひとつの廃駅は分かりやすい

 発車2分後、7つ目の踏切を過ぎると、前方に田んぼと森が見えてきます。線路は一直線、50km/h程度でのんびりと走行します。

 発車3分後、11か所目の踏切を渡ったところが、唯一の途中駅である入地駅です。1面1線ですが、かつて交換施設があった駅で、線路の左側にそれらしき空地が。ホームに「受験生に縁起がいい駅」との看板があります。待合室の黒板に、合格の思いを込めて「5」を書くと合格するというおまじないのようです。待合室の駅名は旧字体で少しレトロ。1名が乗車しました。

 発車4分30秒後、13か所目の踏切の前に、橋があります。長さ2mもなく、日本一短いJR水戸線の川木谷鉄橋と大差ない短さです。

 発車5分20秒後、1か所目の踏切が、かつての門倉駅のあった場所です。こちらは進行方向左側が空地で、ホームがあったことを想起させます。発車から6分20秒後ごろ、初めてポイントがあり、竜ヶ崎駅の構内で休む気動車の姿も見えました。

 ほどなく最後の踏切(起点から19か所目)を渡ると終点の竜ヶ崎駅。発車から7分で終点でした。4.5kmに踏切が19か所ですから、平均236mに1か所踏切がある計算に。「開かずの踏切」で知られる京王井の頭線でも平均385mですから、すごい密度です。

 バスターミナルも併設された竜ヶ崎駅は広めの構内で、プラレールの置かれた待合室と、明るい照明と立派な座席のある待合室がありました。唯一の有人駅であり、筆者は窓口で「竜鉄コロッケ☆フリーきっぷ」を購入。値段は600円ですが、龍ヶ崎コロッケ割引券200円(きっぷ式で1回使える)と販売店の地図が描かれた冊子、乗車証明書が付いてきます。

 龍ヶ崎コロッケは、「第2回ご当地メシ決定戦!2014」(Yahoo! Japan主催)で日本一となったB級グルメで、小粒で分厚く、店ごとにレシピが異なるのも楽しいです。

 龍ケ崎市の市民遺産にも認定されている竜ヶ崎線。短いながら、地域に密着した見どころの多い鉄道でした。

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