最高の栄誉が「信楽焼のタヌキ」トロフィーなぜ!? 米軍パイロットは満足なのか? 実は宇宙にまで行ったことも
乗りものニュース / 2024年8月13日 19時12分
アメリカ海軍航空隊には、最高の栄誉とされる「マザートロフィー」なる賞があります。これは非公式の賞で、しかもトロフィーはなぜか信楽焼のタヌキの置物なんだとか。なぜ、信楽焼のタヌキが用いられるのでしょうか。
なぜ信楽焼のタヌキがトロフィーに?
アメリカ海軍には非公式ながら、最優秀と認められた戦闘飛行隊に送られる名誉ある賞があります。それは「マザートロフィー(Mutha Trophy)」というもので、海の戦闘機乗りの心意気を示したものとして、アメリカ海軍の全パイロットたちの憧れになっているそうです。ただ、このトロフィー、なぜか信楽焼のタヌキの置物なんだそう。その理由は何なのでしょうか。
そもそも、この賞は、毎年夏頃、オシアナ海軍航空基地で開催される大西洋ストライクファイターボール・スポーツ週間の最終日に受賞飛行隊が発表され、授賞式が執り行われています。賞の名称となっている「Mutha」は母(Mother)を意味するスラングであることから、信楽焼のタヌキは、母と子を表わした親子タヌキの像となっているようです。
この賞が開始されたのは、今から50年前の1964年からで、立案者はフレッド・ネビット、デイル・キンブル、ボブ・ファーガソンという3人の中佐でした。
3人とも艦上戦闘機F-8「クルセイダー」の教官パイロットでした。彼らはパイロットたちの士気を高揚させるために、この賞を設立したと言われています。
でじは、なぜトロフィーが信楽焼のタヌキになったのかというと、賞を立案した当時、教官のひとりであったボブ・ファーガソンが、日本でアメリカ海軍部隊にパッチなどを納入していたエース・ノベリティ商会という会社に、トロフィーを依頼したからです。
実はタヌキってレア動物?
タヌキは「他を抜く」という語呂に繋がることから、ゲン担ぎで商売繁盛の象徴とされています。一方で、生息地はアジアの一部だけで、特に信楽焼のモデルになっているホンドタヌキは日本にしかいません。そのため、伝説の生き物のように海外では扱われているということもあって、トロフィーとして選ばれたと言われています。
賞の発足当初は、3人の教官パイロットの教え子たち、すなわちF-8の戦闘飛行隊のみで争っていたようですが、その後、機種が更新されるなどして徐々にF-14やF/A-18を運用する飛行隊にも拡大、現在では海軍のすべての戦闘飛行隊が対象になっているようです。
さてこのマザートロフィー、獲得すれば戦闘機乗りにとって最高の名誉となる模様ですが、もし受賞した飛行隊よりも「自分らの飛行隊の方が優れている」と感じたら、どうすればよいでしょうか。異議を申し立てるのか、それとも今年は諦めて来年頑張るのか、実はどちらでもありません。賞を受賞した部隊から、トロフィーである信楽焼のタヌキを盗めばいいのです。
実際に「トロフィーを獲得する手段は問わない」と考えられており、トロフィーを盗んでもOKだといいます。そのため、トロフィーを受賞した戦闘飛行隊は、最高の栄誉を獲得するのと同時に、1年間トロフィーを死守しなければならない、という覚悟も求められる模様です。
タヌキトロフィーは宇宙に行ったことも!
トロフィーの担当者となった士官は、移動時には盗難防止のため、トロフィーのケースと自身を鎖でつないでおくこともあるそうです。また、万が一にも誰かに横取りされないよう、任務には必ず持っていくといいます。
そのため、信楽焼のタヌキは、獲得した部隊の任務に同行して富士山の山頂まで行ったほか、スペースシャトル「アトランティス」に乗る海軍大尉のクルーへと託され、宇宙にまで運ばれたこともあるようです。
しかし、ふとしたきっかけでトロフィーが盗まれてしまうこともあります。この場合、盗んだ部隊が正式な受賞部隊として認められることはありませんが、「盗み出した」こと自体が栄誉となり、盗まれた部隊は最高の戦闘飛行隊の名誉と、「盗まれた部隊」という不名誉な記憶の両方が刻まれることになります。
実際、2011年の2月には、前年の夏に第213戦闘飛行隊が獲得したトロフィーを第102戦闘飛行隊が盗み出すといったことが行われています。このふたつの飛行隊のトップは士官学校時代からクラスメートだったといいますが、この事件以降、関係はギクシャクしたものになったとか。ルール上は盗んでも問題ないものの、人間関係は保証されていないようです。
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