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「まだまだ飛べる!」 退役始まる「JAL現長距離国際線主力機」…パイロット、整備士らから見た評価とは

乗りものニュース / 2024年9月28日 11時12分

「N3243P」として日本を離れた元JALの「JA734J」(深水千翔撮影)。

JALで長年、長距離国際線のフラッグシップとして運航されてきた「ボーイング-777-300ER」の退役が始まりました。この機体に携わってきたJALのスタッフは777-300ERの旅立ちをどのように見ているのでしょうか。

機体は真っ白&機番もアメリカ籍に…

 JAL(日本航空)で機番「JA734J」として運用されてきた、ボーイング777-300ERが、2024年9月20日に日本を離れました。同社ではこれまで、777-300ERを長距離国際線の主力機として使用してきましたが、この元「JA734J」が、同モデルにおける初の退役機です。この機体に携わってきたJALのスタッフは、この機や777-300ERの旅立ちをどのように見ているのでしょうか。

 同機について「安全運航を支えてきた仲間」と話す777運航乗員部副操縦士の光井淳彦さんは「APU (補助動力装置。胴体最後部に備わる補助エンジン)の力強い音とか、タクシーアウト(自走で地上走行を開始すること)する時のエンジン音とか、まだまだ飛べるぞという風に感じた」と話します。

 また、「JA734J」は、退役の仕方も少し特殊でした。通常多くの退役機は在籍元の塗装をまとい、機体番号もそのままで日本を離れることが一般的ですが、この機体は売却先のアメリカ籍を示す「N3243P」へと機番が変更され、JALのロゴや、尾翼の「鶴丸」マークも落とされた状態での離日となったのです。

 光井さんは「あたり前のように見ている機番がなくなり、新しい N レジ(アメリカ籍の機番)になっていたというのはすごく寂しい思いがある」と述べ、元JA734Jの別れを惜しみました。

 JALの777-300ERは、「ジャンボ機」の愛称で知られるボーイング747-400に代わる国際線フラッグシップとして2004年から全部で13機が導入されました。今回退役した「JA734J」はこのうち4号機で、2005年8月にデビューしています。

「JA734J」の最後の整備を担った羽田航空機整備センター機体点検整備部の井澤裕貴さんは「737に比べて大きさが全然違い、この飛行機を整備するのはすごく大変だと最初は思っていたが、触っていくうちに愛着ややりがいを感じるようになった」と回顧。離日を前に「今後777が減っていくということに寂しい気持ちと、約20年も飛んでくれたという感謝の気持ちがある。まだ気持ちの整理はできていないが、やるからには全力で送り出してあげたいという気持ちが強い」と話していました。

「JA734J」はデビュー以降、中・長距離国際線などで活躍し、「国連生物多様性の10年(UNDB)」など「自然」をキーワードとした各プロジェクトのロゴマークを機体に描いた特別塗装機「JALエコジェット・ネイチャー」として運航していた時期もありました。

 最終時の座席配置はファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーの4クラス244席。定期便ラストフライトは2024年8月20日のシドニー発羽田行のJL52便でした。

パイロットもおすすめ「777-300ER」での空の旅

 航空機材・整備調達部航空機グループで「JA734J」の売却を担当した荒川舞佳さんは「1機目が無事に飛び立ってほっとした」とコメント。「今回は飛行機の需要が高いというマーケットの良いところもあって契約できたと思っている。売却の交渉をするなかで、今日のパイロットの方も含め、よくメンテナンスされているということが分かっていただけるので、一番は見ていただくという点がポイントだと思っている。第二の人生が決まって良かった」と語っています。

 先述のパイロット、光井さんは777-300ERの印象について「働き者だと思っている」と話します。

「13時間から14時間かけてロンドンやパリから日本に帰ってきて2時間から3時間で次またロサンゼルスとか、そうした運用をずっと20年近くやってきたっていうのは、私たちパイロットからするとすごい働き者で、すごい頑張っている飛行機だと思っている。何万時間も信頼性の高い飛行機として飛び続けてきたが、自分が乗務していても不安に感じたことはほとんどなく、本当に安心して乗っていられる飛行機だった」(光井さん)

 また、777-300ERの退役が進む中で、利用者に対しては「信頼性や安全運航を続けるということで、むしろ選んで乗っていただきたいというのが、携わる者の気持ちとしてある。客室乗務員や整備員などと話しをすると、やっぱり777が好きという方がすごく多い。機内も広く、働きやすいという声もいろいろなところで上がっているので、働く側にもお客様にも快適な空間を提供し続けていると思っている」と話していました。

 なお、JALは、777-300ERの後継機として、2024年から「エアバスA350-1000」の導入を開始。777-300ERと同数の全13機が導入される予定で、すでに5号機までが引き渡しを終えています。

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