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「料金未納」「時間超過」だらけでいいのか? 路上のパーキング・メーター&チケット 機器の歴史は不正の歴史?

乗りものニュース / 2024年7月10日 12時12分

パーキング・メーター(植村祐介撮影)。

路上のパーキング・メーター、パーキング・チケットは、どちらも短時間駐車の需要に応えるもの。その機器は不正対策とともに進化してきました。それでも“未納”が目立つ現状があります。

パーキング・メーター/チケット そもそも違いは?

 時間貸し駐車場の料金が高い都市部の繁華街で、“ちょっとした用事”を済ませるときに便利なのが、パーキング・メーターやパーキング・チケットです。どちらも路上に描かれた駐車枠にクルマを停めるというルールは共通ですが、使い方は異なっています。

 パーキング・メーターは、駐車車両を感知するセンサーを搭載した本体装置が枠ごとに設けられ、利用者は駐車後ただちに「作動手数料」を支払います。本体装置は駐車時間を表示するディスプレイを備えており、駐車からの経過時間を示します。

 パーキング・チケットは、いくつかの駐車枠ごとにチケット発給設備が用意され、利用者はこの発給設備に「発給手数料」を支払い、チケットを受け取ります。チケットには発給年月日、時刻と、終了時間(駐車が認められる時間の終了時刻)が印字されており、利用者はフロントウインドーなど、車内前方の見やすい位置に掲示しなければなりません。

 このように、パーキング・メーターとパーキング・チケットでは使い方に違いはありますが、いずれも「短時間駐車の需要に対応するため、道路状況、交通への影響や支障などを勘案して、駐車枠で指定した場所・方法に限り短時間駐車を認める」(警視庁)ために設置されるもので、「時間制限駐車区間」という正式な呼称は共通です。

60分以上停めたいという「違反」を防げ

 ところで、大都市圏のパーキング・メーターやパーキング・チケットは、多くが「60分300円」と、周辺の時間貸し駐車場よりも時間あたり単価が安価なことから、「そのまま停め続けたい」というニーズが少なからず存在します。

 しかしパーキング・メーターは、本体装置のセンサーがクルマの移動を感知したのちでなければ、新たな支払いを受け付けない構造とし、「クルマを停めたままでの料金追加」が不可能な仕組みとなっています。

 ただかつては、本体装置のセンサーの“バグ”を突き、クルマを動かさなくても本体の駐車時間を「ゼロ」とし、新たな手数料支払いを可能にするテクニックが裏技として知られていました。2007年から2009年には、このテクニックを使い、同じ場所にトラックを停め続け、宅配の拠点としていた大手運送会社の社員が書類送検される事態も起きています。

 こうした手口に対し、当時は本体装置のセンサー部の部品を交換することで対策していましたが、以降に置き換えられた本体装置については、センサー部分を変更し、同様の手口が使えない設計としています。

●パーキング・チケット「使い回し」も違反だ!

 一方、パーキング・チケットも制限時間以上の駐車は違反ですが、その仕組み上、新たにチケットの発給を受け、掲示して“停め続けること”は、形の上では可能です。

 ただ現在、東京都で広く導入されているパーキング・チケット発給機は、手数料支払い時に「テンキー」で駐車車両のナンバー4桁を入力する必要があります。

 そしてこの数字をチケットに印字することで、「1枚のチケットを複数のクルマで使い回す」ことを抑制する仕組みとなっています。

実は曲がり角? パーキング・チケット/メーターどう進化

 では今後、パーキング・メーターやパーキング・チケットはどうなっていくのでしょうか。

 パーキング・メーターはその構造上、クルマを路肩部分に停める必要があり、自転車の走行空間に干渉することから、国土交通省や警察庁が進める「自転車は『車両』であり車道通行が大原則」という考え方にそぐわない部分があります。また個々の駐車枠に本体装置を用意する必要があることから、設置の手間も大きくなります。

 そのため、今後の新設はパーキング・チケットが主流となり、パーキング・メーターも、道路の状況によってはパーキング・チケットへの置き換えが進んでいくものと考えられます。

 ただ現在気になるのは、パーキング・メーターおよびパーキング・チケットの適正な利用を確認する管理員の数が不足しているのではないかということです。

 1990年代には、パーキング・メーターやパーキング・チケットが設置された道路には、かなりの頻度で管理員が巡回し、不適切な駐車に対し警告書を貼付していました。しかし現在はそうした管理員の姿を見ることはまれで、場所によっては駐車車両の半数以上が未納、時間超過といった状態であることも珍しくありません。

 そのため、そうした道路へ新たに停める利用者も「みんながやってるんだから、大丈夫か」と、作動手数料、発給手数料を支払わないケースが多くなるという悪循環を生んでいます。

 2024年3月には、東京都内で全国初となる「キャッシュレス決済&4か国語対応 パーキング・チケット発給機」も登場するなど、新たな動きもみられます。

 ただ新たな技術については、こうした「キャッシュレス」「マルチリンガル対応」だけでなく、パーキング・メーターおよびパーキング・チケットの適切な管理などにも導入し、「お金を入れて停める正直者がバカを見る」という現状を改めてほしいものです。

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