原付で「ホンダの生い立ち」再現?「カブ主」大集合で“知られざる故事”に出会いました
乗りものニュース / 2024年10月30日 18時12分
毎年恒例の「カフェカブミーティング in 青山」が今年も開かれました。全国から多数の個性的な「カブ」が集まるこのイベント、今回は10月20日にエントリーしたマシンの中から一際輝いていたマシンを紹介します。
ホンダ青山ビルで開かれるのは最後に
東京都港区にあるホンダウェルカムプラザ青山で、2024年10月19日(土)と20日(日)の2日間にわたって「第27回カフェカブミーティング in 青山」が開催されました。このイベントは、全国から「カブ主」と呼ばれるホンダ「スーパーカブ」オーナーがホンダ本社ビル1階にあるショールームに集まり、無料提供されるコーヒーを楽しみながら自慢の愛車を披露し交流を図るというものです。
そんな「スーパーカブ」を愛するファンが一堂に会するイベントのため、他ではなかなか見ることができない個性豊かな「スーパーカブ」を何台も見つけることができました。
そもそも「カフェカブミーティング in 青山」は、1997年に第1回が開催され、以降、年1回のペースで毎年秋に開催されています。会場キャパシティの関係から参加台数に限りがあるため、エントリーは抽選方式で行われ、今年は両日で合計500台の参加がありました。ちなみに19日と20日、どちらの開催日もプログラム内容に変わりはありません。
なお、会場となったホンダウェルカムプラザ青山のあるホンダ青山ビルは、老朽化のため2025年春からの建て替え工事が決定しています(完成は2030年度予定)。そうしたことから現在のホンダウェルカムプラザ青山で開催される「カフェカブミーティング in 青山」は今回が最後となります。
知る人ぞ知るベロセット「LE」とホンダの繋がり
さて、「スーパーカブ」と言えば高い信頼性と耐久性、そしてシンプルな構造が特徴のミニバイクです。裏を返せばアマチュアでもカスタムしやすいオートバイと言えるでしょう。
だからこそ、個性的なカスタムカブが数多く集まるのですが、来場者の多くの目を集めていたのが1940年代のイギリス製バイク、ベロセット「LE」を模した「スーパーカブ」でした。かつて「LE」はイギリス警察にも多数が採用されたこともあって、オーナーは「スコットランドヤード」の通称で知られるロンドン警視庁の警察官のコスプレをしていました。
オーナーの説明によると、ベロセット「LE」を模したのには、いまから80年ほど前の故事が大きく関係しているといいます。
時計の針は戦後間もない時期にさかのぼります。当時、ベロセットの輸入代理店を営んでいた「野村モータース」社長の野村順亮(のむら・のぶあき)さんは、水平対抗2気筒エンジンを搭載した画期的コミューターの「LE」を輸入しました。そうしたら、ホンダから「購入したい」との申し出があったそうです。
ホンダが「LE」を手に入れようとしていた理由が「いいバイクを作る参考車にする」にあることを知った野村さんは、予約金を返金し、無償で寄贈しました。これに感激した本田宗一郎さんは、野村さんをホンダ埼玉工場(当時)に招いて自ら案内し、盛大なお礼の宴を開いたといいます。さらに、後日販売を開始した「ドリームE」型の最初期型を記者会見でお披露目したあと、そのまま「野村モータース」に寄贈したとのこと。
このことを鑑みると、「スーパーカブ」を含むホンダのバイクにベロセット「LE」が何かしらの影響を与えたことは事実でしょう。こうした故事からオーナーは「LE」を模した「スーパーカブ」を製作したのだとか。カスタムバイクとしての完成度もさることながら、こうした歴史的なエピソードをテーマしたところに、先人への畏敬の念とロマンを感じました。
イタリアンスクーターに負けない質感を求めて
一方、「カブ主」の投票で選ぶコンテストで最多得票を得て1位に輝いたのが、プラスチック製のボディをアルミ叩き出しで作り直した「ジョルカブ」です。
このバイクはレトロ調のデザインで人気を博していたスクーター「ジョルノ」に、「スーパーカブ」のメカニズムを移植した車両で、外観はスクーターそのものですが、立派な「スーパーカブ」ファミリーの一員です。「ジョルカブ」はベルトドライブの一般的なスクーターとは異なり、「スーパーカブ」と同じくシフトペダルを用いた自動遠心クラッチによるロータリー式4段マニュアルを搭載しています。
マニュアル操作が必要なスクーターと言えば、「ベスパ」や「ランブレッタ」などをイメージする人が多いと思いでしょうが、これらのイタリア製スクーターのボディは質感の高いスチール製。そこでオーナーは、ジョルノに「ベスパ」や「ランブレッタ」にも負けない質感と高級感を与えるべく、基本となるデザインはそのままに外装をアルミ製で作り直したそうです。
製作はプロの板金職人よる手作りとのことで、カタチにするには相当な手間と時間、そして費用がかかったことがうかがい知れます。
なお、この2台以外にも個性的でユニークな「スーパーカブ」が多数展示されており、集まった「カブ主」のみなさんは仲間同士で交流を深め、思い思いに休日を楽しんでいました。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
これはクセスゴ!! オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
バイクのニュース / 2024年11月21日 8時10分
-
これ新車!? やけにクラシカルな「鉄スクーター」がいま買えるワケ 元ホンダ技術者と「ベスパ」を巡る奇跡みたいな話
乗りものニュース / 2024年11月16日 17時12分
-
今の季節は新型バイクが続々発表! 個人的に興味のある3台のモデルをご紹介します 〜小野木里奈の○○○○○日和〜
バイクのニュース / 2024年11月11日 12時10分
-
ホンダ「スーパーカブC100」白煙対策完了!! いよいよスズキ製ピストンに火が入る 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ VOL.20
バイクのニュース / 2024年11月6日 7時10分
-
スーパーカブが足元にも及ばない!? 誕生78年「世界でいちばん有名なスクーター」なぜそんなにウケたのか
乗りものニュース / 2024年11月3日 18時12分
ランキング
-
1クリスマスケーキに異変…『卵』の価格高騰止まらず 夏の猛暑の影響で今後は鳥インフルエンザによる卵不足の恐れも
東海テレビ / 2024年11月21日 21時22分
-
2クシュタールの会長「セブン&アイとの統合で小売業のチャンピオンに」…敵対的買収は「考えていない」
読売新聞 / 2024年11月22日 9時5分
-
3KADOKAWA「サイバー攻撃」が示した経営リスク セキュリティの難題に日本企業はどう向き合うか
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 7時20分
-
4一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 6時10分
-
5「無人餃子」閉店ラッシュの中、なぜスーパーの冷凍餃子は“復権”できたのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月20日 6時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください