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日本車=「国産がイチバン」はもう古い? 気づけば「アジア産」だらけになった理由 デメリットある?

乗りものニュース / 2024年9月15日 16時12分

ホンダWR-Vはインド製(画像:ホンダ)。

日本車はもはや「国産」とは限らなくなっています。海外製の日本車を逆輸入し、日本のラインアップに加えるケースが増加しているのはなぜでしょうか。輸入日本車にはメリットもデメリットも存在します。

ホンダもスズキも「インド産」で勝負

 今やブームから乗用車の定番へと成長を遂げているSUV。その市場の盛り上がりを示すように、続々と新型車が登場しています。その中には、2024春より導入を開始したホンダ「WR-V」や、秋の発売と言われるスズキ「フロンクス」といった、お手頃なコンパクトSUVも含まれています。

 実はこの2台は、いずれも“インド製”です。ついにインド製の日本車が上陸――と思った人もいるかもしれませんが、以前にもスズキが、コンパクトハッチバック「バレーノ」を導入した実績があります。

 両社がインドで日本向けのクルマを生産する狙いは、ズバリ、低価格にあります。たとえばWR-Vは、車両本体価格帯が200万円前半となり、コミコミ300万円以内で狙えます。その実現のために、企画から製造まで工夫を凝らしています。

 ただ誤解してはならないのは、決して、「安かろう悪かろう」の製品ではないことです。WR-Vは、インドのホンダ最上級車「エレベイト」として販売されていますし、フロンクスも、インドのスズキ上級車販売店「ネクサ」の取り扱いとなっています。現地の庶民にとって憧れの存在といっても過言ではないのです。

 それを裏付けるように、以前にWR-Vの取材で、ホンダの開発者が、「ホンダのインド工場では、自分たちの製造したWR-Vが、母国日本で販売されることから、従業員の気合も高まり、誇らしく感じているようだ」と語っていたことが印象的でした。もちろん、両者ともに、法規対応だけでなく、開発段階から日本向けを意識した仕様の作り込みや標準装備の充実化なども図られています。

 あまりアピールされていませんが、海外生産の日本車は、ほかにもあります。

 トヨタはタイからピックアップトラック「ハイラックス」を、日産はコンパクトSUV「キックス」を、ホンダは中国からフラッグシップミニバン「オデッセイ」と、タイからフラッグシップセダン「アコード」、米国よりFCVの「CR-V e:FCV」を、三菱はタイよりピックアップトラック「トライトン」を、それぞれ輸入しています。これらの車種を見ていくと、高価格帯のクルマが多く含まれていることがわかります。

海外製日本車、デメリットはある?

 これら海外製の車種は、市場ニーズの高い地域に生産工場が置かれています。つまり、現地向けのクルマとともに、日本や他の地域向けのクルマを生産することで経営資源の効率化を図ることが目的です。

 例えば、ピックアップトラックは東南アジアを中心に高い需要があるため、生産地にタイが選ばれています。ホンダの場合、オデッセイは国内生産を終了したものの、市場からの声を受け、復活させるために中国からの輸入という選択をしています。

 例外的なのがホンダCR-V e:FCVですが、これは特殊なモデルであるため、搭載する燃料電池システムの生産が米国であることなどの理由から、かつてNSXの生産を行っていたオハイオ州にあるパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で作られています。

 こうした車種は輸送コストこそ国内生産より上昇しますが、現地向けや海外向けの同型車を大量生産しているので、日本向けモデルが少量であっても、製造コストを抑えることが可能です。そのため、販売台数が限られるクルマでも、日本での販売が実現できます。ちなみに、アコードやトライトンの月販計画台数は、200台と控えめです。

 もちろん、弱点もあります。それは年間の導入台数と仕様が限定されること。自動車の輸入は船便となりますが、その輸送ルートを確保する必要があるため、ニーズがあるからといって、急に輸入台数を増やすことができません。また国内生産のように、ユーザーごとの細やかなオーダーに合わせることは長納期化につながります。

 これは日本で販売される海外メーカーの輸入車も同じで、在庫に同様の仕様があれば問題ないのですが、本国への注文生産となると多くの時間を必要とします。また仕様の多さは価格上昇の要因となるため、基本的にはメーカーオプションがなく、グレード構成も最小限に。ボディカラーも絞られ、人気色に集中されます。

 そのぶん、多くの人が基本仕様で満足できるように、装備が充実するのが通例です。

イマイチだった逆輸入日本車も最後には良くなっていた!

 ただホンダがWR-Vの月販販売計画に強気ともいえる3000台を掲げるように、海外生産拠点からの供給を本格化させている流れも感じられます。特にホンダは、電動化や自動運転などの技術開発への投資を理由に、資源の選択と集中に取り組んでおり、国内でも狭山工場を閉鎖するなど、工場の集約化を図っています。

 またスズキフロンクスも、これまでの登録車で行っていた輸入よりも、多くの台数を想定していると予測されます。これはインドの生産拠点が、輸出拠点として活躍していることが挙げられます。話題となっている海外向けの「ジムニー」5ドアもインド製で、周辺諸国を中心に輸出を行っています。

 海外生産からの逆輸入は昔からあるものの、確かに発展途上国から導入されたクルマには、現地向けの実用車として安さを重視したものを日本に導入したケースもありました。日産「マーチ」や三菱「ミラージュ」が、その一例ですが、日本の消費者には、安さだけでは勝負にならず、受け入れられませんでした。

 しかし、時代は流れ、日本向けの最終型ミラージュに乗った際には、その走りが磨かれ、多くの改善を図ったことを実感しました。今も価格重視の発展途上国モデルは存在しますが、それら自体も大きく進化していますし、現地向け専売車と世界戦略車では、ニーズを反映した差別化も図られています。

 そもそも海外メーカーの輸入車であっても、本国以外の生産拠点から供給されるモデルも少なくありませんし、今やボルボ「EX30」やテスラ「モデル3」といったEVに代表されるように、中国生産の欧米車も出現しています。ちなみにジープの7人乗りSUV「コマンダー」は、インド製です(現地名メリディアン)。

 クルマを選ぶ際は、自身が求める品質や性能を持つクルマであるかどうかのほうが、生産地よりも重要ではないでしょうか。その恩恵は、ニッチなクルマの提供や魅力的な価格として、消費者に反映されているのですから。

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