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「ドコモ系vsソフトバンク系」戦争終結? 異例の“シェアサイクル相互乗り入れ”へ “振替輸送”も構築!?

乗りものニュース / 2024年7月10日 18時32分

提携のイメージとして、ドコモ・バイクシェアの赤い自転車と、ハローサイクリングの白い自転車が並べられたシェア駐輪場(乗りものニュース編集部撮影)。

利用が拡大するシェアサイクルの分野で、NTTドコモ系とソフトバンク系のサービスが異例の提携へ。「公共交通」としてのシェアサイクルの利便性をさらに高めます。ゆくゆく“一つになる”ことも視野にあるそうです。

都市部に強いドコモ、郊外に強いハローサイクリング提携へ

 利用が拡大するシェアサイクルサービスの大手2社が提携します。NTTドコモ系の「ドコモ・バイクシェア」と、ソフトバンク系の「ハローサイクリング」(オープンストリート社)が2024年7月10日、業務提携について記者会見を行いました。

「ドコモとソフトバンクの子会社どうしが業務提携する珍しいケース」だと、オープンストリートの工藤智彰社長は話します。

 ドコモ・バイクシェアは2010年頃から都市部を中心に始まり、全国58エリアにて展開。2023年度の利用回数は国内1位の約2200万回という、大手事業者による国内シェアサイクルサービスの先駆的存在です。

 これに対しハローサイクリングは2016年以降、急速にサービスを拡大し、シェアサイクルのポート数では全国約8500か所と、ドコモの3370ポートを大きく上回るまでになっています。なお、両者とも自治体などと連携し、各地域ごとに様々な名称でサービス展開しています。

「街なかで、駅から電車やタクシーの代わりにシェアサイクルが利用されています。東京で乗れば、駅と駅が自転車でも案外近いことに気づくはず」(ドコモ・バイクシェア 武岡雅則社長)

 今回の業務提携は、その両者のポートをユーザーが共同利用できるようにすることがメイン。ドコモのシェアサイクルを利用して、ハローサイクリングのポートで返却できる、あるいはその逆を実現したい構えです。

 というのも、ドコモは都心部、ハローサイクリングは郊外というように、両者のポートが集中するエリアが分かれていて、利用者が別サービスのエリアに入っていくと自転車を返却できない、というケースがあるためです。ハローサイクリングの場合、「ドコモさんより後発だったので、周りから陣取った側面もあります」と工藤社長は明かします。

「協業の議論は、ここ1年くらい、シェアサイクル業界全体の課題を話し合うなかでしてきました。ハローサイクリングは、独自のアプリをインストールせずとも『PayPay』や『LINE』などから利用できるようにしてきましたが、こうしたアプリ連携を進めるなかでも欠けていること、それが『同業他社との連携』でした」(工藤社長)

 工藤社長は、「これまではある種の取り合いをしていた。でもそういうフェーズは終わった」と力を込めます。

実際には非効率な「土地の取り合い」だった

 両者の協業は、単にユーザーの利便性向上というだけではありません。「日本のシェアサイクルは用地確保が大変」だそうで、そこに大きなメリットをもたらします。

 たとえば、自治体がシェアサイクル・シェアモビリティを導入するシーンで、「公有地をドコモ、ハローサイクリング、LUUPさんで単純にスペースを分けて並べることがある」(武岡社長)といいます。そのどれかのスペースが返却する自転車であふれていても、別のサービスの区画には返却できない、そうした「静的な分割は非効率」だと話します。

 横浜市では、ドコモは都心と市中部、ハローサイクリングそれ以外の郊外というように、市の全域でエリア分けができているそう。
「実際ドコモの自転車のユーザーが、ハローサイクリングのポートのあるエリアまで来ていますが、現状、その間は延長料金で走り続けている」(武岡社長)とのこと。

 一方で、ドコモとハローサイクリング、両方のアプリを入れている人は多いとのこと。それがくっつくので、利用は急激に伸びるのではないかといいます。

 しかし今回は、相互利用の実施時期は「2024年度から25年度」、さらに「ひとつのエリアで実施して、しばらく様子を見ると思う」(武岡社長)などといい、大々的な広がりには含みを持たせました。

 というのも、シェアサイクルは、返却された自転車を再配置したり、バッテリーを交換したりする裏方のオペレーションが支えているサービスであり、その効率が採算を大きく左右するといいます。相互でオペレーションを補完し合う関係も構築するものの、未知数の部分があるため、「ノウハウができて『いける』と思ったら」、スピード感をもってエリアを拡大したいということです。

 ちなみに、欧米でシェアサイクルが「公共交通」として位置付けられていることも紹介されましたが、それもあってか、関係者からは今回の事例を「相互乗り入れ」などと、鉄道になぞらえる説明も聞かれました。「どちらか一方のシステムがダウンした場合に、もう一方のサービスを利用するといった“振替輸送”のようなこともできる」と話す関係者も。

 両社は今回のポート相互利用の先に、サービス料金の統合を、もう一歩先の話として、両社が統合することも視野に入れています。

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