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創設以来の大改編!? 海上自衛隊「70年の歴史ある大部隊」が次々消滅! 佐世保&呉の地方隊にもメス

乗りものニュース / 2024年8月31日 14時12分

2022年に実施された国際観艦式の様子(深水千翔撮影)。

2024年8月30日、防衛省の2025(令和7)年度概算要求が公開されました。注目は海上自衛隊の抜本的な組織改編。自衛隊発足とともに立ち上がった歴史ある部隊まで解体される模様です。

さらば護衛艦隊、初めまして水上艦隊

 海上自衛隊は2025年度中に護衛艦や掃海艦などの水上艦艇部隊を一元的に指揮監督する体制を整備するため「水上艦隊(仮称)」を新編します。水上艦隊の下には「水上戦群」や「水陸両用戦機雷戦群」、「哨戒防備群」を置く予定です。あわせて、情報に関する部隊を集約した「情報作戦集団(仮称)」も新編されます。これに伴い長きにわたって親しまれてきた護衛艦隊、護衛隊群、掃海隊群といった部隊名は消えることになります。

 2024年8月現在、海自は自衛艦隊の隷下に艦艇部隊として護衛艦隊、潜水艦隊、掃海隊群、開発隊群、海洋業務・対潜支援群を置いています。

 護衛艦が集中的に置かれ、フォースプロバイダとして平時の艦艇整備や乗組員の訓練を担うのが護衛艦隊です。現時点では、いずも型に代表されるDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)やイージス艦として知られるDDG(ミサイル護衛艦)などが所属する第1から第4までの4個護衛隊群と、その下に置かれた第1から第8までの8個護衛隊。また、護衛艦隊司令部が直轄し「もがみ」型FFMや「あぶくま」型DEなどが所属する第11から第15までの5個護衛隊(いわゆる二桁護衛隊)、そして第1海上補給隊や第1海上訓練支援隊、海上訓練指導隊群により編成されています。

 掃海隊群は第1から第3までの3個掃海隊と、おおすみ型輸送艦が所属する第1輸送隊、水陸両用戦・機雷戦戦術支援隊で構成。これらに加えて呉、佐世保、舞鶴、大湊の各地方総監部には各々の総監部直轄となる掃海隊やミサイル艇隊が置かれています。

機雷戦よりも水陸両用戦を前面に

 防衛省は2025(令和7)年度の概算要求で、これら護衛艦隊と掃海隊群を統合し、地方隊に所属していた艦艇も組み込んだ水上艦隊の新編を明記しました。自衛艦隊の下に置かれる水上艦隊は第1から第3までの3個水上戦群と水陸両用戦機雷戦群、哨戒防備群などで構成されます。

 4つの護衛隊群が3つの水上戦群に再編されることにより、1つの水上戦群に所属する護衛艦が増えるため、その中で任務、訓練、整備といったローテーションを効率的に回していくようになるでしょう。また、哨戒防備群には日本周辺海域の警戒監視を通常時から長期間にわたって行う艦艇として導入が決まった哨戒艦が配属するとみられます。

 この組織改編は、2023年12月に決定された現行の中期防衛力整備計画(いわゆる中期防)に基づいて進められています。同計画では「統合運用体制の下、高い迅速性と活動量を求められる部隊運用を持続的に遂行可能な体制を構築するため」として、基幹部隊の見直しと改編が明記されていました。

 このような抜本的な組織再編を行うことで、統合任務部隊を運用する自衛艦隊司令部などの継戦能力の向上を図るとしています。前出の護衛艦と掃海艦艇を一元管理する水上艦艇部隊への改編は、その一環といえるでしょう。

 防衛力整備計画ではおおむね10年後をめどに、護衛艦と掃海艦艇部隊で構成された水上艦艇部隊を6個群21個隊体制へと見直し、護衛艦は54隻(このうちDDG、いわゆるイージス艦は10隻)、イージス・システム搭載艦2隻、哨戒艦12隻を配備することを掲げています。

 すでに横須賀地方隊の第41掃海隊は2024年3月に解隊されており、「えのしま」は函館基地隊の第45掃海隊へ、「ちちじま」は掃海隊群の第1掃海隊に編入されています。また、大湊地方隊は2024年度末に横須賀地方隊と統合し、北海道所在部隊を除いて大湊地区隊(仮称)となります。海自初の艦種となる1900トン型哨戒艦4隻の建造契約も今年2月、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)と結ばれました。

自衛隊発足とともにできた歴史ある部隊が消滅

 護衛艦隊は1961(昭和36)年9月1日に創設されており、すでに60年以上の歴史があります。なお、隷下の第1および第2護衛隊群はそれより前、自衛隊発足と同じ1954(昭和29)年7月1日に創設されており、今年でちょうど70年の節目の年を迎えています。

 掃海隊群も護衛隊群より歴史は長く、その創設は自衛隊発足直後の1954(昭和29)年10月1日(当時は第1掃海隊群)で、やはり今年で70年を迎えます。

 ここまで歴史ある部隊名が軒並み消滅するのは、関係者にとってはかなり寂しいことでしょう。ひょっとしたら、元自衛官をはじめとしたOBらの抵抗があったかもしれません。それでも、組織を抜本的に見直したのは、将来を見据えるとそうせざるを得なかった、いうなれば改善の余地があったからだと推察できます。

 今後は、いずも型護衛艦へのF-35B搭載による事実上の空母化、そしてミサイル防衛の要となるイージス・システム搭載艦の導入などが控えています。新時代の海上自衛隊へと生まれ変わるためには、今回の組織改編は避けて通れないものだったと筆者(深水千翔:海事ライター)は捉えています。

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