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ドローン戦争の今こそ戦闘機F-15復権か?「イーグルII」沖縄配備が理にかなっているワケ

乗りものニュース / 2024年7月10日 6時12分

アメリカ空軍のF-15EX「イーグルII」(画像:アメリカ軍)。

アメリカ国防総省が沖縄県の嘉手納基地にF-15EX「イーグルII」を配備すると発表しました。ただ、なぜF-22やF-35といったステルス機ではないのでしょうか。実はF-15EXの方が向いている任務もあるからです。

ドローン対処ならステルス性は必要なし

 昨今、戦闘機においてレーダーに対する超低観測性、いわゆる「ステルス性」は絶対的な要素として捉えられてきました。しかし近年になって、非ステルス戦闘機F-15「イーグル」見直しの機運が高まっています。その背景には「ドローンの脅威」と、F-15の拡張性の高さがあります。

 ドローンは、数百km以上の航続距離を持つ自爆型であれば、1機あたり数百万円程度で調達できます。そのため、あまりお金をかけなくても数を揃えることができるため、1回の戦いに多数の機体を同時に投入しやすく、物量戦を仕掛けやすい航空機です。

 たとえば、2024年4月13日深夜から14日にかけて行われたイランによるイスラエル爆撃では、ドローン約170機、巡航ミサイル30発以上の飛翔体で攻撃を実施しており、一方でイスラエル側はそれらを迎撃するために、多数の有人戦闘機を出撃させて対応にあたりました。

 こうした物量を活かした「飽和攻撃」に効率よく対抗するには、戦闘機1機あたりのミサイル搭載量を増やすのが効率的であると考えられます。

 しかしステルス機は、その特性上、機体内部に兵装類を格納する「ウェポンベイ(兵装庫)」を備え、そのなかに空対空ミサイルなどを格納する構造のため、おのずと搭載量が限定されます。たとえば、F-22であれば空対空ミサイル8発が限界であり、F-35に至ってはわずか4発、ステルス性を損なう外部搭載を実施しても最大8発しか積めません。

 そこで注目を集めているのが、F-15戦闘機シリーズの最新型であるF-15EX「イーグルII」です。このタイプは、F-15の積載力を向上させる改修が施されているため、最大12発の空対空ミサイルを搭載できます。しかも、さらなる兵装増大仕様のコンセプトモデルでは、最大24発まで拡張できるそうです。

日本の独自アップデートでもミサイル数を増やす予定

 航空自衛隊のF-15Jも、現行モデルでは空対空ミサイル最大8発ですが、近代化改修型F-15JSIへアップグレードした場合には、10~16発を搭載できようになる可能性があります。

 つまりF-15EXやF-15JSIは既存の戦闘機の2~4倍の効率で、ドローンや巡航ミサイルを迎撃することが可能といえるでしょう。

 F-15EXの純粋な空中戦能力はF-22やF-35には劣るかもしれませんが、防空のための迎撃戦闘機(インターセプター)ならば十分すぎるほど高性能であり、またステルス性に劣る欠点も問題にはなりません。

 ドローンの活用は今後も拡大する一方なのは間違いなく、飽和攻撃の規模はより一層拡大することになるでしょう。こうした事態において、開発元のアメリカを筆頭にF-15の搭載力拡張には大きな期待が寄せられているのです。

 また、F-15シリーズが持つ優れた搭載力は、空対空ミサイルだけでなく、巡航ミサイルや自爆型ドローン搭載母機としても優秀であることを意味します。目を転じると、イスラエルでは自軍のF-15に大型の空中発射弾道ミサイルを搭載し、試験も行っています。敵防空網のカバーエリア外から、これら兵装を発射するミッションに、F-15は最も適した戦闘機であるといえるでしょう。

 F-15が開発された1970年代当時、F-15をこうしたミッションに使うことは考えられていませんでした。しかしF-15は単なる古い戦闘機ではありません。その拡張余地の大きさが新しい時代への適応を可能にしたのです。

 アメリカ国防総省も、このたび在日米軍の嘉手納基地にF-15EX「イーグルII」を配備すると発表しました。こうしたことを鑑みると、F-15シリーズは、今後もステルス戦闘機と併存する形で、長く使われていく模様です。

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