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F-16に“ロシア機の“塗装なぜ? 運用は民間企業 それが軍にとっても効率的なワケ

乗りものニュース / 2024年8月27日 6時12分

トップ・エイセス社が公開した、ロシアのSu-27「フランカー」風の塗装を施したF-16。機体は元イスラエル空軍が運用していたF-16Aを再整備・改良した機体(画像:Top Aces)。

カナダの民間軍事企業が保有するF-16戦闘機が、明らかにロシア軍戦闘機を彷彿とさせる塗装でSNSを中心に話題にとなりました。ただ、このカラーリングは単なる話題作りではありません。もっと深い意味があるそうです。

アメリカ戦闘機にロシア機の塗装 なぜ?

 カナダの民間軍事企業トップ・エイセス社は、保有するF-16「ファイティングファルコン」戦闘機の新たな塗装機をSNSで公開しましたが、特徴的すぎる外見が話題となっています。

 公開された画像には青系の迷彩で塗られたF-16戦闘機が写っていましたが、見た目はロシアの戦闘機Su-27「フランカー」がまとう迷彩に極めて似ており、垂直尾翼には赤星まで描かれていました。なお、写真に付けられた解説文には「洗練されたフランカーブルーの塗装が施された最初のF-16 戦闘機」とあり、アメリカ製の戦闘機でありながら、ライバルともいえるロシア機の塗装を再現していることを認めた内容です。

 じつは、このF-16が特別なのは外見だけではありません。この機体は空軍が所有するものではなく、トップ・エイセス社自身が所有する機体で、つまり民間組織が所有する戦闘機なのです。同社はF-16以外にもA-4「スカイホーク」や「アルファジェット」といった軍用ジェット機を複数保有していますが、これらは軍の訓練時に敵役として飛ばすため。すなわち軍の下請け企業として、自社の機体を飛行させるのです。

 今回発表された新しいF-16が、わざわざロシア製のSu-27に似せた塗装をまとっているのも、訓練時に敵役であると識別させて演習での運用をより効率的にするための措置だと考えられます。

民間企業が戦闘機を持っている理由は?

 トップ・エイセス社のような民間企業で戦闘機を運用する会社は他にも存在しており、日本でもホーカー「ハンター」を運用するATACS社や、この業種では新興企業であるドラケン・インターナショナルなどが、在日米軍基地などにたびたび展開していで活動しています。

 これら民間企業の戦闘機は訓練目的に特化しており、軍が運用する戦闘機よりも安いコストで飛ばすことが可能なため、軍にとっては訓練費用の節約や、限られた数のパイロットや機体リソースを有効活用することが可能、というメリットがあります。

 アメリカ空軍や航空自衛隊では、訓練で敵役を務める部隊を「アグレッサー」部隊と呼んでいることから、トップ・エイセス社のような業種の企業は民間アグレッサー会社などと呼ばれます。

 従来、民間アグレッサー会社の機体はホーカー「ハンター」やA-4「スカイホーク」といった古い機体が主流でしたが、近年はロシアや中国などの脅威が増大したことで訓練内容も高度化し、より高性能な機体が要求されるようになりました。それを受け、トップ・エイセス社も、イスラエルが退役後に保管していたF-16Aを2021年に29機購入。それらを再整備・改良して2022年より飛行させています。

 今回発表されたフランカー風塗装のF-16が登場したのも、空軍が想定する軍事的脅威レベルが高くなり、訓練内容もより精鋭化していることの現れともいえるかもしれません。

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