1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

“ビーフの名産国”なのに牛丼1杯「驚愕の値段」でした それ以上に「時給を聞いたら絶句」しました

乗りものニュース / 2024年9月1日 11時12分

筆者が食べた「OISHI-YA」のカツカレー。カレーは海外でも外れが少ない鉄板料理である(布留川 司撮影)。

日本で「安くてウマい」丼物の代表格である牛丼ですが、海外ではそういうわけでもないようです。オーストラリアに行って現地の日本料理レストランのオーナーに聞いたら、値付けが高くなってしまう理由がわかりました。

ラーメン1杯2000円、から揚げ弁当は2300円

 近年、海外旅行は気軽に行けない高嶺の花になりつつあるようです。極端な円安と世界的な物価上昇によって、ここ数年は海外旅行にかかる費用が急上昇しているからです。

 なかでも、滞在中に出費が避けられない食事代やホテル代は、2020年以前のコロナ禍前と比べて高騰しています。安く済ませられる外食の代名詞だったファストフードですら、海外では1000円以下で食べられなくなっており、レストランに至っては複数人で行けば1万円以上かかるのは普通です。

 筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は今年(2024年)7月にオーストラリア北部のダーウィンを取材で訪れました。この街へ行ったのは2回目なのですが、前回からよく利用している1件の日本食レストランがあります。

「OISHI-YA(おいしい屋)」という名前のこの店、オーナーのココ氏はミャンマー人ですが、20年ほど日本の外食産業で働いた経験を基に日本食レストランを立ち上げ、それから13年ほどダーウィンで営業を続けています。提供しているのは、うどんやラーメンといった麺類に、丼物やカレーライスなどのご飯類。そして「弁当ボックス」という名前の定食と寿司などです。

 店構えは高級店というよりも大衆店に近く、料理の価格も他店と比べて比較的リーズナブルなものの、それでも円換算すると、日本国内の飲食店よりは割高となっています。

 カレーライスは12.90AUD(オーストラリアドル、日本円で約1270円)で、これにトンカツもしくはチキンカツを載せると17.90AUD(約1760円)。丼物は牛丼やカツ丼など複数ありますが、一律で18.90AUD(約1860円)。ラーメンは味とトッピングでいくつか種類がありますが、たとえば味噌ラーメンなら19.90AUD(約1961円)。弁当ボックスは唐揚げ、トンカツ、すき焼きなどのおかずにご飯やサラダ、味噌汁がついて22.90AUD(約2257円)でした。

 オーストラリアを含む海外で日本以上に物価高となっていることは、かなり周知されつつあるものの、その理由までは知られていません。これら価格の理由について、オーナーのココ氏に伺ってみました。

輸送費も電気代も高い、カップラーメンすら日本の倍

 ココ氏によれば、ダーウィンの物価はオーストラリアの中でも高い方だとか。その理由のひとつに挙げられるのが、地理的な要因だそうです。ダーウィンはオーストラリア大陸の中央に位置する北部準州(ノーザンテリトリー)の端に位置します。北部準州は、それだけで日本の3.6倍もの広大な面積を誇りますが、その大部分は人が住んでいない荒野で、人口が1万人を超える都市はダーウィンを含めて3つしかありません。

 つまり、僻地にあるために物流コストが極めて高く、輸送コストは1kgあたり3.50AUD(約344円)から4AUD(約394円)、冷蔵品になると5AUD(約492円)にもなるとのこと。これが販売・提供価格に反映されるため、割高になる模様です。

 参考までにダーウィン市内のスーパーマーケットの商品の値段を記しましょう。たとえば、600mlのペットボトル入りの「コカコーラ」が1本3.85AUD(約379円)で、スポーツ飲料の「ゲータレート」の場合は、600mlボトルで4.85AUD(約478円)。安さの代名詞ともいえるカップラーメンも、通常サイズ(70g)で2.94AUD(約289円)です。日本の都市部にある大手スーパーと比較すると、倍以上の値付けとなっていました。

 また、飲食店の必要経費でかなりの割合を占めるのが光熱費とお店の賃料。前出の「OISHI-YA」の場合、約30坪程度のお店で1か月あたり1万7千AUD(約167万円)も掛かっているとか。特に光熱費は、ロシアによるウクライナ侵攻などによる資源高騰から、近年は値上がり傾向にあるそうです。

 とはいえ、ココ氏いわく、経費の中で最もかかっているのは、お店で働いている人々の人件費だといいます。その金額は日本の基準で考えると「驚愕」の金額でした。

給与が高くても現地暮らしは楽じゃない?

「スタッフの時給は30AUD(約2957円)です。このほかに、労働時間に応じて手当がついて、夜7時以降は35AUD(約3449円)になります。また週末は、土曜日で40AUD(約3942円)、日曜日は43AUD(約4238円)になります」(ココ氏)。

 オーストラリアはもともと時給が高いことで有名ですが、その理由は時給の最低値が法律で決められているからです。現在の法定最低時給は24.10AUD(約2375円)で、ここから所得税15%が差し引かれますが、それでも日本の平均時給約1200円よりも圧倒的に高いといえるでしょう。この金額差ゆえに、日本を含めた世界中の若者たちがワーキングホリデービザを取ってオーストラリアへ渡航し、各地で働いています。

 この人件費の高さを考えると、このお店の料理の値段も決して高い金額とはいえないでしょう。ココ氏いわく時給の値上げと物価上昇は連動しており、今後も上がる可能性は極めて高いようです。

 オーストラリアは、時給、すなわち給与だけ見れば労働者にとっては夢のような環境に思えるかもしれません。しかし、物価も同じように高いため、ダーウィンをはじめとして同国国内に一定期間滞在するためには生活費も相応にかかることを覚悟する必要があるといえるでしょう。

 時給だけが突出して高いワケではないというのは、このたび現地の日本食レストランを取材して、改めて理解できました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください