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「日本発の新ジャンル航空機」実現なるか!? 社長「みんなが買える」新型機の全容とは?

乗りものニュース / 2024年11月1日 16時12分

「ACR-3-A160」の試作機(細谷泰正撮影)。

「小型機の軽自動車版」とも呼ばれる新ジャンルの航空機「LSA」。この開発に取り組む日本の企業があります。どのようなスペックなのでしょうか。

世界で相次ぎ導入「小型機の軽自動車版」制度

 新潟県燕市に本社を置く株式会社ATRヤマトが、現在開発中のLSA(軽量スポーツ航空機)である「ACR-3-A160」の試作機を、燕三条市で開催された「燕三条ものづくりメッセ」の会場で展示しました。同社は国内でいち早く「LSA」の開発・設計を進めてきた企業で、もし実用化されれば、日本の航空産業にとって大きな一歩となります。

 LSAは、欧米をはじめ今や世界で普及が進んでいる新たなカテゴリーの小型航空機で、それに伴い操縦するための免許制度も新設されることから、「小型機の軽自動車版」とも呼ばれています。

 LSAでは、機体の規模を小型軽量に限定することで従来の航空機とは異なる型式の認証制度に沿って新型機を生み出します。さらにLSAに限定して簡略化した免許制度を操縦士と整備士の双方に導入することで、従来よりも手軽に小型機を導入・運用できるようにするという仕組みです。結果として航空機市場の活性化、航空従事者の人数の底上げといった効果が期待できます。

 各国ではこうした制度が導入されて10年以上が経過し、多くの新型機の出現とともに航空従事者数の増加を実現させており、この制度のメリットが実績として認識されるようになりました。

 一方で残念ながら、日本では2024年現在、限定的にLSAの飛行が許可されることになったものの、関連した免許制度は導入されていません。これは、航空の分野で主要国の中では日本だけが取り残されているという構図を作り出しています。

日本発「小型機の軽自動車版」どんなスペック?

 今回、ATRヤマトが公開した機体は総重量450kgで2人乗り、搭載するエンジンは80馬力の小型低出力なものとなっています。ただ、それゆえに巡航速度は160km/h、使用可能な滑走路の長さは300m以下、航続距離は400km以上というスペックが想定されています。なお、同機は欧米をはじめとするLSA制度を本格的に導入している国々の規格を満たしており、欧米市場への輸出を目指しています。

 ATRヤマトの吉田宗玄社長はこの機体のコンセプトとして、「空を楽しみともに学べる最初の入門機。みんなが買えるフレンドリーな飛行機」と説明してくれました。

 海外市場においては、日本製品の信頼性と品質の高さには定評があります。円安も輸出企業にとっては追い風でしょう。この機体が成功し日本の航空機産業復活の起爆剤になればと願うのは筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)だけではないはずです。

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