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次世代戦闘機の「超スゴイお供」大型無人機ついに公開 肝心の戦闘機どうすんの? 透ける独仏の苦しい思惑

乗りものニュース / 2024年6月22日 6時12分

ILAで公開された「ウイングマン」(画像:エアバス)。

エアバスがF-16戦闘機並みの大型無人機「ウイングマン」を披露。有人戦闘機の意に沿って行動し、空の戦い方を一変させるかもしれません。ただ、肝心の次世代戦闘機の開発が遅れており、独仏の苦しい思惑も見えてきます。

戦闘機を行動をともにする“超スゴイお供”

 ドイツで2024年6月5日から9日まで開催されたベルリン国際航空宇宙ショー(ILA)にて、エアバスは無人航空機のコンセプト「ウイングマン」を発表しました。

 ウイングマンは有人航空機と行動を共にすることを前提とした無人航空機で、有人機の前方に展開して偵察や攻撃を行います。なかでも戦闘機と行動を共にする機会が多くなりそうなことから、最近では「CCA」(Collaborate Combat Aircraft)と呼ばれる機会が増えています。

 ILAで公開されたコンセプトモデルは有人戦闘機のF-16に匹敵する大型機で、高速飛行に適したクリップドデルタ翼とラムダ翼の特徴を兼ね備えた主翼と、ステルス性能を高める上で有利な無尾翼機であることなどから、超音速飛行性能とステルス性能を兼ね備えた無人航空機なのではないかと目されています。

■「第六世代」戦闘機には必須の“お供”に?

 第二次世界大戦の終結後、戦闘機はジェットエンジンを動力とする亜音速機の第一世代、レーダーを搭載し、第一世代機と同じくジェットエンジンを動力とする超音速機の第二世代、第二世代に多用途性を加えた第三世代、その多用途性をさらに高め、速度や運動性能なども追及した第四世代、それら性能をさらに高めた上で、レーダーに映りにくい「ステルス性能」を兼ね備えた第五世代機へと進化してきました。

 日本を含めた一部の先進諸国は第五世代のさらに先を行く、第六世代戦闘機の開発に取り組んでいます。第六世代戦闘機の定義はまだ明確になっていないのですが、CCAを戦闘システムに組み込むことが第六代戦闘機の必須要綱だと考えている国は多く、エアバスのウイングマンコンセプトも、こうした流れの中から生まれたものです。

じゃあ次期戦闘機はいつできるの? ドイツの思惑

 ウイングマンは、ドイツとフランス、スペインが共同で開発計画を進めている新戦闘機「FCAS(Future Combat Air System)」にも対応する見込みです。

 FCASは2019年6月に開催されたパリエアショーでコンセプトが発表されており、その時点から「リモートキャリア」と呼ばれる複数の無人航空機と行動を共にする構想が明らかにされていました。おそらくウイングマンもリモートキャリアの一つで、FCASと行動を共にすることを想定しているものと思われます。

 FCASにはベルギーも高い関心を示しているようで、2025年には正式な開発計画のメンバーとなる話もあります。実現すればFCASの開発計画は大きく前進することになりそうですが、その一方でFCASの開発計画はドイツとフランスの主導権争いや財政難などで遅れをきたしています。

 一方、日本やイギリス、イタリアは新戦闘機「GCAP」の開発計画を進めています。GCAPは航空自衛隊のF-2戦闘機の退役が開始される2035年の就役を目指していますが、FCASはGCAPより約10年後の2045年前後の就役を目指しています。

 そのためもあってか、エアバスはウイングマンと行動を共にする有人戦闘機として「ユーロファイター」の名前を上げており、FCASよりも先にウイングマンを就役させる構想もあるようです。

 ウイングマンと行動を共にする有人戦闘機がFCASになるのか、ユーロファイターになるのかは定かではありませんが、仮にウイングマンがユーロファイターと行動を共にするCCAとして就役したとしても、ユーロファイターの生産終了からウイングマンの量産開始までの間、どうやってエアバスを中心とするドイツ企業の戦闘機の開発・生産基盤を維持するのかという問題が残ります。

独仏「ガマン比べ」の様相に

 このためドイツ政府は2023年に、一度は採用を内定したアメリカ製のEA-18G「グラウラー」電子攻撃機の採用を取りやめ、ユーロファイターの電子戦機型「ユーロファイターEK」をエアバスに開発させることを決めています。

 さらにドイツのオラフ・ショルツ首相は6月5日、ロシアの脅威の高まりなどを理由に、ユーロファイター20機の追加発注の意向を示しており、ドイツの需要だけでもウイングマンとFCASの量産開始まで持ちこたえたいという強い意志を示しています。

 FCASの開発計画の遅れにはフランスも頭を痛めています。フランスは同国航空軍が運用していた「ラファール」戦闘機の中古機をギリシャとクロアチアに輸出していますが、同軍は今後、最新仕様のラファール、つまりFCASの量産開始まで、国防面でも産業面でもつなきとなる戦闘機を受領する予定となっています。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6月7日、ウクライナに対してダッソー「ミラージュ2000」戦闘機を供与する方針を明らかにしていますが、これもウクライナにミラージュ2000の後継機としてラファールを輸出し、将来的にはFCAS計画にウクライナを引き込みたいという、フランスの思惑が見て取れるように思えます。

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