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軍用機の大行進「エレファント・ウォーク」なぜやるの? 米軍に聞いた、圧巻の光景の“意味”

乗りものニュース / 2024年8月10日 18時12分

嘉手納基地の 「エレファントウォーク」(画像:米空軍嘉手納基地)。

多くの軍の基地で行われている、軍用航空機が一緒に滑走路を行進する「エレファントウォーク」。どのような目的があり、準備へどう取り組んでいるのでしょうか。

「トラブったら即発進」のため?

 戦闘機や攻撃機のみならず、輸送機や早期警戒管制機といった大型機や、ヘリコプターまでもが一緒に滑走路を行進する「エレファントウォーク」は、多くの軍の基地で行われています。圧巻ともいえるこの「象の行進」はお祭りのように見えますが、そこはやはり軍の訓練。どのような目的があり、準備へどう取り組んでいるのでしょうか。

 米空軍では「エレファントウォーク」をずいぶん昔から行っており、同じように、飛行隊が所属全機を短時間で発進させ空中で緊密に編隊を組む訓練も行ってきました。1950年代、米国内のある飛行隊が、所属する36機のプロペラ爆撃機を次々と離陸させ、約15分で編隊を組むほどに操縦技量を向上させ、維持していたといいます。

 今回、エレファントウォークへの取り組みについて、極東の米空軍の中で一番大きな沖縄県・嘉手納基地へ聞いてみました。

 嘉手納基地の広報部署を通じて回答をくれたのは、F-15C教官パイロットのケレン・クリーブランド大尉です。

まず、目的について、大尉は「主に航空機を迅速に発進させる能力」を育成するためとしました。そのうえで、「飛行隊や整備部隊、そのほか運用支援部隊が主要な役割を果たす」としています。

準備にどれくらいかかるの?

 嘉手納基地の訓練は普段、戦闘機は数組の編隊が1機ずつ順番に滑走路に入り離陸します。それに対し、2024年4月10日に行ったエレファントウォークでは約40機が一斉に地上滑走をしました。

多数の航空機が一斉にエンジンをかけて動くには、事前の準備も時間がかかると想像しがちですが、同氏は、「作戦能力を示すものとして、事前に計画することも、即時に実施することも可能」としています。その一方、「最優先事項として確保すべきものは、任務を遂行する態勢と安全かつ効率的な遂行」と回答に記しています。当然ながら安全確保にも神経をとがらせている様子がうかがえました。

 とはいえ、エレファントウォークは目立つのも確かです。また、観察していると新たに配備された機体が先頭を進むこともあります。

これについてクリーブランド大尉の回答には、「安全確保のため各機種で定められる『特定の距離要件』を満たせば、航空機はどのような順序で配置しても構わない。操縦士、地上勤務者ともに要件を守るべき十分な訓練を受けている」とありました。

 日本を取り巻く安全保障環境は、近年緊張の度合いを増しています。回答には、エレファントウォークは「日本の防衛を支援し、インド太平洋地域の安定と安全を確保する上で重要な機能」とも記されています。起きてはならないとはいえ、有事の際には「航空戦力の即時投入」が必要なのは明らかです。加えて、平時は高い作戦能力遂行を示し武力行使を抑止させる――。その役割を果たす1つがエレファントウォークなのでしょう。

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