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新型戦車? いいえ「レオパルト2」です! 攻撃力も防御力も大幅向上「ひょっとしたら売れるかも!?」

乗りものニュース / 2024年7月18日 18時12分

「ユーロサトリ2024」に展示された新型無人砲塔を装備した「レオパルト2 A-RC 3.0」(布留川 司撮影)。

ベストセラー戦車「レオパルト2」の最新モデルが今回の「ユーロサトリ2024」で披露されました。ただ、一見すると新開発の戦車と見紛うほど変わっており「レオパルト2」ファミリーとは思えないほど。ドコが変わったのでしょうか。

砲塔を無人化するとメリットがたくさん

 フランスの首都パリで2024年6月に開催されていた安全保障関連の見本市「ユーロサトリ2024」にて、多国籍企業KNDSはドイツの主力戦車「レオパルト2」をベースにしたコンセプトモデル「レオパルト2 A-RC 3.0」(以下RC 3.0)を出展していました。

 この戦車の一番の特徴は砲塔を無人化したことで、名称に含まれる「RC」とは遠隔操作を意味する「リモート・コントロール」の頭文字から取ったものです。従来の「レオパルト2」では車長、操縦手、砲手、装填手の4名が乗り込むのに対し、RC 3.0では主砲に自動装填装置を採用したことで、装填手を削減し乗員数を3名に減らしています。

 自動装填装置の搭載によって乗員数を3名にした戦車は、日本の90式戦車や10式戦車を始めとして世界中に数多く存在します。しかし、RC 3.0は砲塔内も無人化することで乗員3名はすべて車体に乗り込み、そのぶん砲塔には高性能な機器を搭載することで、攻撃力を強化しています。

 RC 3.0の無人砲塔では、自動装填装置は砲弾ラックも砲塔内部に組み込むことで、10秒で3発という短い間隔で射撃が可能となり、さらに砲自体がモジュラー式になったことで、現用の120mm滑腔砲だけでなく、130mm口径や140mm口径といった、より大威力な砲を装備することも可能です。

 また近年、急速に普及・発達しているドローンへの対策として、砲塔上部に30mm機関砲を搭載したRCWS(遠隔操作兵器ステーション)を装備しているのも特徴でしょう。この機関砲は空中炸裂弾を使用することができるため、接近するドローンの迎撃が可能です。さらに、砲塔には収納式のミサイル用ランチャーも装備されており、主砲が届かない遠方の目標を攻撃することもできるといいます。

 戦車としての打撃力が大幅に向上したRC 3.0の新しい無人砲塔ですが、その利点はこれだけに留まりません。

防御力アップも無人砲塔で可能に

 前述したようにRC 3.0では、それまで砲塔内に居た車長と砲手が、操縦手と共に車体に乗り込みますが、3名を収容するエリアは強固な装甲で守られているため、被弾時に乗員が負傷する可能性も従来より減っているとのこと。これに伴い、車内もレイアウトを変更することで戦車としての防御力も向上しているそうです。

 KNDSの資料によれば、乗員防護に伴うレイアウト変更によって、従来の戦車と比較した場合、脆弱とされる部分が約30%も削減されたといいます。

 ただ、乗員が車体に集約されたことで、これまで砲塔内で車長と砲手が行っていた様々な操作や作業を、RC 3.0では車内から遠隔で行う必要があります。たとえば、砲手はコンソールを通じてリモートで索敵や射撃を行います。そういったことを鑑みると、RC 3.0の砲塔は実質的には巨大なRCWS(遠隔操作兵器ステーション)だと言えるでしょう。

 一方、車長は従来の戦車で一番見晴らしの良い部分に陣取り、各種視察装置やセンサーを駆使するほか、場合によっては自ら砲塔の外に出て、肉眼で状況を把握して任務を遂行していました。

 それが、RC 3.0では砲塔上部のセンサーターレットや、車体各部に付けられたカメラとセンサーを通じて、車外の様子を知ることになります。複数のセンサーによって得られた情報は、車内のコンピューターによって情報が統合され、目視よりも優れた状況認識能力を発揮すると担当者は説明していました。

 なお、多くの情報を集約することで逆に車長が情報過多のオーバーワークにならないよう、状況に応じてAIアルゴリズムが情報の選別も行ってくれるそうです。

レオパルト2採用国に提案することも

 こうして見ると、RC 3.0は新技術がふんだんに盛り込まれた次世代戦車のように思えます。しかし、ヨーロッパ各国では将来の戦車について、もっと先の進化を見据えているため、RC 3.0はその間隙を埋めるための中継ぎ的な存在のようです。

 2024年7月現在、フランスとドイツは共同で次世代戦車を開発する「MGCS(陸上主力戦闘システム)計画」を進めています。ただ、そのスケジュールは遅れており、実際に配備されるのは2040年代だと言われています。また、その頃には戦車という概念自体が大きく変化している可能性があり、KNDSではその繋ぎとなる現行戦車の延長上にある新型車両を開発している模様です。

 今回のユーロサトリ2024では、このRC 3.0以外にもフランスの主力戦車「ルクレール」の発展型「ルクレール・エボリューション」が展示されていたほか、ドイツのラインメタル社も新戦車KF51「パンサー」を出展していました。すなわち、MGCS計画前の暫定戦車の座を狙って、様々なモデルが静かなアピール合戦を繰り広げていたとも言えるでしょう。

 なお、RC 3.0の場合、ベースとなった「レオパルト2」を採用した国は世界中に数多く存在するため、MGCS計画とは別にそれら現行の「レオパルト2」運用国に対して、アップグレードキットや更新車両として提案することも可能です。

 こうして見てみると、RC 3.0は、「ルクレール・エボリューション」やKF51「パンサー」よりも多くの潜在的なユーザーがいることから、ひょっとしたらコンセプトモデルとして終わらず、量産モデルが登場する可能性も低くないのかもしれません。

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