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世界初でしょ「え、潜水艦をニコイチで!?」 驚愕の修理方法で復活した原潜 いつまで使うの?

乗りものニュース / 2024年7月29日 6時12分

修理後復帰した後のリュビ級原子力潜水艦「ペルル」(画像:フランス海軍)。

自動車修理には、2台の故障車や事故車などを基にして1台の走行可能な車両を作る「ニコイチ」という修理方法があります。それと同じようにして修理した事例が、ヨーロッパの潜水艦にもありました。

火災で廃艦の危機に瀕した仏原潜

 クルマやバイクなどでは、2台の故障車や事故車などを集めて、1台の走行可能な車体を作る「ニコイチ」という方法がありますが、この修理法を軍艦のなかでも特に厳重な品質管理が必要な原子力潜水艦で行ったケースがあります。

 その原子力潜水艦とは、フランス海軍のリュビ級原子力潜水艦の6番艦「ペルル」。その艦名は真珠を意味するフランス語に由来します。

 リュビ級は、核弾頭を発射可能な潜水艦発射弾道ミサイルを積んでいない、攻撃型原子力潜水艦に分類される艦です。

 同艦は2020年6月12日トゥーロン基地に入港した際、整備中に起きた火災事故によって艦首の広範囲が損傷しました。幸い原子炉や核燃料、魚雷などは修理に際して撤去されていたため、最悪の状態こそ免れましたが、同艦は約14時間燃え続け、艦首魚雷発射官の辺りが解け落ち、耐圧殻がむき出しになってしまいます。この惨状を同国の国防省は「深刻な火災」と評しました。

退役した同型艦の前半分が修理部品!?

 鎮火後、この損傷状態では修理が不可能であるという判断から、一時期は廃艦も検討されていた「ペルル」。しかし、リュビ級の後継となるはずだったシュフラン級原子力潜水艦の開発が若干遅れたことで、それまでフランス海軍が維持していた攻撃型原潜の運用体制が崩れる恐れが出始めたのです。そこで、問題を回避するため、国防省は先んじて退役していた同型2番艦の「サフィール」に注目します。

 その計画は大胆なもので、被害の大きい「ペルル」の前半分の区画は放棄し、代わりに状態の良い「サフィール」の前半分を輪切りにして転用、「ペルル」の残った後ろ半分と接合してしまおうというものでした。

 潜水艦は、深度を増せば増すほど高い水圧に晒されるため、船体の半分を付け替える形の、いわゆる「ニコイチ」修理を行い現役復帰したという例はこれまでありません。そのため、修理を担当したナーバル・グループは「ペルル」の事例を「世界初」だと評しています。

 両艦の接続に失敗は許されないということで、事前に3Dのデジタルモデルを作り、電気技師や配管工、ボイラー技師などは、事前に仮想世界で予行を行ったうえで実作業に入ったそうです。

 約10か月に及ぶ、溶接作業を始めとした様々な接合作業を経て、2022年11月に「ペルル」はトゥーロンのドックから出て、海へカムバック。各種試験を行った結果、問題ないと判断され、2023年7月6日に再び現役に復帰しました。

 なお、リュビ級の後期建造艦は全長が73.6mであったのに対し、「ペルル」は前出の修復作業によって他の艦より全長が1.4mほど長くなっています。

ただ、その後大きなトラブルは起きていないようで、フランス海軍は2028年まで同艦を運用すると発表しています。

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