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驚異の外形「世界一長~い飛行機」実現? 「でもあんまりモノ積めません」…なのになぜそんなにデカいのか

乗りものニュース / 2024年8月25日 7時42分

「ウィンドランナー」(画像:ラディア)。

アメリカで「世界最長の飛行機」の開発構想が進行中です。しかしこの機体は、その長さ以外にもユニークな仕様を持ちます。なぜこのような設計になったのでしょうか。

全長108m!

 米国のスタートアップ企業ラディアが、超大型4発ジェット輸送機「ウィンドランナー」の開発を構想中です。この機はラディア自身も「世界最長」とうたっており、全長108m、横幅80mという大きさ。横幅は「世界最大の旅客機」とされるエアバスA380 とほぼ同じながら、全長はA380 より35mも長いです。

 ただ、既存の民間機の設計からすると明らかにアンバランスな形状の機体です。なぜこのような設計が採用されているのでしょうか。

「ウィンドランナー」のユニークな設計は、「アンバランスで巨大」なだけにとどまりません。

 イメージ画像に描かれた、機首の設計も異様さを醸し出します。機体前方が小さく膨らんでいるのです。よく知られているところでは、「ジャンボ機」ことボーイング747が、2階席部分「アッパーデッキ」に客室・操縦席を備えているのが特徴で、こちらは大きなコブのようになっていました。

 しかし、「ウィンドランナー」は操縦席と見られる部分だけがポコっと膨らんだスタイルに。機首の丸みも合わせるとどちらかというと、1960年代にダグラスDC-4を改造してつくられた英国のATL98カーベアエアフェリー輸送機を連想させもします。

 また、このような超大型輸送機は、大きくて重たい荷物を搭載できるということを特長としていることが一般的ですが、「ウィンドランナー」はその意味でも他モデルとは全く異なる特長を有しています。

「ウィンドランナー」の貨物積載量は72.5t。量産化された輸送機のなかで「世界最大」とされているアントノフAn-124「ルスラン」より遥かに長いにも関わらず、そのペイロード(積載可能な重量)が、An-124の半分程度しかないのです。

なぜ「デカいのに積めない」仕様なのか?

 これは、「ウィンドランナー」が風力発電用の風車の羽根を運ぶ役目に特化してつくられようとしているためです。

 ラディアの公式サイトを見ると、効率のよい風力発電用の風車は、羽根の長さが100mにもなるとのこと。羽根は軽く強くなければならず、工場で1枚に仕立て上げられて出荷されます。

 しかし目的地まで、羽根をトレーラーに載せて道路を用いて運ぶのは、交差点を曲がったり、跨道橋があったりして容易ではありません。空輸の方がむしろ効率は良く、運搬費も抑制できるために「ウィンドランナー」が活躍するというのです。

 つまり、風力発電用の羽根の運搬に特化したため、貨物室の長さ確保を最優先にした結果、世界最長の機体が構想されたというわけです。

 加えて、風力発電用の風車は広く風通しの良い土地が必要ですが、そのような場所は近くに舗装が完備された長い滑走路があるとは限りません。そのため「ウィンドランナー」は、長さ約1800mと短いうえに未舗装の滑走路でも発着できる、ほかの巨大輸送機にない特徴もあります。

「ウィンドランナー」が運ぶことができる羽根の長さは最大105m。ほぼ機体の全長に匹敵し、運搬する際は機首からほぼおしりまでを使います。長さ105mの羽根の場合は1枚ですが、80mの羽根なら3枚を収めることができます。

 ただ、2024年7月に英国ファンボロー航空ショーで筆者が構想の進展を尋ねた際は、4発あるエンジンの選定もまだ完了していないということでした。あるいは、たとえば大型の機体を短い滑走路で発着させるため主翼になにか“仕掛け”をするのでしょうか。イメージ画像やショーで同社が展示していた模型からは判断することはできませんでした。

 とはいえ、自然エネルギーは欠かせず、風力発電はこれからも重視されるでしょう。実際に「ウィンドランナー」が飛ぶ日が来るのか、注視していきたいと考えています。

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