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「オカンのバイク」が達成した恐るべき“世界初の偉業”とは? ホンダ“伝説の実用バイク”シャリイを今こそ称えたい!

乗りものニュース / 2024年11月10日 17時12分

ホンダ「シャリイ」。「ダックス」と部品を随所で共有しつつ、女性がまたがりやすいスタイルと車高を実現していた(画像:ホンダ)。

ホンダの歴代ミニバイクのなかでも、特に実用性を重視し、27年にわたり生産されたモデルが「シャリイ」です。隠れた名車といえる「お母さん向け」のバイクは、世界初の偉業も成し遂げました。

一時は「ダックス」の3、4倍の台数を誇るヒットバイクに

 1960年代後半にホンダが切り開いた「レジャーバイク」というカテゴリー。近年、リメイクされてヒットしている「モンキー」「ダックス」「CT125」なども、元々はこのレジャーバイクの代表的モデルでした。

 レジャーバイクというカテゴリーを切り開いたのは、日本国内では1969年に発売された「モンキーZ50A」です(当時は「〔ニュー〕モンキー」とも)。元々は多摩テックの遊具だったミニバイクを、海外からのニーズを受け市販。主にアメリカなどの広大なアウトドアシーンで、子どもが遊ぶために開発され「車載できる仕様」が大きな特徴でした。

 他方、「お父さんはアウトドアシーンでクルマか大きめのバイクで遊べるし、子どもはモンキーで遊べる。なら、お母さんが遊べるバイクも作ってあげたい」と開発されたのが「ダックス」でした。当初の「ダックス」も「車載できる仕様」で、これまたアウトドアシーンで「お母さんが遊ぶためのバイク」でした。

その「ダックス」をさらに日本国内のファミリー向けにアレンジした印象のファミリーバイクが1972年に発売された「シャリイ」です。いまや“隠れた名車”と言える存在かもしれません。

お母さんが安心して乗れる仕様

 初代発売時の正式名称は「シャリイ・ホンダ」。低床バックボーンフレームを採用し、シートとハンドルの間を大きく“えぐる”ことで乗り降りのしやすさを実現しています。

また、「スーパーカブ」と共用のエンジンを搭載し、安定した走行性能を満たす一方、初代の50ccモデルはローとトップだけの2速ロータリーエンジンでした。これらの機能によって、そうバイクに乗り慣れない人でも安心してまたがることができました。

 果たして「シャリイ」は、当初ホンダが設定した「月産7000台」を乗り越え、発売から4年後の1976年に、また7年後の1979年にはそれぞれマイナーチェンジモデルが発表。特に1979年のモデルは、「ダックス」の販売台数を3?4倍も上回るヒットに至りました。

“世界初の超低燃費” 前人未踏の実用モデル

 ミニバイクとしては「シャリイ」の先輩格にあたる「ダックス」が1981年に生産終了となった後も、「シャリイ」は生産され続け、同年のモデルではなんと「世界初の超低燃費リッター100km」を実現したモデルも登場。

 燃料室のコンパクト化、フリクション(抵抗)の低減、吸気効率の向上などによって実現させたものですが、当時のミニバイクシーンのニーズがレーサーレプリカなどのスピード性能重視に人気が傾いていたことと合わせて考えれば、特に「実用性」に注力させたのがこの時代の「シャリイ」だったと言って良いかもしれません。

 当時は50cc・70cc合わせて年間1万4千台の販売計画があり、後にさらなるリニューアルモデルが発売され続けた事実を踏まえれば、おおむねこの計画に近いセールスに至ったのだろうと推測できます。

「シャリイ」「シャリィ」「シャリー」とモデル名が混在する事実

 続く1983年にはデザインを刷新したニューモデルが発売され、バイクの顔となる角形ヘッドライトが大きくとられ、またボディの随所もどことなくカクカクした印象のモデルになりました。

 ところで、ファンの間ではよく知られていることに、実は「シャリイ」の名称には時代ごとに「表記揺れ」があります。初代から1980年代中盤前のモデルは「シャリイ」ですが、以降のモデル名は「シャリィ」だったり「シャリー」だったりと不安定。

 ボディの全体イメージやコンセプトは変わらぬままだったので、単に各時代のホンダがモデル名にさほどうるさくなく、過去にこだわらずに決めていたのかもしれません。しかし、後になって考えると、この「名称の微妙な違い」もマニア心をくすぐるところでもあります。

 最後の「イ」が初めて小文字になったのは1988年のモデル「シャリィ50」です。一見すると1983年と同じに見えますが、よく見るとデカールのデザインが刷新されていることに加え、専用バスケットやミラーなどのデザインにも変更がありました。

排ガス規制に適合せず27年間の役目を終えた

 1990年代に入ってからの「シャリイ」は、販売台数減少しながらも生産され続け、1993年にはニューモデル「シャリィ(A-CF50)」をリリース。従来からの実用性をキープさせながら、バスケット、スタンドといった細部を見直し、さらなる実用性を高めました。

 そして1990年代の中盤以降、ホンダの意図せぬところで「シャリイ」の評価が高まりました。それは「シャリイ」のカスタムです。

 1990年代中盤までの日本のバイクシーンは、メーカーが発表したバイクを、セオリー通りにカスタムするのが通例でしたが、いまではカスタムミニバイクのベース車の代表格といえる「スーパーカブ」でさえも、当時は「配達バイク」であり、カスタムの対象になるケースは極めて稀でした。

 しかし、1990年代中盤以降は実用車やミニバイクなどを自由にカスタムするショップが続出。結果的に個体数の多い「シャリイ」もカスタムベースとしての白羽の矢が刺さり、ネット検索すれば無数のローダウン、チョッパーモデルなどもはや「シャリイ」の原型をとどめないカスタム例がヒットします。

 シンプルな実用ファミリーバイク「シャリイ」は1999年の生産終了後も、意外なところで愛され続け、今日に至ります。現在の環境問題と、2025年に施行される「原付廃止」の動きに加え、実際のニーズを合わせて考えれば、かつての「シャリイ」の再生産はまずないでしょうが、筆者個人的には電動バイクとしての「シャリイ」復活はあっても良いように思います。

 27年にわたって愛された隠れた実用車「シャリイ」。派手ではないものホンダが誇る小さな名車の一つです。どうか時代にあったカタチで復活を遂げてほしいなと思います。

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