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南アルプスの麓に「スーパーカブ」大集結なぜ!?「聖地巡礼」で判明 ライダー“あるある”の場面も

乗りものニュース / 2024年8月11日 17時12分

『スーパーカブ』の登場人物「礼子」が愛用する「郵政カブ」ことMD90。社外マフラーやオイルクーラーを追加装備するなど、ヒロイン「礼子」の愛車を忠実に再現している(山崎 龍撮影)。

山梨県北杜市で2024年8月4日、ホンダの傑作バイク「カブ」が大集結するイベントが開催されました。実は、同車を中心に描かれたメディア作品に関するイベントなのですが、現地に行ったら人気の秘密を窺い知ることができました。

ヒロインの生誕祭を北杜市で開催

 2024年8月4日(日)、山梨県北杜市武川町にある「甲斐駒センターせせらぎ」で、小説を中心にした角川のメディアミックス作品『スーパーカブ』のイベントが開催され、多くの人が集まりました。
 
「礼子生誕祭2024」と銘打ったこのイベントは、物語に登場するヒロインのひとり「礼子」の誕生日(8月2日)をファンとともにお祝いするというもので、2022年から毎年開催されています。ちなみに6月6日の「小熊」、1月8日の「椎」と、他ふたりの生誕祭も過去開催されています。主催は2021年のアニメ公開をきっかけに、北杜市の町おこしや、地域とファンとの交流を目的に設立された「北杜アニメツーリズム協議会」です。

 それでは、多くの人を惹きつけて止まない『スーパーカブ』とはどのような作品なのでしょうか。

 同作の始まりは、小説投稿サイト「カクヨム」になります。トネ・コーケンさんが執筆する小説『スーパーカブ』として、2016年3月に第1話が世に送り出されると、「女の子×原付による青春物語」という斬新なテーマが大きな反響を呼び、2017年5月には角川スニーカー文庫第1巻が早くも出版されました。

 その後、同年12月からはウェブコミックサイト「コミックNewtype」において漫画家の蟹丹さん作画によるコミック版も連載を開始。そして、2021年4月にはスタジオKAI制作のアニメも放映されたことで、人気は確固たるものへと深化し、知名度も圧倒的に高まったのです。

 さらに2022年4月から2024年1月まで「コミックNewtype」で、さいとー栄さんによるスピンオフ作品『スーパーカブRei』が連載され、こちらは単行本2巻が刊行されました。

 物語は、両親も友達も持たず、孤独で単調な日々を過ごす女子高生小熊が主人公です。彼女は、ひょんなことから中古のスーパーカブを手に入れたことで生活が一変。カブを通じて同じ高校に通う礼子や椎と友達になった小熊は、暮らしの中のちょっとしたことが小さな冒険になり、退屈な日常がグラデーションのように色づいて行くというものです。

40代以上のベテランライダーが熱い支持

 小説の発表からじわじわと人気が高まっていた『スーパーカブ』ですが、作品が本格的にブレイクしたのは、先に述べたとおりアニメが2022年にオンエアされてからになります。
 
 ほとんどのアニメ作品のファンは10~20代の若者が中心となるようですが、この作品の熱烈な支持層は40~50代の中年男性です。しかも、アニメが好きな人だけでなく、バイクファンが多いことも特徴といえるでしょう。

 彼らがこの作品に惹かれたのは、細部までリアルに描かれたスーパーカブの描写に加えて、バイクに初めて乗ったときのワクワクやドキドキした気持ち、バイク初心者ならではのトラブルや失敗、初めて挑戦したメンテナンスやカスタムなど、ベテランライダーなら思わず「そうそう」「あるある」「自分も同じような経験をした」といえるようなエピソードが作品の中に散りばめられ、かつ丁寧に表現されている点にもあるようです。

 そうしたことから、今回のイベントに集まったのも中年男性がほとんどで、関東、中部、北陸を中心にその人数は200名以上。会場を訪れたファンの多くが自慢のスーパーカブで駆けつけていました。

 イベント内容はファンの交流、地元北杜市の名産やグッズの販売、そしてメインイベントとなる『スーパーカブRei』を執筆したさいとー栄さんによるトークショーです。ここでしか聞けない、さいとーさんのプロデビューまでのエピソードや漫画の制作秘話に、集まった人たちは興味深く聞き入っていました。

会場に集まった「良き相棒」たち

 会場外の駐車場には100台近くのバイクが並んでいました。その多くがスーパーカブです。「鉄カブ」と呼ばれる2009年まで製造されたスチールボディのスーパーカブ50/70/90から、現行モデルのスーパーカブ110(JA59型)、そしてハンターカブ125まで新旧さまざまなカブが一堂に会した光景は、“カブ主”(カブオーナーのこと)ならずとも思わず見入ってしまいます。

 ピカピカに磨き上げられた車両はむしろ少なく、その多くがリアボックスを装備し、日常のアシ、あるいはツーリングの相棒として使い込まれたカブばかり。そんなところからも『スーパーカブ』のファン層がどのような人たちなのか窺い知ることができました。

 朝9時半に始まったイベントはすべてのプログラムを終えて3時間ほどで終了。集まったイベント参加者は「聖地巡礼」と呼ばれる北杜市内のロケ地巡りへと向かう人、近隣の温泉施設「むかわの湯」へ向かう人、ご当地グルメを楽しむべく近隣の飲食店へ向かう人と、午後の予定を各自で楽しむため、三々五々解散して行きました。

 バイクの楽しみ方は人ぞれぞれ。でも、それが『スーパーカブ』という作品で1か所に集まり、このように一種のムーブメントを作っているのは、末端のカブ主である筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)からしたらおもしろいことだなと、現地で実際に見て感じました。

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