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ほぼ本州最西端!「最果てのバス停」には一体何があるのか? 実際に行ってみた 車両は「元・都バス」

乗りものニュース / 2024年11月9日 9時42分

竹の子島に差し掛かる直前、県道250号を行く関彦線のバス。(水野二千翔撮影)

下関市を拠点に路線バスを運行するサンデン交通には、本州最西端の停留所があります。そして「ほぼ」本州最西端の停留所もあります。

その差はほんのわずか!下関市で「最西端」を競う停留所

「本州最西端」の地があるのが、山口県下関市です。この下関を中心に山口県西部でバス路線網を展開するサンデン交通の関彦(かんげん)線は、JR下関駅から西へ直線距離で約4km離れ、海に向かって突き出した彦島西山町にある竹の子島停留所を結びます。

 Googleマップには竹の子島停留所の位置が登録されており、その西側は海を挟んで北九州市、つまり九州です。すなわちこの停留所こそ本州最西端……と判断するのは早計で、じつは真北に目を転じると、直線距離で約16km先に、サンデン交通の吉母港(よしもこう)線の終点・吉母港停留所があります。

 Googleマップで停留所を右クリックして東経の度を確認し、度分秒に変換してみると
 
 竹の子島停留所の東経 130.87772→130度52分40秒
 吉母港停留所の東経 130.87609→130度52分34秒(いずれも秒未満は四捨五入)

 となります。若い数字のほうがより西側になるので、竹の子島停留所はわずか「6秒差」で最西端2番手になりますが、ほとんど誤差の範囲といえ、「ほぼ」本州最西端ということになります。ほぼ本州最西端の停留所には何があるのか、実際に行ってみました。

 関彦線はサンデン交通のバスが次々と出入りする、下関駅東口ロータリーの7番乗り場から発車。国道9号を西進して山陽本線・山陰本線のガードをくぐって左折し、進路を南に取ります。左手にはJR西日本下関総合車両所下関支所が現れ、宇部線で走る「単行電車」123系や山陰本線で活躍するキハ47形など、電車・気動車が入りまじって休む姿が見られます。

 その後バスは関彦橋を渡り、彦島へ入ります。彦島は今でこそ本州とは橋で地続きですが“離島”であり、明治時代は船で行き来していました。本州と隔離されている土地柄から、輸入される肉用種の牛の検疫所などがあったそうです。

 現在では下関市郊外の住宅地といった趣の彦島。ただ、カーブのきつい道路や、離島特有のアップダウンが激しい道路を走行するため、座っていても体は常に上下に揺れます。卯月峠付近はさながら山岳路線のような乗り心地を味わえました。

 関彦線の車窓には大きな工場が現れるのも特徴のひとつ。関彦橋からは三菱重工業の下関造船所江浦工場の大きなクレーンが見え、東圧正門前停留所付近では下関三井化学の赤白の大きな煙突が出現。産業の息吹を感じ取れます。

「最果てのバス停」感が薄い…?

 下関駅を出て20分ほど、最後は県道250号「南風泊(はえどまり)港線」を右折して小道に入り、終点の竹の子島停留所に到着。目前に海が迫ります。

 南風泊漁港の中にある停留所にはコンクリートブロックを積み上げて作られた小屋が設けられ、雨風をしのげるようになっていました。潮風を受けてややくたびれた小屋から、最果ての雰囲気をいくらか感じ取ることができます。
 
 停留所の周囲にはバスを転回させられるほど広い場所はありません。どのように向きを変えるのか観察していると、停留所を離れたバスはすぐに右折して駐車。ここで下関駅へ戻る便の出発時刻まで時間調整し、右折を2回繰り返して県道250号に再び入り、停留所の小屋の前に戻ってきました。つまり停留所付近をぐるりと1周することで、バックを伴う転回作業を省略しているのです。下関駅行きは県道250号に入る交差点で左折して、竹の子島に背を向けて下関駅へと向かいます。

 竹の子島付近は宅地化されていました。また南風泊漁港は下関名物のフグが多く水揚げされ、時季になると布袋の中の指先でフグの値段を決める「袋セリ」が行われることでも有名。漁船が何艘も停泊していて、人の雰囲気を感じ取ることがきました。竹の子島停留所から5分ほど歩いて橋を渡った先にある離島の竹ノ子島もまた、住宅地と造船所になっていました。

 このように、ほぼ本州最西端の停留所は生活に根ざした場所にあるのです。また、関彦線自体、終日1時間に2,3本程度が運行され、乗車した便も途中乗車・下車が頻繁にあり、地域の足として利用されています。

 ちなみに下関駅へ戻る際に乗車したバスには、シートのモケットに東京都交通局のマスコット「みんくる」が描かれていました。この車両はもともと都営バスで使用されており、新車との入れ替えで廃車になったあとサンデン交通にやってきた「移籍車」なのです。このような移籍車との出会いも、地方の路線バスに乗車する楽しみのひとつといえます。

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