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75分が“10時間”に!? 破滅的な「コストコ渋滞」なぜ起きたのか 沖縄初出店1か月も混乱続く

乗りものニュース / 2024年9月29日 12時12分

コストコホールセール沖縄南城倉庫店の立地(画像:Google earth)。

沖縄県に初出店した大型商業施設「コストコ」周辺で猛烈な渋滞が発生しています。あまりの酷さに路線バスも「近づかない」こととするなど、その影響は深刻です。通常の出店では考えられないほど渋滞する根本原因は何なのでしょうか。

「こりゃダメだ」路線バス会社も匙を投げた「コストコ大渋滞」

 会員制スーパー「コストコ」の沖縄県初となる店舗、「コストコホールセール沖縄南城倉庫店」が、2024年8月24日(土)、沖縄県南部の南城市にオープンしました。

 このコストコの新店舗は、この地域にこれまでになかった人の流れを生む一方、大きな課題を突きつけることになりました。それは、コストコ目当てで来訪する買い物客による、道路の大渋滞です。

 コストコは1999年に福岡県糟屋郡で日本初出店、以降着々と店舗数を増やしてきました。そしてその知名度の向上につれ、新店舗オープンが話題になり、オープンからしばらくは新規店舗の周辺道路が混雑することが通例化しています。しかしこれまで、その影響はあくまで限定的で、オープンから日数が経てば、状況は徐々に改善するのが一般的な傾向でした。

 しかし今回の沖縄南城倉庫店での渋滞はケタ外れでした。

 まずオープン初日は周辺道路が“まったく動かない状態”になり、報道によると、近隣の南城市役所を発着するコミュニティバス「Nバス」は、通常1周75分のルートが約10時間かかる事態となり、運行本数も激減したということです。

 そしてそれ以降も道路交通への影響は大きく、オープンからひと月あまり経った現在ですら、平日でも店舗周辺は渋滞気味で、週末には駐車場の空き待ちのクルマで道路が埋め尽くされる事態が繰り返されています。

 こうした現状を受け、地元のバス会社「沖縄バス」は、9月7日(土)より、南城市役所を発着する路線について、はるか手前での折り返し運転としました。この措置はその後、平日のダイヤについて解除しましたが、土休日の日中については当面の間、継続するとしています。

 また近隣の他の店舗では、クルマでの来店を避ける顧客が増えたことで、売上げに大きな影響が出ていると伝えられています。

 ではなぜ、これほどまでに大きな渋滞が生まれることになってしまったのでしょうか。

一見フツーの立地に悪循環の原因が

 沖縄南城倉庫店の駐車場の台数は830台で、コストコ各店舗の標準台数(700-900台)の範囲となり、とりわけ少ないわけではありません。だとすれば、駐車場の台数が少ないことが、直接の原因ではなさそうです。

 では、あらためて沖縄南城倉庫店の立地を確認してみましょう。

 同店舗は南城市の高台、市街地と農地に挟まれたエリアに立地します。そして店舗は南に県道86号と137号の重複区間となる「親慶原(おやけばる)」交差点-「垣花(かきのはな)」交差点、東に県道86号という、ふたつの主要道路に挟まれた格好です。じつはこの、一見なんでもないような立地が、大渋滞のカギを握っているようなのです。

 コストコホールセール沖縄南城倉庫店の南、県道を挟んだ向かい側は、ゴルフ場が東西に広がっています。また北側は東西5km以上にわたり、手つかずの森林となっていて、通り抜ける道はほとんどありません。つまりこの店舗へのアプローチはある意味、東西からのみ許されているのです。

 しかも人口の集中する那覇方面からの出入りは、複数のルートが南側のゴルフ場、北側の森にどんどん圧迫され、最終的に親慶原交差点で県道86号と137号との重複区間に絞られて行きます。

 そしてここには、店舗駐車場につながる道路が信号のないT字路で接続するため、店舗を出るクルマが渋滞の列に割り込むように入ることとなり、出入りのクルマの流れが重なる悪循環が生まれています。

 ゴルフ場を南に回りこんでのアプローチも、最終的には垣花交差点の手前から渋滞につかまります。交差点を右折すれば、その先の左側が店舗駐車場の入口ですが、店舗駐車場が満車になっていると、空き待ちのクルマでそこまでもたどり着けません。

逃げ道ナシ!? ならば解決策は

 一方、北側の森を北東方面から回り込むルートは、直線距離で1km足らずのところを(クルマがすれ違えないような激狭の道を使わないとすれば)海岸線を回り12km以上走る必要があり、ふつうの感覚では選択の対象にならないのです。

 そしてさらにこの渋滞に拍車をかけるのが、店舗のすぐ北側で行われている高規格道路「南部東道路」の建設工事です。この工事がなければ、店舗に用事のないクルマは(善し悪しは別として)店舗の西側の住宅地内を抜けて通過することができました。しかし現在、それらの道には「工事通行止め」の看板が立てられ、クルマの進入を拒んでいます。

 そのため、通過交通も混雑する県道86号と137号の重複区間、親慶原-垣花を走らざるを得ないのです。

 では、この渋滞の解消策はあるのでしょうか。すぐの実行が可能かどうかは別として、そのひとつは駐車場の増設でしょう。

 前述のように沖縄南城倉庫店の駐車場設置台数はコストコとしては標準的ですが、他の店舗では周辺道路が片道2車線以上で、駐車場待ちの列があっても他のクルマが通過できることが一般的です。

 しかし同店舗の周辺道路は片側1車線で、路肩の余裕もありません。道路の拡幅は時間もコストもかかることから、特効薬となりえないことは明らかです。となると、店舗を目指して来訪したクルマが路上にあふれないよう、十分な量の駐車場を用意するのが早道と考えられます。

 ただしコストコは「大量に買った商品を、カートに入れてクルマに運ぶ」というスタイルの店舗ゆえ、店から“歩いて行ける範囲”の離れた場所に駐車場を作っても、利用にはつながりにくいのが難点です。現在の駐車場を立体化する、新たに土地を確保するなど、買い物客と店舗、そして地域の関係者のそれぞれが納得できる解決策を見出してほしいと思います。

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