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ウーバーイーツ配達員 “あまり見なくなった?”「やってられるか案件」増加で店側も困惑 一体なぜなのか

乗りものニュース / 2024年9月4日 18時12分

「報酬アルゴリズム」の改定により報酬減となったことで、街中でUber Eats配達員の姿を機会は減っている(画像:写真AC)。

配達報酬の引き下げに伴うUber Eats配達員の人手不足問題。マッチング率の低下は利用客だけでなく、加盟店舗にも深刻な悪影響を与えており、早期の問題解決を求める声が日増しに大きくなっているとか。Uber Eats Japanはどうするのでしょうか。

報酬計算の改定による「Uber Eats」の人手不足トラブル

 以前の記事で、フードデリバリー業界の最大手「Uber Eats」の配達員が減少し、人手不足によって「料理が届かない」「配達までに時間がかかる」という事態が発生していることをお伝えしました。

 なぜ、そのような事態に陥ったのかというと、主な原因とみなされているのが、配達員に支払われる報酬の改定です。これは、配達に費やす予定の時間と距離、配達先の数、注文数のほか、同じ時間帯で稼働している配達員の頭数などに基づいて報酬を決定するコンピューターによる計算方法、いわゆる「報酬アルゴリズム」が見直されたからです。

 これにより配達員の報酬が激減。その結果、他社へ移籍する人やフードデリバリーの仕事を辞める人が続出しているといいます。

 2024年9月現在もこの状況は改善されていません。配達員の稼働が少なくなる雨の日でも300~400円代の報酬の依頼が次々入ってくるそうで、「雨クエスト」や「日跨ぎクエスト」と呼ばれるインセンティブも以前に比べて引き下げられているとか。こうしたことから配達員の「Uber Eats」離れは進み、改善どころか、ますます悪化している模様です。

クレーム増でマクドナルドが激怒ってホント?

 実際に、筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)がマクドナルドで働くクルーにハナシを聞いたところ、注文を受けてから作り始めるため、廃棄ロスこそ発生していないそうですが、やはりマッチング率の低下には頭を痛めていると述べていました。

 マクドナルドの場合、自社配送の「マックデリバリー」がありますが、その仕事を「Uber Eats」に業務委託する場合、マッチング率低下による顧客からのクレームは、日本マクドナルドに直接入ることになります。こうしたことから「Uber Eats」のマッチング率低下を問題視した日本マクドナルドでは、「Uber Eats」に対して事態の改善を求めたというハナシが漏れ伝わってきています。事実、それを裏付けるように都市部を中心にマクドナルドの配達単価は短距離でも500~600円代へと改善されたとか。

 とはいえ、中小零細の加盟店では「Uber Eats」に改善を要求しても無視されることが多く、相変わらずマッチングが成立しないため、せっかく作った料理を破棄するという事態が多発しており、自衛手段としてマッチングが成立してから料理を作り始める店舗が増えています。

 しかし、これが配達員のさらなる負担となっている模様です。配達員が店舗に到着しても調理中のため、長いときには10分以上も待たされることになり、時間あたりの報酬減へとつながるわけです。その結果、こうした依頼が重なると時給換算で1000円を割り込むようになります。

 悪条件のもとで配達員が以前のような報酬を得ようとすれば、1時間あたりの配達件数を増やすしかなく、そうなると無理をせざるを得ません。その結果、当然のように配達クオリティが下がることになります。8月25日にX(旧Twitter)で話題になった、蓋が外れてあふれたカレーが置き配で届けられたケースなどは、まさしく氷山の一角でしょう。

新サービス「Uber One」が諸悪の根源か?

 こうした配達報酬の改悪、顧客サービスの低下は、2023年2月に中川晋太郎さんがUber Eats Japanのゼネラルマネージャーに就任(2022年9月から暫定代表)した前後から徐々に始まりました。とりわけ筆者は、2022年11月から始まったサブスクサービスの「Uber One」が、今日の「Uber Eats」を巡る問題の元凶になっているとにらんでいます。

 これは月額498円、または年額3998円を支払うことで、税込1200円(すべての手数料を除く)を超える注文は、何度利用しても配達手数料が0円、注文のサービス料が最大で30%オフになるという仕組みです。

「Uber Eats」のビジネスモデルは、注文金額のうち加盟店から35%、配達員から10%を手数料として得ることで成立していますが、「Uber One」の加入者が注文すると、その分の収入がほぼ消えてしまいます。そして、そのしわ寄せとして報酬の引き下げという形で配達員に押し付けられているのです。

 なぜ「Uber Eats」がこのような、一見すると損するかのようなサービスを始めたかといえば、それは顧客の囲い込みが目的です。「Uber One」によって圧倒的なシェアを獲得できれば、競合他社は立ち行かなくなり、市場からの撤退を余儀なくされることでしょう。

 そうなってからサブスク手数料を値上げしても、ほかに選択肢のなくなった消費者は自社のサービスを使い続けるとUber Eats Japanは考えているのかもしれません。しかし、日本の消費者はサービスや製品クオリティへのこだわりが強く、安かろう悪かろうのサービスを続けていては、いずれは離れていくでしょう。事実「Uber One」はリーズナブルなサービスにもかかわらず、昨今のマッチング率低下に伴って解約する人が徐々に増えているようです。

 中川体制になってUber Eats Japanは好調を維持しており、売上については2024年1~3月期で前年同期比10%以上増を実現していますが、配達報酬の改悪による人手不足や顧客サービスの低下などの問題によって、その足元は揺らぎつつあります。

 果たして先述したような状況を放置しても、なお好調を維持できるのでしょうか。もっとも、中川さんが自身の在任期間だけ好調を維持できれば良く、Uber Eatsの将来や利用者へのサービス品質、配達員の生活などはどうでも良いと考えているとしたら、話は別なのかもしれませんが……。

 筆者は引き続き、フードデリバリー業界の状況を注視していこうと思います。

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