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「ドクターイエロー」空から見たことある? 走る姿は神秘的! “黄色い理由”の効果!!

乗りものニュース / 2024年6月25日 9時42分

浜松町駅にて。JR山手線や京浜東北線、東海道線、東海道新幹線の線路が並ぶなかを「ドクターイエロー」は進んでいく(2016年6月8日、吉永陽一撮影)。

923形「ドクターイエロー」は、鉄道ファンのみならず多くの人々の人気者です。しかし車両の老朽化に伴い、2027年度までの完全引退が決定しました。空から「ドクターイエロー」の雄姿を紹介します。

別の空撮中に偶然にも遭遇

 東海道・山陽新幹線の電気軌道総合試験車923形は、毎月のように東海道・山陽新幹線を走行し、設備の試験やチェックをしています。人や動物の健康をチェックする「医師」と「黄色い車体」にちなんで「ドクターイエロー」という愛称が生まれ、今日では鉄道ファンだけでなく新幹線の利用者や親子にも大人気の存在です。

 試験走行では各駅に停車したり、速達列車「のぞみ」と同じ停車駅だったりとパターンが分かれていますが、ダイヤが公開されていないので、偶然にも見ることができればラッキーといえます。ゆえに、誰からともなく「幸せの黄色い新幹線」といわれ、試験車はまるで縁起物扱い。ひょっとしたら923形は、新幹線のなかで最も人気がある車両かもしれません。

 筆者(吉永陽一)は小型機(セスナ機)やヘリコプターを用いて空撮する写真作家です。上空からとはいえ、「ドクターイエロー」は滅多に遭遇できません。その偶然に出会ったら、空撮というレアな状況も相まって、まさにレアの二重奏です。約20年間空撮してきたなかから、過去に東京と名古屋で出会った「ドクターイエロー」を紹介しましょう。

 2016(平成28)年6月8日、筆者は都心部の鉄道再開発地区の記録空撮をしていました。品川で撮影中、周囲の上空を確認するため羽田空港方向を見ると、東海道新幹線の大井車両基地で、長細く黄色い物体が動くのが目に入りました。視程(目視でどれくらい先まで目視できるかの値)は20kmほどとおおむね良かったため、品川からでも大井車両基地の状況がよく分かり、長細く黄色い物体(ドクターイエロー)はこれから出区して検査へ出るのだと理解できたのです。そこで、東京駅まで空撮することにしました。

そもそもなぜ黄色い?

 撮影前にはどういった絵がカッコイイか、誌面には使えるかなどを上空でイメージします。新幹線の回送線は工場や高層マンションが林立したなかを突っ切り、S字で縫うようにして田町に至ります。そこを「ドクターイエロー」がゆっくりと走ります。

 やがて本線と合流し、東京駅へ。東京モノレール、JR山手線、京浜東北線と、普段は白い車体の新幹線と離合する電車も、黄色い車体との離合となると新鮮味が増します。モノトーンな配色のビル群に囲まれたなかを行く「ドクターイエロー」は、屋根部分までレモンのように鮮やかなイエローを纏い、青のストライプがアクセントとなり、目に焼き付くほど印象的な姿でした。

 なるほど、この色だからこそ人々の人気者になるのでしょうね。それが神出鬼没な存在となると、神秘的にも思えるのです。

 そもそも「ドクターイエロー」がイエローの理由は、黄色にすることで停車中に旅客者の誤乗防止となり、夜間作業の闇夜でもイエローは目立つためとのこと。この色が採用されたのは東海道新幹線開業の1964(昭和39)年からで、921形新幹線軌道検測車と、新幹線試作車両B編成を改造した922形電気検測車(T1編成)が、イエロー地に青のストライプを纏って、新幹線の保守点検に活躍しました。

 その後のT2、T3編成もこのカラーを踏襲し、現在のT4、T5編成はフレッシュイエローという、若干鮮やかなイエローとなっています。

名鉄と近鉄を一緒に収める

 東京で遭遇した2年前、2014(平成26)年8月5日には名古屋でも遭遇しました。野球好きの編集部のオーダーを受け、今は二軍本拠地となったナゴヤ球場と新幹線を一緒に捉えて欲しいとのことで、ナゴヤ球場脇を通過する東海道新幹線を空撮していたのです。

 数々のドラマを生んだ球場の脇を通過する新幹線。こういったシーンはほかの地域では捉えられません。しばらく撮影していると、南の方から黄色い車体が見えました。「ドクターイエロー」の登場です。偶然の出会いに驚きましたが、名古屋の街を行く「ドクターイエロー」の姿を捉えられるチャンスです。

 名古屋らしいシーンは何があるだろうかと考えました。思いついたのは私鉄との並走。名古屋駅直前では東側に名鉄、西側に近鉄が寄り添います。「ドクターイエロー」を追尾しながらパイロットへ「近づいて」「離れて」と細かく指示しつつ、名鉄の車両をやや遠目に狙い、名古屋駅に到着する寸前で近鉄乙特急と同じフレームに収めることができました。

 923形は、営業車両ではほとんど引退している700系車両をベースとしています。2024年6月のJR東海とJR西日本の発表では、923形の老朽化のため、JR東海所属車(T4編成)は2025年1月、JR西日本所属車(T5編成)は2027年に引退するとのこと。後継車両は製造されず、営業車両のN700S系に検測機器を搭載して検査をすることになります。

 鮮やかなイエローで人々を魅了する「ドクターイエロー」の雄姿が見られるのも、あとわずかです。神出鬼没の「ドクターイエロー」とは、またどこかで会えるでしょうか。筆者はその機会を空から狙っています。

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