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「A-10を退役させろ」ついに年貢の納め時? スーパー攻撃機も「現代戦では使えない」を示したロシアのライバル機

乗りものニュース / 2024年6月29日 6時12分

アメリカ空軍のA-10「サンダーボルトII」攻撃機(画像:アメリカ空軍)。

いまだ根強い人気を誇るアメリカ空軍の対地攻撃機A-10「サンダーボルトII」ですが、同機はもはや現代戦には通用しないとか。なぜなら、同じ用途で開発されたロシア攻撃機の損耗率が極めて高いことが理由になるそうです。

「ロシア版サンダーボルトII」Su-25

 近年、アメリカ空軍においてA-10「サンダーボルトII」の退役を進めようとする動きが注目を集めています。同機は、その独特なデザインと圧倒的な攻撃力で知られ、対テロ戦争においては多大な戦果を上げてきました。しかし、その一方で、現代戦での有用性に疑問が呈されているのも事実で、特に国家間戦争ではその生存性の低さが指摘されています。

 A-10「サンダーボルトII」は、1970年代に開発され、主に地上部隊の近接航空支援(CAS)を目的とした対地攻撃機です。その堅牢な構造と30mm機関砲を始めとした強力な火力は、敵の装甲車両や地上部隊に対して非常に効果的です。

 これまでに何度も退役の話が持ち上がっては見送られ、そういったなかでイラクやアフガニスタンでの対テロ作戦では圧倒的な制圧力を示しました。このことが評価され、現役に留まってきた経緯があります。

 では、なぜ今、アメリカ空軍はA-10を退役させたがっているのでしょうか。主な理由は、冒頭に記したように現代戦ではA-10もあまり有用ではないと考えられるようになったからです。

 対テロ戦争においては、敵が優れた対空兵器/システムを持たないため、A-10はほぼ自由に作戦行動を実施することが可能でした。しかし、国家間戦争では、敵の防空システムが高度に発達しているため、A-10のような低速での作戦行動は非常に危険です。

 この点を明確に示しているのが、ロシアのSu-25「フロッグフット」の例です。

 Su-25は、A-10と同様に対地攻撃を主眼に置いたジェット機で、その設計思想も酷似しています。一方、2022年から現在も続くウクライナへの侵略戦争では、ロシア軍のSu-25がウクライナ軍の防空システムによって多大な損害を被っています。

敵が高性能な防空システム持っていると…

 公開情報を基に、ウクライナとロシア、双方の損害情報を集計している民間の情報機関「oryx」の報告によれば、ウクライナ軍との戦闘において、わずか2年間で約30機ものSu-25が撃墜されたそうです。また、2022年以前の東ウクライナを巡る戦いにおいても、Su-25はかなりの損害を出していると推測されます。

 損失の主な原因は、Su-25が低高度での作戦行動を余儀なくされている点にあります。ウクライナでは、比較的高い高度は地対空ミサイル(SAM)によってカバーされており、作戦を行うことが困難になっています。一方、低空は携帯型防空ミサイルシステム(MANPADS)の脅威が顕著で、Su-25は低速であるがゆえに、これら防空システムに対して脆弱であり、結果として大きな損失を記録しているのです。

 これらSu-25の被害状況を鑑みると、同様のミッションをA-10が行った場合、同じような結果になる可能性が非常に高いと言えます。A-10も低速での作戦行動を前提として設計されており、現代の高度な防空システムに対しては脆弱です。つまり、国家間戦争を想定した場合、A-10はその性能を十分に発揮できず、むしろ戦場でのリスクを高めてしまうと言えるでしょう。

 対テロ戦争の時代には、A-10はその独自の強みを生かして多大な戦果を上げてきました。敵が高度な防空能力を持たないため、A-10は自由に低空での攻撃を行うことができました。しかし、時代が進み、国家間戦争が再び注目される現代においては、A-10のような機体の有用性は限られています。

 同じ予算の中で装備を調達するなら、多用途に使える戦闘機を優先しようという考え方は、現代においては妥当です。SNSなどを始めとして、いまだA-10の有用性を強く主張する人たちも見受けられますが、今回もまた退役を撤回させられるのか、今度ばかりは厳しいと言えるかもしれません。

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