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次期戦闘機=「目玉飛び出る価格」に!? コスト減につながる“オイルマネーの国”参入 日本は受け入れられる?

乗りものニュース / 2024年6月28日 6時12分

航空自衛隊のF-2戦闘機。次期戦闘機はこれを置き換える計画(画像:航空自衛隊)。

日英伊の3国共同で開発する次期戦闘機は、配備国を増やし、ロット数を増やさない限り、1機あたりがかなり高額になりそうです。その点で、開発参入の意向アリとされる国があります。

いよいよ本腰入る「次期戦闘機」開発

  2024年6月5日、グローバル戦闘機プログラム(GCAP)の政府間機関「GIGO」設立に関する条約が、参議院議院本会議で可決されました。次期戦闘機の開発が、次の段階へ進んだといえそうです。

 GCAPは航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機と、イギリス、イタリア両空軍が運用しているユーロファイター・タイフーン(イタリア空軍での呼称はEF-2000)を後継する新たな有人戦闘機を日英伊の三か国が共同で開発するプログラムです。

 GIGOは日英伊の三か国間と、開発と製造に参加する日英伊の民間企業の間を調整するための国際機関で、2024年度中の設立を目指しています。日本政府は2023年12月にGIGO設立条約に署名。2024年5月に衆議院の承認を得ており、今回参議院の承認を得たことで、GIGOの設立に向けた日本の法整備はすべて完了したことになります。

 法整備の完了により、GIGOの2024年設立、さらにはGCAPで開発される新有人戦闘機の2035年の就役開始という目標にまた一歩前進したことは間違いありませんが、GCAPで開発される新戦闘機の開発と実用化には、解決しなければならない課題が山積しています。その一つがGCAPの参加国拡大です。

 前にも述べたように、GCAPの有人戦闘機の開発と製造には日英伊の企業が参加しますが、イタリアで機体の開発と製造を主導するレオナルドのロベルト・チンゴラーニ最高経営責任者(CEO)は共同通信の取材に対し、将来的な開発計画に参加する国の拡大を「排除すべきでない」と述べ、GCAPの参加国拡大に含みを持たせています。

 では、GCAPに加わりたいと考えている国とはどこなのでしょうか。

「仲間に入れて」日本は受け入れられる?

 2023年8月11日付のイギリス大手経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、サウジアラビアがGCAP計画への参画を求めていると報じています。

 GCAPの源流の一つであるイギリスの有人戦闘機「テンペスト」が発表されたのは2018年7月に同国で開催されたファンボロー・エアショーのことですが、この際、説明にあたったイギリス空軍の幹部は、「テンペストの開発で協力できそうな国はどこ?」という筆者(竹内 修:軍事ジャーナリト)の質問に対して、日本とイタリアのほかサウジアラビアの名前を挙げていました。

 実現はしませんでしたが、サウジアラビアは同国空軍が導入したユーロファイター・タイフーンの国内最終組み立てを計画していました。イギリス、イタリアの両国は戦闘機以外の分野でもサウジアラビアと結びつきが強く、これらの事情を勘案すれば、サウジアラビアがGCAPへの参加を求め、イギリス、イタリアの両国が前向きな姿勢を示すのは、不思議なことではないと筆者は思います。

 一方、日本は参加国の増加による開発・就役計画の遅れに対する懸念や、サウジアラビアがイスラム教シーア派などへの武力を行使しているため、防衛装備品の輸出ができない「紛争当事国」ともみなされることなどから、イギリスとイタリアが完成機を輸出することはともかく、GCAPのパートナーとして迎え入れることには、消極的な施設を示していました。

 開発・就役計画の遅れや、防衛装備移転三原則の制限などから、日本がサウジアラビアのGCAP参加に消極的な姿勢を示すのは当然と言えば当然なのですが、完全に否定できない側面もあります。その一つが有人戦闘機の価格です。

このままいけば1機いくらに…?

 2024年6月11日、大手航空宇宙防衛メディアの「アビエーション・ウィーク」が、東京で「航空宇宙防衛フォーラム2024」という名称の講演会を開催しました。この講演会で防衛部門についての講演を行った同社のクレイグ・カフリー航空宇宙業界シニアアナリスト(将来予測およびMRO)は、GCAPを含めた第6世代戦闘機の1機あたりの単価について、200億円を超えてしまうのではないか、との見込みを発表しています。

 というのも、日本を含めた先進諸国の空軍では、有人航空機と行動を共にする無人航空機「CCA」(Collaborate Combat Aircraft)を組み合わせた運用が主流となり、2050年には現在F-2やユーロファイター・タイフーンなどの戦闘機が12機で行っている任務を、後継する第6世代戦闘機8機とCCA12機で担当することになる見込みだといいます。CCAを統御するGCAPのような第6世代戦闘機は必然的に高性能かつ高額になるのです。

 航空自衛隊のF-2A/Bは94機(試作機を除く)製造されていますが、カフリー氏の予想が正しかった場合、GCAPでの日本向けの製造機数は70機程度となります。工業製品のご多分にもれず、戦闘機も製造数が少なくなるほど、1機あたりの単価は上がります。

 イギリスとイタリアもそう事情は変わらないはずで、このまま行くと、日英伊の参加国は1機あたり200億円前後の、高額な有人戦闘機を買うことになりかねません。

 前に述べたチンゴラーニ氏は共同通信に対して、仮に開発・製造コストが膨張した場合でも、関係国が多ければ吸収できると述べています。

 これまでGCAPで開発される有人戦闘機については、性能や日英伊参加国の役割分担といった面がクローズアップされてきましたが、サウジアラビアの加盟も含めて、「コスト」をいかにして抑えるかにも重きを置いて考えていくべきなのかもしれません。

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