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「何もない」「駅どこ?」な終点がここまで変わった!「ゆいレール」延伸5年 さらなる延伸は“モノレールで大丈夫”なのか?

乗りものニュース / 2024年10月6日 8時42分

てだこ浦西駅の駅舎。同駅を目的地に設定すると、右上の高架の県道上を案内するスマホのナビアプリもある(植村祐介撮影)。

沖縄「ゆいレール」の延伸から5年、何もなかった終点の「てだこ浦西」駅が大きく変わりつつあります。さらなる延伸も取りざたされる「ゆいレール」ですが、現状の課題が将来、より顕在化する可能性もあります。

「何もなかった」駅前が大変化 ゆいレール終点駅の「最大の武器」とは

 沖縄都市モノレール「ゆいレール」の首里-てだこ浦西間が延伸開業し、2024年10月で5年が経ちます。終点の「てだこ浦西」駅は浦添市の西端、沖縄自動車道と国道330号が接する西原ICに近い、すり鉢状の地形の“底”にあたるエリアに位置しています。

 このエリアは、駅開業以前は開発がやや立ち後れ、また開業してからもしばらく“まわりに何もない”状態が続いていました。

 しかしこの5年間で周辺の区画整理事業が徐々に進展。今年4月には「ヤマダデンキ テックランドてだこ浦西店」が駅から徒歩圏に、さらに9月にはショッピングセンター「イオンスタイルてだこ浦西駅前」が駅のロータリーに面してオープンするなど、まちづくりが加速しつつあります。

 ゆいレールは、てだこ浦西駅と那覇市の中心街に近い「県庁前駅」とを26分(日中)で結びます。“座って移動できる”こと、さらに朝のラッシュ時は6分間隔、日中も10分間隔という利便性は大きな魅力で、区画整理事業が進み住宅の供給が増加すれば、周辺人口が大きく増えるはずです。

 さらに、てだこ浦西駅はクルマ社会の沖縄において、浦添市や隣接する宜野湾市、中城村、西原町など、より広い範囲から那覇方面に向かう人流の大きな受け皿になっています。その機能を担うのが、駅正面に収容台数992台が確保された「てだこ浦西駅パークアンドライド駐車場」です。

 この駐車場は営業時間内最大400円、夜間最大260円(いずれも繰り返しあり)、平日1か月定期券3500円(夜間別料金)という格安の料金が特徴です。そのため、クルマからゆいレールに乗り換えて渋滞知らずでの那覇市中心部への通勤、さらに満車になりがちな那覇空港の駐車場を避け、ゆいレールで移動しての飛行機利用などに至便で、利用率も高めに推移しているようです。

駅に「たどり着けない!」てだこ浦西

 このように地域に新たな価値を提供しているてだこ浦西駅ですが、パークアンドライドを利用したいという人に向けては、課題も残されています。

 まず駅の周辺では区画整理事業がいまだ進行中で、案内看板も十分ではないため、アプローチする方向によっては、駅にたどり着くのも容易ではありません。

 たとえば那覇方向の隣駅、浦添前田駅から県道38号浦添西原線バイパスをゆいレールの高架に沿って進んできても、てだこ浦西駅の手前でゆいレールは地平レベルからトンネルに潜ってしまい、逆に谷を高架で渡る県道からは見えなくなってしまいます。また、西原町方面からのアクセスはバイパスが未開通で、わずかな案内看板が頼りです。

 さらにスマホの地図アプリも、一部は日々変化する現状の道路に即していないため、逆に道迷いを助長する結果になっています。

 パークアンドライド駐車場も、利用率がいま以上に高まれば、定期利用者以外は停めにくくなる可能性もありそうです。こうした一連の状況は、2027年3月までを予定している区画整理事業が完了するまで、しばらく続くと思われます。

 さて、現状はてだこ浦西駅を北側の終着駅としているゆいレールですが、さらなる延伸計画も視野に入りつつあります。

 その大きなカギを握るのが、2015年にアメリカから返還された宜野湾市の「キャンプ瑞慶覧」の一部、「西普天間住宅地区跡地」の再開発です。

将来は “ゆいレールじゃ足りない”?

 この土地はアメリカ海兵隊普天間飛行場の北、県道81号ぎのわんヒルズ通りから北に一段下がったところに広がり、東京ドーム11個分にあたる約50.8ヘクタールの面積を有しています。

 再開発の核となるのは「沖縄健康医療拠点」で、すでに琉球大学が大学病院を含む「西普天間キャンパス」の設置を決定、2025年1月の外来診療開始、同年4月の医学部・研究科開学に向け、急ピッチで準備が進んでいます。

 また同じ再開発エリア内には都市公園、住宅の整備も予定されており、将来的に人の往来が増えることが予想されています。

 そうした人々のアクセス手段として、沖縄県は、ゆいレールの延伸の可能性について検討を開始、「古島駅から普天間方面」と「てだこ浦西駅から普天間方面」の2ルートについて調査し、2025年度にその結果を公表するとしています。

 報道によると、現時点で具体的な路線の距離や駅の位置は決まっていないとのことですが、古島駅からの延伸であれば「国道330号浦添バイパス-国道330号-普天間交差点付近」もしくは「国道330号浦添バイパス-県道153号-国道58号-県道81号-普天間交差点付近」のいずれか、てだこ浦西駅からであれば「いったん沖縄自動車道を渡り、西原ICを回り込むようにして国道330号-普天間交差点付近」が現実的に想定されるルートではないかと思われます。

 ただこの普天間地域の再開発については、さらに大きなテーマも待ち構えています。それは1996年に日米で合意した「普天間飛行場の全面返還」です。

 同飛行場の返還が実現すれば、いま再開発が進む西普天間住宅地区跡地の約9倍、約476ヘクタールもの新たな土地が生まれます。この土地の再開発で生まれる新たな人の流れに対応するためには、地域交通としては有用ながら、所要時間のかかるゆいレールだけでは不十分で、ゆいレールと住み分け可能な新たな鉄道路線の敷設などが必要になるかもしれません。

 ゆいレールの延伸可能性については、そうした将来のさらなる発展も織り込み、検討が進むことを期待したいと思います。

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