デカいデカすぎる!「世界最大のLNG船」誕生へ 一挙18隻「中国で」建造へ
乗りものニュース / 2024年7月8日 7時42分
カタールが発注した世界最大のLNG船が一挙18隻、中国で建造されます。その造船契約の規模も世界最大級。LNG輸出をめぐって日本とも馴染の深かったカタールですが、世界でLNG需要が高まるなか、中国が存在感を放っています。
今までのヤツより全然デカいLNG船
世界最大のLNG(液化天然ガス)船が中国で建造されます。カタールの国営石油・ガス会社カタールエナジーは2024年4月、 27万1000立方メートル型LNG船18隻の建造契約を中国国有造船大手の中国船舶集団(CSSC)と結んだと発表しました。投資総額は約60億ドル。全隻がCSSCグループの滬東中華造船で建造され、2028年から2031年にかけて引き渡されます。
カタールエナジーはLNGの生産能力を2030年までに年7700万トンから1億4200万トンに増強するプロジェクトを推進しており、これに対応してエネルギー輸送を担うLNG船隊も大きく拡張します。新造整備されるLNGは122隻と史上最大規模。このうち18隻が今回、建造が決まった世界最大規模の「QC-Max型」となっています。
新造船QC-Max型のLNG積載容量は27万1000立方メートル。これは日本にも寄港している標準的な17万4000立方メートル型をはるかに上回り、現在就航している中で最大船型となる26万立方メートル型(Q-Max型)をも超える世界最大のLNG船です。全長は東京タワーの高さを超える344m、幅は53.6mで、5つのカーゴタンクを備えています。
LNGを燃料として使用する2元燃料(DF)エンジンを搭載するほか、船底に空気を送り込み気泡で船体を覆うことで船の推進・抵抗を少なくする空気潤滑システム(ALS)や主機駆動の発電機であるシャフトジェネレーター(軸発電機)などの省エネソリューションを採用。これに加えてスロッシング(液面振動)監視機能付きのカーゴタンクや衝突防止システムなど、さまざまな先進的な技術が取り入れられる予定です。
世界最大のLNG船といっても、70か所以上のLNGターミナルに接岸することが可能で、カタールからのLNG輸送で使用されている主要な航路をカバーすることができます。
カタールエナジーの社長兼CEO(最高経営責任者)で同国のエネルギー担当国務大臣も務めるサード・シェリダ・アルカービ・カタール氏は北京で行われたCSSCとの調印式で「本日建造契約が結ばれた船は、最新鋭で過去最大規模のLNG船であり、総額は約60億ドルにも上る。これは単一の建造契約としては業界史上最大のものになる。環境の持続可能性を常に優先しながら、LNGという安全で信頼できるエネルギー源を提供するという約束を果たすカタールエネルギーの決意を表明したい」と語りました。
中国とカタール まさに「蜜月」
「QC-Max型」を建造する滬東中華造船は、全18隻のうち8隻を2028年と2029年に、残り10隻を2030年から2031年にかけて納入する予定です。保有する船会社については現段階では4隻が招商局集団の招商局能源運輸(CMES)、3隻が山東海洋集団、2隻が中国液化天然気運輸(CLNG)と、いずれも中国船社が占めます。
滬東中華造船はこれに加え、カタールエナジーからLNG船隊の整備計画の一環として、標準型となる17万4000立方メートル型LNG船12隻を受注しており、2024年の第3四半期(7-9月)中に1隻目が引き渡される見通しです。
今回の建造契約はエネルギー分野で中国とカタールの協力関係がさらに強化されたことを示します。2023年、カタールから中国へのLNG輸出量は年間約1700万トンに達しました。
なお、カタールエナジーが新造整備するLNG船122隻は、滬東中華造船のほか、韓国のHD現代重工業、サムスン重工業、ハンファオーシャン(旧大宇造船海洋)が建造を担当します。かつてLNG船の建造で世界をリードしていた日本の造船所の姿はありません。
日本は年600万トン規模のLNGを毎年カタールから輸入してきましたが、世界のLNG供給の不確実さを背景に長期調達契約を相次いで打ち切って以降、2023年には岸田首相が10年ぶりに首相としてカタールを訪問するなど、関係を模索しています。
この間、2023年に中国はカタールからLNG以外に原油、ナフサ、LPG(液化石油ガス)、ヘリウム、肥料・ポリマー・化学品なども多く輸入しており、カタールが主要な供給国となっています。
こうした関係強化を背景に中国企業のカタール進出も進んでおり、中国はカタールが進める世界の天然ガス埋蔵量の約10%があるともいわれるノースフィールドガス田の拡張プロジェクトで権益の一部を取得しました。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
船の新燃料の“本命”? 国内初の内航「メタノール燃料」タンカーの実力 世界中で供給可能!でも日本では
乗りものニュース / 2024年7月6日 7時42分
-
アメリカ屈指の巨大造船所「韓国メーカー」が買収へ 米海軍長官がほくそ笑んでいるワケ
乗りものニュース / 2024年7月5日 9時42分
-
LPG燃料推進LPG/アンモニア運搬船「GAS AMETHYST」の引き渡し
Digital PR Platform / 2024年6月28日 11時0分
-
ベンチャー・グローバル、最新鋭のLNG船隊から第1船を就航
共同通信PRワイヤー / 2024年6月27日 10時22分
-
デカいぞ「クラウン3000台積み」 トヨタの新・自動車運搬船が登場 代替燃料で“輸送も脱炭素”加速へ
乗りものニュース / 2024年6月13日 9時42分
ランキング
-
1《旭川女子高生殺害》事件直前に助け求めたコンビニ店を責める正義の暴走 他のコンビニ店員「時給1000円とかでそこまで担うのは勘弁」
NEWSポストセブン / 2024年7月7日 16時15分
-
2なぜSuicaのペンギンは愛されるのか ペンギンの顔をした「ベレー帽」が“激アツ”の理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月7日 7時30分
-
3「同じ値段なら日本に行く」韓国人、済州島の宿泊施設が続々廃業―韓国メディア
Record China / 2024年7月7日 20時20分
-
4円安、中小企業の5割超が「デメリット大きい」…原材料価格の上昇や外国人労働者の求職減少
読売新聞 / 2024年7月7日 17時26分
-
5「休日は何をしているんですか?」にバカ正直に答えてはいけない…センスのいい人が自然とやっている返し方
プレジデントオンライン / 2024年7月7日 8時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください